『円空―旅して、彫って、祈って―』 あべのハルカス美術館

あべのハルカス美術館
『あべのハルカス美術館開館10周年記念 円空―旅して、彫って、祈って―』
2024/2/2~4/7


『護法神立像』 1685(貞享2)年頃 岐阜県・千光寺

江戸時代初期の僧・円空は、修験僧として旅を続けながら神仏を彫り続けると、優しい微笑みをたたえたり、また怒りの相を表す諸像は、当時の人々だけでなく多くの現代人の心も惹きつけてきました。

その円空の足跡を作品と資料を交えて紹介するのが『円空―旅して、彫って、祈って―』で、会場には木の破片を削って作った仏像のような小さな彫刻から2メートルを超える大作まで、約160体の円空仏が公開されていました。

1632年に美濃国で生まれたと円空は、幼い頃に出家すると、同時代の資料こそ残っていないものの、20代にして寺を離れて、富士山や白山などに籠りました。

そして1663年、数え年32歳の時に彫ったものが最初の作品と確認されていて、その後は東北や北海道へ旅しては神仏の像を制作しました。

40歳の時に法隆寺において法相宗の法系に連なる僧であると認められると、円空の旅は続き、岐阜、愛知、三重のほか、奈良にて修験の行者として修行を積み重ねながら精力的に像を彫り続けました。


『不動明王及び二童子立像』 1685(貞享2)年頃 岐阜県・千光寺

円空が1年あまり滞在し、住職の舜乗と意気投合しては造仏に励んだ、岐阜県の飛騨の千光寺より多くの円空仏がやって来ました。


『両面宿儺坐像』 1685(貞享2)年頃 岐阜県・千光寺

このうち『両面宿儺坐像』とは、飛騨に現れた異形の悪人で、『日本書紀』では滅ぼされたとされるものの、地元では悪竜を退治した英雄として語られる両面宿儺を象った作品でした。


『観音三十三応現身立像』 1685(貞享2)年頃 岐阜県・千光寺

また『観音三十三応現身立像』とは、千光寺に31体現存するほぼ同形の菩薩立像で、近隣の村人が病気の時に借り出しては平癒を祈ったと伝えられてきました。


『狛犬』 1685(貞享2)年頃 岐阜県・千光寺

初期から晩年への活動を辿ることで作風の変遷を見ることができるだけでなく、円空の残した歌などを参照しながら、円空の人となりを浮かび上がらせるような構成も良かったかもしれません。


『護法神立像』 1685(貞享2)年頃 岐阜県・千光寺

実に関西では20年ぶりの大規模な円空展というだけに、作品資料ともに不足はありませんでした。


『金剛力士(仁王)立像(吽形)』 1685(貞享2)年頃 岐阜県・千光寺

会期中、第4章「祈りの森」(一部展示作品を除く)と冒頭の『金剛力士立像』の撮影が可能です。


木の中に仏性を見出した、円空の祈りの世界。あべのハルカス美術館にて展覧会が開催中!|Pen Online

他館への巡回はありません。4月7日まで開催されています。

『あべのハルカス美術館開館10周年記念 円空―旅して、彫って、祈って―』(@enku2024) あべのハルカス美術館@harukas_museum
会期:2024年2月2日(金)~ 4月7日(日)
時間:10:00~20:00(火〜金)、10:00〜18:00(月、土、日、祝)
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:2月5日(月)、3月4日(月)
料金:一般1800円、大学・高校生1400円、中学・小学生500円。
住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
交通:近鉄線大阪阿部野橋駅西改札、およびJR線天王寺駅中央改札より徒歩3分。地下鉄御堂筋線天王寺駅西改札より徒歩2分。*それぞれシャトルエレベーターまでの所要時間。
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