『保育園「改革」のゆくえ』(近藤幹生著、岩波ブックレット)を読みました。
問題は、政権交代があったにもかかわらず、前政権下で進められていた「新たな保育の仕組み」を導入する作業が、なにごともなかったかのように新政権が誕生してからも進められていることです。
小泉構造改革下、財界は「公的保育から市場原理へ」と政府に働きかけ、保育分野でも規制緩和を進めさせようとしていました。
著者は「今回の保育園『改革』の問題は、保育園の規制改革路線によって、待機児童問題を解決しようとしていることにある」と指摘。
憲法・児童福祉法・児童憲章を土台につくられている現在の保育制度の基本は、国・自治体による保育の実施責任を明確にしていることですが、これをあいまいにし、保育所への営利事業者の参入に道を開くことが「新たな保育の仕組み」の最大の問題です。
こんな改革を保育園関係者が要望するはずもなく、当事者の声はほとんど反映されないまま検討が進められている経過そのものも問題です。
そしたらきょうの「しんぶん赤旗」によれば、政府の構造改革特別区域推進本部は、保育所の3歳以上の給食は外部搬入でよいと規制緩和する方針を2月4日にも決定しようとしている、とのこと。
給食を外部から持ち込めば、「保育所運営の効率化が図られ、節減した経費」でお金が他に使える、というわけです。
子どもより経費節減を優先する姿勢は、「子どもの権利条約の『子どもの最善の利益』追求の道とは、逆行」(54㌻)です。
いったい、「子ども手当て」はこうしたことを進めるための目くらましか、と思われても致し方ないのではないでしょうか。
4年前、「保育園と幼稚園がいっしょになるとき」(岩波ブックレットNo.679)でもホームページの「ブックオフ」にコメントいただきました。
お金と数の力で理不尽がまかり通る社会のあり方を庶民の力で変えたいです。