都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「酒井抱一と江戸琳派の全貌」 千葉市美術館
千葉市美術館
「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」
10/10-11/13

千葉市美術館で開催中の「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」へ行ってきました。
先行する姫路会場でも大変な評判となった「抱一+江戸琳派展」ですが、それがいよいよここ千葉市美術館へと巡回してきました。
まさに生誕250周年のメモリアルに相応しい抱一回顧展の決定版です。出品作は抱一160点、其一60点の他、一門の作をあわせると、総数で300点を超えるという凄まじい内容ですが、量だけでなく質に関してもほぼ申し分ありません。予想通り大変に見応えがありました。

酒井抱一「四季花鳥図屏風」 陽明文庫
さて大好きな抱一ということで早速、初日の10月10日に行ってきましたが、細かい作品の感想はひとまず横において、このエントリでは展覧会の概要、また見どころのポイントなどを私なりにまとめてみます。ご鑑賞の参考となれば幸いです。
【細かな章立てにて、抱一の画業とその後の系譜を辿る】
展覧会は全9章立てです。
第一章「姫路酒井家と抱一」
第二章「浮世絵制作と狂歌」
第三章「光琳画風への傾倒」
第四章「江戸文化の中の抱一」
第五章「雨華庵抱一の仏画制作」
第六章「江戸琳派の確立」
第七章「工芸意匠の展開」
第八章「鈴木其一とその周辺」
第九章「江戸琳派の水脈」
第一章から第七章にて抱一の画業を主に時系列に追いつつ、一部蒔絵や仏画などをジャンル別で紹介し、八、九章にて抱一以降、其一らをはじめとする弟子たちの作品を展観しています。
各章に設けられた解説をはじめ、一点一点につけられた丁寧なキャプションを読むと、抱一の足跡を辿ることが出来ますが、その変遷は、例えば以前同館で開催された一村展ほどドラマテックに強調されているわけではありません。

酒井抱一「妙音天像」 個人蔵
優美な花鳥画はもちろん、浮世絵、蒔絵、仏画など、幅広く集められた作品自体で勝負する展覧会という印象を受けました。
【展示替えは2回】
総数300点を超える展覧会ですが、当然ながら一度に全てが展示されていません。
展示替え出品リスト(PDF)
展覧会会期は全部で5週あり、それぞれの週毎に期間が定められています。うち展示替えは2回、10/24と10/31の各月曜日です。
10/10~10/23
10/25~30
11/1~11/13
通期で展示される作品も多くありますが、半数以上はその2回の展示替え日(ともに休館日)で入れ替わります。全てを楽しむには、初めの2週間と最後の2週間の最低2回ほどは出向く必要がありそうです。
またリピーター割引きとして二度目に一度目の半券を提示すると、入場料が半額の500円となります。こちらも有効活用したいところです。
【新出作品も展示】
以前、東博で大琳派展などで例えば珍しいとされる抱一の仏画などをご覧になった方も多いかもしれませんが、今回の展示では新出の作品がいくつも登場しています。
私自身、ここ数年間は抱一をかなりおっかけているつもりでしたが、それでも初めて見た作品が何点もありました。また個人蔵がかなり多いというのも特徴です。新鮮味がありました。
【絵画だけではなく資料も充実】
抱一というと出自からしても、単なる絵師に留まらない幅広い活動をしたことでも知られていますが、今回の展示ではその部分に関してもかなり深く突っ込んでいます。

山東京伝画「吾妻曲狂歌文庫」 千葉市美術館
酒井家に関する重要な日記である兄宗雅の「玄武日記」をはじめ、抱一が青年期にのめり込んだ狂歌に関する文献、また抱一自選の八句集、さらには良く出入りしていた「八百善」の資料など、まとまって見られる機会の少ない各種資料が数多く紹介されていました。
【原羊遊斎との工芸品を多く紹介】
大琳派展にもいくつか出ていましたが、今回私が抱一の出品作で一番充実していると感じたのが、抱一下絵、原羊遊斎作の蒔絵などの工芸品です。

酒井抱一下絵/原羊遊斎作「四季草花螺鈿蒔絵茶箱」 個人蔵
代表的な「四季草花螺鈿蒔絵茶箱」をはじめとして10点超の規模で展示されています。また抱一下絵で柴田是真の師である古満寛哉の手による盃など、珍しい品も散見されました。
【夏秋草図屏風は11/1から展示】
ちらし表紙にも掲げられ、抱一作では圧倒的に知名度の高い「夏秋草図屏風」は11/1より展示されます。

