古典四重奏団 「バルトーク:弦楽四重奏曲第4~6番」 10/12

古典四重奏団 バルトーク弦楽四重奏曲全曲演奏会第2回

バルトーク 弦楽四重奏曲第4番、第5番、第6番

演奏 古典四重奏団
   第一ヴァイオリン 川原千真
   第二ヴァイオリン 花崎淳生
   ヴィオラ 三輪真樹
   チェロ 田崎瑞博

2005/10/12 19:15 第一生命ホール

古典四重奏団による、バルトークの弦楽四重奏曲の全曲演奏会です。この日は、先月28日に行われたという第3番までの演奏に引き続いて、第4番から最後の第6番までが演奏されました。ちなみに、古典四重奏団を聴くのは今回が初めてです。

古典四重奏団は、バルトークの非常に優れた一連の弦楽四重奏曲を、一旦、怜悧な眼差しで眺め、咀嚼した上で、一気呵成に、まるで曲へ深く潜り込むように演奏していきます。プログラムの初め、特に第4番においては、響きの明晰さが欠けて、全体的にぼやけた表現になっているようにも思いましたが、曲が進んでくるにつれて、曲を俯瞰しつつも巧みに寄り添いながら、または、少しの湿り気を帯びながらもシャープな切れ味を聴かせる、実に味わいのある演奏へ変化していきます。これは見事です。

全体的に、主にアレグロ楽章において、この四重奏団の稀な演奏能力が示されていたと思いました。音を下支えするチェロの渋い響きの上に、ヴァイオリンがしなやかに切れ込む。そこに色気や艶はあまり見られません。と言っても、決して冷ややかで鋭角的過ぎることはなく、どこか人懐っこさも僅かに残して、バルトーク独特の語り口を音に刻んでいきます。また、時折、奏者同士による自然なアイコンタクトによって生まれる間は、音楽にどこか柔らかさも付け加えさせて、呼吸を整えさせます。良い意味での中庸さ。曲のエッセンスを、ことさら飾り立てることなく表現した演奏です。

弦楽四重奏のコンサートに特有の、空気が張りつめたような強い緊張感。古典四重奏団のコンサートは、今後もしばらく聴き続けていきたいと思いました。
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