「有山達也展 音のかたち」 クリエイションギャラリーG8

クリエイションギャラリーG8
「有山達也展 音のかたち」
2019/8/27~10/5



クリエイションギャラリーG8で開催中の「有山達也展 音のかたち」を見てきました。

アートディレクターの有山達也は、高校時代に買い始めたLPレコードをコレクションし続けては、今に至るまで音楽と密接な生活を送ってきました。

その有山の東京初の個展となるのが「音のかたち」で、有山のレコードコレクションやビンテージオーディオとともに、いわば音を「かたち」と捉えた作品などが出展されていました。それにしても一般的に耳で聴く音を視覚化するとは、一体、どのように表していたのでしょうか。



一冊の写真集、齋藤圭吾の「溝と針」(本の雑誌社)が切っ掛けでした。同写真集のエディトリアルデザインを手がけた有山は、レコード針と溝を接写レンズで写した作品を目にすると、「レコードの溝やレコード針を拡大したら音のかたちが見えるかもしれない。」(解説より)と考え、音のかたちを探ることを試みました。



「針と溝」のアプローチによって、レコードの盤面を捉えた写真に目を引かれました。いずれも盤面の溝などを拡大して写していて、うねりを伴って刻む線が広がる様子は、まるで抽象表現を見るかのようでした。

さらに有山は、レコードのカッティングエンジニアや、オーディオ機器を制作する職人に取材しては、いかに音が生み出されるのかをテキストや写真に「かたち」として記録しました。



1枚1枚のレコードの内容や版の状態、また価格や感想などを記録した一覧表も興味深いかもしれません。千葉県銚子市のオーディオショップ、グレイのオーナーである阿部氏が購買者に送付していたリストで、100年後のコレクターにも愛読してもらうため、聴いた印象を率直に記しました。



ともかく膨大なリストゆえに全てを読むのは困難でしたが、ヨッフム指揮の「コジ・ファン・トゥッテ」やベーム指揮のシューベルトの交響曲第7番、それにカイルベルトによるR.シュトラウスの「アラベラ」など、一時代を築いた名指揮者のレコードが目立っていました。来年には全3200ページもの冊子を刊行すべく、現在、レイアウトや構成の作業が続いているそうです。(展示品は有山によるレイアウトの一部)



この他、イラストレーターのワタナベシンイチによる「オーディオを始めたばかりのボクが探した音の道」も面白い作品ではないでしょうか。レコードからどのようなメカニズムで音が生まれては、耳へと入っていくのかをテキストとイラストによって表現していて、まさに目で音の発生プロセスを追うことが出来ました。



ダイヤモンドの極小のレコード針にも驚かされました。写真パネルと実物の双方が展示されていましたが、実物はあまりにも小さいため、肉眼では捉えるのは難しいかもしれません。



会場ではBGMとして終始、有山のセレクトしたレコードなどがかかっていました。私が出向いた時はビートルズの「LET IT BE」と、別室でベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番の音楽が鳴っていました。さすがにビンテージオーディオを通した音楽は臨場感があり、スマホからイヤホンを通して聴くのとは迫力がまるで違いました。



なおレコードはランダムなタイミングで入れ替わります。音楽は空間の表情を変化させる力も持ち得ているため、何度か通っては楽しむのも面白いかもしれません。


撮影も可能です。10月5日まで開催されています。

「有山達也展 音のかたち」 クリエイションギャラリーG8@g8gallery
会期:2019年8月27日(火)~10月5日(土)
休館:日・祝日。
時間:11:00~19:00。
料金:無料。
住所:中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
交通:JR線新橋駅銀座口、東京メトロ銀座線新橋駅5番出口より徒歩3分。
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