酒井抱一「夏秋草図屏風」東京国立博物館蔵
また屏風の主要作品については以下のスケジュールでの展示です。
「燕子花図屏風」(出光美術館)10/10~10/23
「四季花鳥図屏風」(陽明文庫)10/25~11/13
「青楓朱楓図屏風」(個人蔵)10/10~10/30
「八橋図屏風」(出光美術館)10/10~10/23
「風神雷神図屏風」(出光美術館)11/1~11/13
「夏秋草図屏風」(東京国立博物館)11/1~11/13
また無い物ねだりにはなってしまいますが、「月に秋草図屏風」(ペンタックス株式会社)と「波図屏風」(静嘉堂文庫)が出ないのは残念でなりません。ともに大琳派展では出品されましたが、一期一会の抱一展だからこそ、こうした傑作屏風を何とか展示していただければとは思いました。
【三の丸尚蔵館の十二ヶ月花鳥図は通期で展示】
同名の作品では全4種(12点揃い)ほど知られる「十二ヶ月花鳥図」ですが、今回はその最も優れた作品である三の丸尚蔵館本が通期で展示されます。これは皇室の名宝展以来のことではないでしょうか。なお本作の表具は刺繍です。その点もじっくりご覧ください。
【抱一以降も充実】
当然ながら抱一と江戸琳派展ということで、通常の琳派展ではよく見られる「宗達-光琳-抱一」という流れはありません。
もちろん其一は別格ですが、抱一の弟子の系譜に沿う絵師、とりわけ酒井鶯蒲、池田孤邨、田中抱二、鈴木守一、酒井道一らの作品がかなり目立っています。
また昭和前期まで活躍し、最後の江戸琳派の絵師とも言われる酒井唯一や、先だっての「千住の琳派」展でとりあげられた其一門下の村越尚栄まで出ているのには驚かされました。
その分、例えば抱一の光琳顕彰の部分などについてはそれほど深く入り込んでいませんが、今回ほど抱一以降の系譜をしっかり提示した展覧会はこれまでになかったのではないでしょうか。
全体の展示のボリュームが相当あり、抱一の部分だけでも見応えがあるため、後半を流してしまう嫌いはあるかもしれませんが、是非とも其一だけでない『抱一以降』に注目して下さい。
【新照明の効果】
千葉市美術館ではかねてより新型のLED照明が用いられていますが、この展覧会でもその効果を確かめることが出来ます。(注:全ての作品がLED照明ではありません。)

酒井抱一「四季花鳥図巻」 東京国立博物館
とくに見事なのが、抱一の傑作の一つとしても数えられる「四季花鳥図巻」です。
大琳派展など、東博では何度か見る機会のある作品ですが、今回のライティングを通すと、その色味、また作品の魅力が驚くほど際立っています。
展示ケースと作品自体が近く、まさに目と鼻の先で見られるのも嬉しいところですが、ともかく浮き上がってくる色が違います。これは抱一作でもとくに上質な絵具が用いられていることでも知られた作品ですが、その魅力を存分に楽しむことが出来ました。
【其一画・描表装の魅力】

「夏宵月に水鶏図」 鈴木其一 個人蔵
人気の其一に注目されている方も多いかもしれませんが、その中では艶やかな描表装、表具部分に絵を描く手法をとった作品を見逃すことはできません。
かつて文化村のだまし絵展でも話題を集めた「歳首の図」など数点がずらりと揃っています。

