『石川九楊大全』 上野の森美術館

上野の森美術館
『石川九楊大全』
2024/6/8~7/28



上野の森美術館にて書家、石川九楊の個展が開かれています。

それが『石川九楊大全』で、過去に石川が手がけた書作品2000点から選ばれた300点あまりが、前期【古典篇】と後期【状況篇】に分けて紹介されていました。

このうち6月の前期【古典篇】では、石川が1980年〜90年代に日本の「歎異抄」や「源氏物語」はじめ、中国の「李賀詩」といった古典文学を題材とした作品が展示されていて、とりわけ滲みを多用しながら主題の「涙」を表したという巨大な『李賀詩 感諷五首』(五連作)が目立っていました。

また「桐壺」から本文のない「雲隠」、そして「夢浮橋」へと至る全五十五帖を表した『源氏物語書巻』では、一点一点の作品に異なる筆触を用いつつ、物語の内容を暗示、あるいはえぐるとるように書いていて、現代アートすら連想させる石川の多様な表現を見ることができました。

このほか、石川自らが制作のターニングポイントとなったという『歎異抄 No.18』をはじめ、古代の象形文字を思わせるような『方丈記 No.5』、さらには抽象表現を思うような『屈原』なども見どころだったかもしれません。

私自身、2017年に同じ上野の森美術館にて開催された『書だ!石川九楊展』にて大いに感銘を受けましたが、時にさまざまな心象風景を喚起させたり、音楽のリズムすら感じさせる作品世界に改めて魅せられました。

展示替えについての情報です。出品作品は前期【古典篇】 と後期【状況篇】にてすべて入れ替わります。

前期【古典篇】 遠くまで行くんだ:2024年6月8日(土)~6月30日(日)
後期【状況篇】 言葉は雨のように降りそそいだ:2024年7月3日(水)~7月28日(日)

後期【状況篇】では初期の代表作 『エロイ・エロイ・ラマ・サバクタニ』および、続編である超大作『エロイエロイラマサバクタニ又は死篇』をはじめ、アメリカ同時多発テロ事件や福島第一原子力発電所事故、それに新型コロナウイルスのパンデミックやヨーロッパでの戦争など、石川が現代社会の混沌や病理をえぐった最新の自作詩などが公開されます。


なお『石川九楊大全』の前期【古典篇】の見どころや内容についてPenオンラインに寄稿しました。

石川九楊が切り開く、前人未踏の新たな書の世界。上野の森美術館にて「石川九楊大全」が開催中!|Pen Online

こちらでは主催者の許可をいただき、会場内を展示風景を掲載しています。あわせてご覧いただければ嬉しいです。

7月28日まで開かれています。

『石川九楊大全』@kyuyoh_taizen) 上野の森美術館@UenoMoriMuseum
会期:2024年6月8日(土)~7月28日(日)
 前期【古典篇】 遠くまで行くんだ:2024年6月8日(土)~6月30日(日)
 後期【状況篇】 言葉は雨のように降りそそいだ:2024年7月3日(水)~7月28日(日)
休館:7月1日(月)、7月2日(火)
時間:10:00~17:00
 *最終入館時間は16:30
料金:一般・大・高生2000円、中学生以下無料。
住所:台東区上野公園1-2
交通:JR線上野駅公園口より徒歩3分、東京メトロ・京成電鉄上野駅より徒歩5分。
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