「XYLOLOGY~起源と起点」 旧平櫛田中邸アトリエ

旧平櫛田中邸アトリエ
「XYLOLOGY~起源と起点」
10/27〜11/11



旧平櫛田中邸アトリエで開催中の「XYLOLOGY~起源と起点」を見て来ました。

東京の谷中の住宅街の一角に、彫刻家、平櫛田中がアトリエを構えた、大正8年築の古民家が残されています。

そこで行われているのが、「XYLOLOGY~起源と起点」で、比較的若い世代の木彫作家、計15名が、グループ展の形式で自作を公開していました。


中里勇太「つながれたひ」 2018年

可愛らしい芝犬が待ち構えていました。中里勇太の「つながれたひ」で、まるで飼い主を前にしたかのように、穏やか眼差しを向けていました。ピンと立った耳から、尻尾に至る毛並みも細かに象られていて、柔らかい質感までが伝わってくるかのようでした。


中村恒克「白象」 2018年

同じく動物をモチーフとした中村恒克の「白象」も魅惑的な作品で、大きく口を開けつつ、牙を前にしては、笑うように立つ象を表現していました。古びた箪笥の上に載っているのも面白いところで、ご覧のように、多くの作品はケース無しの露出で展示されていました。


灰原愛「原因は意外なことかもしれない」 2018年

怪訝な表情で前を向く少女に出会いました。それが灰原愛の「原因は意外なことかもしれない」で、肩に鳥をのせた少女が、首を傾げながら、何やら考え込むような仕草を見せていました。


佐々木誠「沙々禮石」 2017年

巨大な石を木で表現したのが、佐々木誠の「沙々禮石」で、1.5メートルはあるさざれ石の塊を、一つ一つ丁寧に彫り上げていました。その質感はまさしく石のようで、重厚感があり、目を凝らさなければ、木彫とは分からないほどでした。


TENGAone「Fabrication」 2017年

TENGAoneの「Fabrication」も面白いのではないでしょうか。ニコニコマークことスマイリーフェイスを表した作品で、顔の一部が剥がれ、中からダンボールのような構造が姿を現していましたが、実際は木彫でした。驚くほど精巧に作られていて、おそらく多くの人がダンボールと信じて疑わないかもしれません。


金巻芳俊「マドイ・カプリス」 2018年

テラスで陽の光を浴びながらポーズを構えるのが、金巻芳俊の「マドイ・カプリス」で、チェックのシャツにカーディガンを着た若い女性をモチーフとしていました。ともかく顔がたくさん連なっているのが特徴で、笑っていたり、驚いていたり、悲しそうであったりと、まさに喜怒哀楽ならぬ、多様な表情を見せていました。


前原冬樹「一刻」

前原冬樹の「一刻」も忘れられません。熟れに熟れ、枝のついた柿を表していましたが、質感は金工のようで、おおよそ木とは思えませんでした。


小畑多丘「KAYAMARO」 2018年

小畑多丘の「KAYAMARO」もユニークな作品でした。ショッキングピンクの服をまとったダンサーが、両手を伸ばし、足を屈めては、奇妙なポーズをしていて、頭の上には丸い円盤が乗り、目にはゴーグルのようなものを装着していました。SFのキャラクターのように見えるかもしれません。


小畑多丘「KAYAMARO」/「BUTTAI」 2018年

その「KAYAMARO」の置かれた机の下を見ると、同じく小畑の「BUTTAI」が姿を現しました。カラフルな立方体の作品で、おそらく上下で1つなのかもしれません。


ねがみくみこ「夜の大三角」 2018年

現代の木彫が、古民家へ馴染んでいるのにも感心させられました。詳細な展示リストも用意されていますが、それこそ小畑多丘の「BUTTAI」のように、屈んで覗きこまなければ、分からないような作品もあります。思わぬ場所に出現する彫刻を、探して歩くのも面白いかもしれません。


「XYLOLOGY~起源と起点」会場風景

会場の旧平櫛田中邸の最寄は鶯谷駅ですが、上野駅からも徒歩圏内です。東京国立博物館を越え、寛永寺の横を抜けた先、ちょうど谷中霊園の手前に位置します。おおよそ15分から20分弱でした。博物館や美術館へのお出かけの際に、足を伸ばすのも良いのではないでしょうか。


ねがみくみこ「ネコのダンス」 2018年

会期中は無休ですが、入場時間が13時から18時までに限られています。また展示は、古民家の1階と2階に展開し、やや急な階段を行き来する必要があります。ご注意下さい。


旧平櫛田中邸アトリエ

素材は、楠、檜、榧、朴、樫、楡、黄楊、はたまた合板から木材原料を樹脂で固めたMDFなどと、実に多岐に渡ります。表現も様々で、一括りには出来ません。現代の木彫表現のさらなる可能性も感じられました。


入場は無料です。11月11日まで開催されています。

「XYLOLOGY~起源と起点」 旧平櫛田中邸アトリエ(@kigaku_xylology
会期:10月27日(土)〜11月11日(日)
休館:会期中無休。
料金:無料。
時間:13:00~18:00。
住所:台東区上野桜木2-20-3
交通:JR線鶯谷駅北口より徒歩8分。JR線上野駅公園口より徒歩16分。
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