「蔬菜群虫図」 鈴木其一 出光美術館
もちろんこれらだけでなく、よく若冲との関連を指摘される「蔬菜群虫図」など、代表作もいくつか出品されています。さすがに「朝顔図屏風」まではいきませんが、同じく傑作の「夏秋渓流図屏風」も現会期(10/23まで)で展示中です。
其一は魅力的な絵師だけに、やはり単体の展覧会を望みたいところですが、今回の展示での其一作の充実ぶりには感心させられました。
【関連講演会】
展覧会にあわせた関連の企画、講演会が極めて充実しています。
いずれも往復ハガキでの申込が必要で、既に締め切り日時が過ぎている回もありますが、まだ受付中のものもあります。
「酒井抱一の雅俗 」
10月16日(日)14:00より(13:30開場)11階講堂にて
【講師】 小林忠 (当館館長)
聴講無料/定員150名 *申込締切10月10日(月・祝)[必着]
「鬼才・鈴木其一の魅力 」
10月23日(日)14:00より(13:30開場)11階講堂にて
【講師】河野元昭 (秋田県立近代美術館館長)
聴講無料/定員150名 *申込締切10月14日(金)[必着]
「酒井抱一と下谷 」
10月30日(日)14:00より(13:30開場)11階講堂にて
【講師】 河合正朝 (慶応義塾大学名誉教授)
聴講無料/定員150名 *申込締切10月21日(金)
また11月には申込不要の市民美術講座もあります。
「酒井抱一と江戸琳派~新出資料紹介を中心に 」
11月6日(日)14:00より 11階講堂にて
聴講無料/先着150名
【講師】松尾知子(当館学芸員)
こちらにあわせて出かけるのも良いのではないでしょうか。私も出来れば拝聴したいです。
【図録は一般書籍としても発売】
今回の展覧会にあわせて刊行された図録がなかなか充実しています。
出品作の全てが図版として掲載されている上、作品解説、抱一の年譜、落款集、そして論文4本と、全500ページほどのかなりのボリュームです。
「酒井抱一と江戸琳派の全貌/求龍堂」
美術館のショップでも販売されていますが、書店でも一般書籍として取り扱い中です。実のところ図録としては相当に重いので、アマゾンなどを利用されるのも手かもしれません。

鈴木其一「夏秋渓流図屏風」 根津美術館
初日は千葉市美術館としてはかなり盛況でした。後半になって混雑した一村展の例もあります。まずはお早めに出かけられることをおすすめしたいです。なお千葉市美では嬉しい夜間開館(20時まで開館)が毎週、金曜と土曜の二回ほどあります。そちらも狙い目となりそうです。
11月13日までの開催です。当然ながらおすすめ致します。
「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」 千葉市美術館
会期:10月10日(月・祝)~11月13日(日)
休館:10月24日(月)、31日(月)。
時間:10:00~18:00。金・土曜日は20時まで開館。
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」
10/10-11/13

千葉市美術館で開催中の「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」へ行ってきました。
先行する姫路会場でも大変な評判となった「抱一+江戸琳派展」ですが、それがいよいよここ千葉市美術館へと巡回してきました。
まさに生誕250周年のメモリアルに相応しい抱一回顧展の決定版です。出品作は抱一160点、其一60点の他、一門の作をあわせると、総数で300点を超えるという凄まじい内容ですが、量だけでなく質に関してもほぼ申し分ありません。予想通り大変に見応えがありました。

酒井抱一「四季花鳥図屏風」 陽明文庫
さて大好きな抱一ということで早速、初日の10月10日に行ってきましたが、細かい作品の感想はひとまず横において、このエントリでは展覧会の概要、また見どころのポイントなどを私なりにまとめてみます。ご鑑賞の参考となれば幸いです。
【細かな章立てにて、抱一の画業とその後の系譜を辿る】
展覧会は全9章立てです。
第一章「姫路酒井家と抱一」
第二章「浮世絵制作と狂歌」
第三章「光琳画風への傾倒」
第四章「江戸文化の中の抱一」
第五章「雨華庵抱一の仏画制作」
第六章「江戸琳派の確立」
第七章「工芸意匠の展開」
第八章「鈴木其一とその周辺」
第九章「江戸琳派の水脈」
第一章から第七章にて抱一の画業を主に時系列に追いつつ、一部蒔絵や仏画などをジャンル別で紹介し、八、九章にて抱一以降、其一らをはじめとする弟子たちの作品を展観しています。
各章に設けられた解説をはじめ、一点一点につけられた丁寧なキャプションを読むと、抱一の足跡を辿ることが出来ますが、その変遷は、例えば以前同館で開催された一村展ほどドラマテックに強調されているわけではありません。

酒井抱一「妙音天像」 個人蔵
優美な花鳥画はもちろん、浮世絵、蒔絵、仏画など、幅広く集められた作品自体で勝負する展覧会という印象を受けました。
【展示替えは2回】
総数300点を超える展覧会ですが、当然ながら一度に全てが展示されていません。
展示替え出品リスト(PDF)
展覧会会期は全部で5週あり、それぞれの週毎に期間が定められています。うち展示替えは2回、10/24と10/31の各月曜日です。
10/10~10/23
10/25~30
11/1~11/13
通期で展示される作品も多くありますが、半数以上はその2回の展示替え日(ともに休館日)で入れ替わります。全てを楽しむには、初めの2週間と最後の2週間の最低2回ほどは出向く必要がありそうです。
またリピーター割引きとして二度目に一度目の半券を提示すると、入場料が半額の500円となります。こちらも有効活用したいところです。
【新出作品も展示】
以前、東博で大琳派展などで例えば珍しいとされる抱一の仏画などをご覧になった方も多いかもしれませんが、今回の展示では新出の作品がいくつも登場しています。
私自身、ここ数年間は抱一をかなりおっかけているつもりでしたが、それでも初めて見た作品が何点もありました。また個人蔵がかなり多いというのも特徴です。新鮮味がありました。
【絵画だけではなく資料も充実】
抱一というと出自からしても、単なる絵師に留まらない幅広い活動をしたことでも知られていますが、今回の展示ではその部分に関してもかなり深く突っ込んでいます。

