「大塚聡『Counting Waves - 波をかぞえる - 』」 TSCA 6/3

Takuro Someya Contemporary Art(千葉県柏市若葉町3-3)
「大塚聡『Counting Waves - 波をかぞえる - 』」
5/27-6/24

柏に新たな現代アートの拠点が出現しました。元々、作業所(もしくは倉庫?)として使われていたような古い建物を改装したギャラリーです。名称は「Takuro Someya Contemporary Art」。(略称TSCA。和名は染谷コンテンポラリーアート。)白石コンテンポラリーアート(SCAI)から独立された染谷卓郎氏の運営する施設です。今、そのオープニングとして、ミラーやLEDなどを使ったインスタレーションを手がける大塚聡の個展が開かれています。ギャラリーの広いスペースを上手く利用した展示。どれも静かに見入りたい作品ばかりでした。

建物の2階部分が展示スペースです。入口脇の細い階段(かなり狭いので注意!)を上がって進むとまず見えてくるのは、大きなミラー越しに、細く白い光がいくつも点滅するインスタレーション作品でした。静かに、そして弱々しく、遠くからこちらへゆっくりと迫ってくる光の線。それが大きなミラーのあちこちにてゆっくりと動いている。自分の姿がミラーに写り込んでやや見えにくい部分もありましたが、まるで光の粒のシャワーを全身で受け止めているような雰囲気です。また、ミラーの形や光線のイメージはどれも洗練されています。光のミクロの世界をのぞくような作品でした。

この作品以外には、セピア色がかった、どこか懐かしい感覚の写真がいくつか展示されています。また、透明な定規上にプリントされた風景写真なども並んでいました。鳥や、広がりのある遠景が素朴に写っている。ちなみにこの写真の一部は、いわゆる骨董写真をプリントしたものだそうです。だからこそノスタルジー的な味わいが実現されていたのかもしれません。

光のインスタレーションでは、ちょうど廊下のような狭い場所にあった作品が特に優れていました。ミラーの反対側にあるプロジェクターに投影された景色と連動して光が変化する。小さな光の束が、すっと飛び交っては消えていく感覚。心地良い雰囲気が感じられます。そして廊下の最後にある大きなインスタレーションは、どれも眩しいほどに光線が動いています。地の底から、闇の奥から、そして宇宙の果てから、静かに、ただ一直線に伸びた光の道。ミラーが生み出した深淵の空間で、光が生き、そして死んでいく。光の生成がミニマルに表現されていました。

柏駅南口から徒歩10分とありますが、実際にはかなり分かりにくい場所にあります。初めてなら15分弱ほどかかるのではないでしょうか。もちろん画廊HPの地図(これがまた大まかで分かりにくいのですが…。)は必携です。是非プリントして持って行かれることをおすすめします。また、オープン時間が夜22時までと良心的です。(日・月休み。昼12時から。)近くには古い民家を使ったカフェなどもありました。まずは今、ホットな柏の街を散歩がてらに、一度足を運んでみてはいかがでしょう。今月24日までの開催です。(ちなみに、このギャラリーは常設ではなく期間限定だそうです。次回の展示は秋、冬を予定しているとのことでした。)



*TSCAの外観。外からはギャラリーとは全く分かりません。白く囲われた、車庫のような部分が入口です。(付近に目立つ看板も掲示されていません。見つけるのは至難の業?!)
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