「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」 森アーツセンターギャラリー 

森アーツセンターギャラリー
「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」
2019/9/21~11/17



森アーツセンターギャラリーで開催中の「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」を見てきました。

1960年にニューヨークで生まれ、80年代に「アートシーンで旋風を巻き起こす」(公式サイトより)も、薬物の過剰摂取により27歳で死を遂げたジャン=ミシェル・バスキアは、近年さらに評価され、「黒いピカソ」(カタログより)と称されるほどの地位を獲得しました。


ジャン=ミシェル・バスキア「メイド・イン・ジャパン1 2」 1982年 Private Collection

そのバスキアの作品が世界各地より約130点ほど日本へやって来ました。またバスキアも生前、複数回来日し、日本の文化などを取り込んだ作品を制作していて、タイトルの「MADE IN JAPAN」ならぬ、日本との影響関係にある作品も出展されていました。


ジャン=ミシェル・バスキア「フーイー」 1982年 高知県立美術館

僅か10年間に2000点を超えるドローイングと1000点以上の絵画を残したバスキアですが、よく指摘されるように、確かに作品には熱気とも呼びうる強烈なエネルギーが渦巻いていました。またモダニズム美術を踏まえつつも、ジャズやヒップホップ、アフリカの民俗や人種問題などの主題を扱っていて、どこか1980年代のアメリカ社会に対しての批判的態度も見受けられました。


ジャン=ミシェル・バスキア「炭素/酸素」 1984年 Hall Collection

既に多くの人々を虜にし、多様に語られるバスキアについて、私が付け加える言葉も見つかりませんが、あえて1つあげるとしたら、主に絵画における重層的な質感に大いな魅力があることでした。

とするのも、時に塗り固めるように塗られた絵具は、想像以上に激しく躍動感があり、ダイレクトに身振りをキャンバスへぶつけたかのような、振幅のある生々しい画面が築き上げられていたからでした。


ジャン=ミシェル・バスキア「無題」 1982年 Yusaku Maezawa Collection

そして「無題」の口や目の中の空間など、画面には奥行きも感じられて、さもレイヤーを重ねたような複雑な空間も表現されていました。かつてのブリヂストン美術館で回顧展のあった、デ・クーニングの筆触を思い起こさせる面もあるかもしれません。


ジャン=ミシェル・バスキア「プラスティックのサックス」 1984年 agnés b. Collection

一方で絵画を特徴づける文字は、極めて断片的な引っ掻き傷のような線で示されていて、それこそジャズのような即興性と、バスキア自身の何らかの叫びというような強いメッセージが表れているようにも思えました。なお線に関しては、バスキアの敬愛したトゥオンブリーに近いとも言われているそうです。


ジャン=ミシェル・バスキア「自画像」 1985年 Private Collection

これほど熱量のある作品をどこまで受け止められたかどうか自信がありませんが、事前に図版などで見知っていたグラフィックなイメージとは異なり、生の迫力という観点からしても、相当に見応えのある内容ではなかったでしょうか。しばらく作品を前にしていると、頭を殴られるかのような衝撃を感じました。


ジャン=ミシェル・バスキア「消防士」 1983年 北九州市立美術館

さて9月下旬からスタートしたバスキア展ですが、早くも今週末、11月17日をもって終了します。実のところ、私自身、会期初めと11月上旬の計2回、展覧会へ行きました。


ジャン=ミシェル・バスキア「ナポレオン」 1982年 Private Collection

今回の展覧会では「二度楽しめる!」と題して、11月1日までに入場し、出口にて所定の写真撮影をすると、11月8日までの平日17時から20時の間に限り、無料で再入場出来るキャンペーンが行われていました。

ちょうど2度目に出かけたのは、キャンペーンの終了間際、11月6日(木)の17時頃でした。入館に際しての待ち時間は特になく、会場内も撮影可の作品を中心に賑わっていたものの、おおむねスムーズに見られました。


ジャン=ミシェル・バスキア「無題(ドローイング)」 1986年 Collection of Larry Warsh

とはいえ、会期末が迫り、現在はチケットカウンターを中心にかなり混み合っているそうです。ラストの土日も大変な混雑が予想さるため、もしこれからお出かけの際は、予めコンビニなどでチケットを購入しておくことをおすすめします。


ジャン=ミシェル・バスキア「オニオンガム」 1983年 Courtesy Van de Weghe Fine Art

チラシ表紙に掲載された「無題」しかり、このところ何かとメディア等に露出も多かったバスキアでしたが、少なくとも近年、国内で今回ほど網羅的に紹介されたことはありません。


バスキアの作品は幾つかの公立美術館にも所蔵されているものの、100点超のスケールで見られる機会は、次、いつのことになるのでしょうか。その意味では一期一会の展覧会とも言えそうです。


ジャン=ミシェル・バスキア「自画像」(部分) 1985年 Private Collection

一部作品の撮影も出来ました。本エントリの写真も撮影可能な作品を掲載しています。



11月17日まで開催されています。遅れに遅れてしまいましたが、おすすめします。

「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」@fujitvart) 森アーツセンターギャラリー 
会期:2019年9月21日(土)~11月17日(日)
休館:9月24日。
時間:10:00~20:00
 *9月25日、26日、10月21日は17時まで。
 *入館は閉館の30分前まで
料金:一般2100(1900)円、大学・高校生1600(1400)円、中学・小学生1100(900)円
 *( )内は15名以上の団体料金。
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅1C出口徒歩5分(コンコースにて直結)。都営地下鉄大江戸線六本木駅3出口徒歩7分。
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