山東京伝画「吾妻曲狂歌文庫」 千葉市美術館
酒井家に関する重要な日記である兄宗雅の「玄武日記」をはじめ、抱一が青年期にのめり込んだ狂歌に関する文献、また抱一自選の八句集、さらには良く出入りしていた「八百善」の資料など、まとまって見られる機会の少ない各種資料が数多く紹介されていました。
【原羊遊斎との工芸品を多く紹介】
大琳派展にもいくつか出ていましたが、今回私が抱一の出品作で一番充実していると感じたのが、抱一下絵、原羊遊斎作の蒔絵などの工芸品です。

酒井抱一下絵/原羊遊斎作「四季草花螺鈿蒔絵茶箱」 個人蔵
代表的な「四季草花螺鈿蒔絵茶箱」をはじめとして10点超の規模で展示されています。また抱一下絵で柴田是真の師である古満寛哉の手による盃など、珍しい品も散見されました。
【夏秋草図屏風は11/1から展示】
ちらし表紙にも掲げられ、抱一作では圧倒的に知名度の高い「夏秋草図屏風」は11/1より展示されます。

酒井抱一「夏秋草図屏風」東京国立博物館蔵
また屏風の主要作品については以下のスケジュールでの展示です。
「燕子花図屏風」(出光美術館)10/10~10/23
「四季花鳥図屏風」(陽明文庫)10/25~11/13
「青楓朱楓図屏風」(個人蔵)10/10~10/30
「八橋図屏風」(出光美術館)10/10~10/23
「風神雷神図屏風」(出光美術館)11/1~11/13
「夏秋草図屏風」(東京国立博物館)11/1~11/13
また無い物ねだりにはなってしまいますが、「月に秋草図屏風」(ペンタックス株式会社)と「波図屏風」(静嘉堂文庫)が出ないのは残念でなりません。ともに大琳派展では出品されましたが、一期一会の抱一展だからこそ、こうした傑作屏風を何とか展示していただければとは思いました。
【三の丸尚蔵館の十二ヶ月花鳥図は通期で展示】
同名の作品では全4種(12点揃い)ほど知られる「十二ヶ月花鳥図」ですが、今回はその最も優れた作品である三の丸尚蔵館本が通期で展示されます。これは皇室の名宝展以来のことではないでしょうか。なお本作の表具は刺繍です。その点もじっくりご覧ください。
【抱一以降も充実】
当然ながら抱一と江戸琳派展ということで、通常の琳派展ではよく見られる「宗達-光琳-抱一」という流れはありません。
もちろん其一は別格ですが、抱一の弟子の系譜に沿う絵師、とりわけ酒井鶯蒲、池田孤邨、田中抱二、鈴木守一、酒井道一らの作品がかなり目立っています。
また昭和前期まで活躍し、最後の江戸琳派の絵師とも言われる酒井唯一や、先だっての「千住の琳派」展でとりあげられた其一門下の村越尚栄まで出ているのには驚かされました。
その分、例えば抱一の光琳顕彰の部分などについてはそれほど深く入り込んでいませんが、今回ほど抱一以降の系譜をしっかり提示した展覧会はこれまでになかったのではないでしょうか。
全体の展示のボリュームが相当あり、抱一の部分だけでも見応えがあるため、後半を流してしまう嫌いはあるかもしれませんが、是非とも其一だけでない『抱一以降』に注目して下さい。
【新照明の効果】
千葉市美術館ではかねてより新型のLED照明が用いられていますが、この展覧会でもその効果を確かめることが出来ます。(注:全ての作品がLED照明ではありません。)

酒井抱一「四季花鳥図巻」 東京国立博物館
とくに見事なのが、抱一の傑作の一つとしても数えられる「四季花鳥図巻」です。
大琳派展など、東博では何度か見る機会のある作品ですが、今回のライティングを通すと、その色味、また作品の魅力が驚くほど際立っています。
展示ケースと作品自体が近く、まさに目と鼻の先で見られるのも嬉しいところですが、ともかく浮き上がってくる色が違います。これは抱一作でもとくに上質な絵具が用いられていることでも知られた作品ですが、その魅力を存分に楽しむことが出来ました。
【其一画・描表装の魅力】

「夏宵月に水鶏図」 鈴木其一 個人蔵
人気の其一に注目されている方も多いかもしれませんが、その中では艶やかな描表装、表具部分に絵を描く手法をとった作品を見逃すことはできません。
かつて文化村のだまし絵展でも話題を集めた「歳首の図」など数点がずらりと揃っています。

「蔬菜群虫図」 鈴木其一 出光美術館
もちろんこれらだけでなく、よく若冲との関連を指摘される「蔬菜群虫図」など、代表作もいくつか出品されています。さすがに「朝顔図屏風」まではいきませんが、同じく傑作の「夏秋渓流図屏風」も現会期(10/23まで)で展示中です。
其一は魅力的な絵師だけに、やはり単体の展覧会を望みたいところですが、今回の展示での其一作の充実ぶりには感心させられました。
【関連講演会】
展覧会にあわせた関連の企画、講演会が極めて充実しています。
いずれも往復ハガキでの申込が必要で、既に締め切り日時が過ぎている回もありますが、まだ受付中のものもあります。
「酒井抱一の雅俗 」
10月16日(日)14:00より(13:30開場)11階講堂にて
【講師】 小林忠 (当館館長)
聴講無料/定員150名 *申込締切10月10日(月・祝)[必着]
「鬼才・鈴木其一の魅力 」
10月23日(日)14:00より(13:30開場)11階講堂にて
【講師】河野元昭 (秋田県立近代美術館館長)
聴講無料/定員150名 *申込締切10月14日(金)[必着]
「酒井抱一と下谷 」
10月30日(日)14:00より(13:30開場)11階講堂にて
【講師】 河合正朝 (慶応義塾大学名誉教授)
聴講無料/定員150名 *申込締切10月21日(金)
また11月には申込不要の市民美術講座もあります。
「酒井抱一と江戸琳派~新出資料紹介を中心に 」
11月6日(日)14:00より 11階講堂にて
聴講無料/先着150名
【講師】松尾知子(当館学芸員)
こちらにあわせて出かけるのも良いのではないでしょうか。私も出来れば拝聴したいです。
【図録は一般書籍としても発売】
今回の展覧会にあわせて刊行された図録がなかなか充実しています。
出品作の全てが図版として掲載されている上、作品解説、抱一の年譜、落款集、そして論文4本と、全500ページほどのかなりのボリュームです。

美術館のショップでも販売されていますが、書店でも一般書籍として取り扱い中です。実のところ図録としては相当に重いので、アマゾンなどを利用されるのも手かもしれません。

鈴木其一「夏秋渓流図屏風」 根津美術館
初日は千葉市美術館としてはかなり盛況でした。後半になって混雑した一村展の例もあります。まずはお早めに出かけられることをおすすめしたいです。なお千葉市美では嬉しい夜間開館(20時まで開館)が毎週、金曜と土曜の二回ほどあります。そちらも狙い目となりそうです。
11月13日までの開催です。当然ながらおすすめ致します。
「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」 千葉市美術館
会期:10月10日(月・祝)~11月13日(日)
休館:10月24日(月)、31日(月)。
時間:10:00~18:00。金・土曜日は20時まで開館。
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
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それにしても開館前から行列ができているのにまず驚き、入場してまた内容の物凄さに驚き、結局丸一日居座ってしまいました。私は家が遠いのでなかなか頻繁には行けませんが、後半の展示も楽しみですし、何とか頑張って行けるだけ行こうと思っています。
私は藤井先生の方に行くので行けないのですが
行かれるのなら是非是非ご報告お願いします!
22日行ってまいりました。
混雑を覚悟してましたが思ったほどでもなく、
姫路のときより落ち着いてみられました。
後半あと1回行きます!
こんばんは。先日は奇遇でしたね。久々にお目にかかれて嬉しかったです。
しかし本当に見事な展覧会でしたね。3度行きましたが毎度楽しめて…。
いよいよ最終週、名残惜しいものです。
@グリシーヌさん
こんばんは。
結局、講演会は有り難いお誘いを受けて河井先生の会だけ拝聴してきました。
なかなか興味深かったです!
@ベルマーチさん
こんばんは。
夏秋草図屏風も出たからなのか、徐々に混雑してきたようですね。
>後半あと1回行きます!
私も何とか終わるまでにもう一度行きたいです!