『ブラチスラバ世界絵本原画展』が千葉市美術館にて開かれています

スロバキア共和国の首都ブラチスラバで2年ごとに開催される「ブラチスラバ世界絵本原画展」には、日本はもとより、近年は韓国といったアジアの地域の絵本作家も数多くの受賞作家を輩出してきました。



この「ブラチスラバ世界絵本原画展」を起点に、近年の日韓の絵本文化を紹介するのが『ブラチスラバ世界絵本原画展 絵本でひらくアジアの扉-日本と韓国のいま』で、展示の内容についてイロハニアートへ寄稿しました。

ブラチスラバ世界絵本原画展でアジアの扉を開こう! | イロハニアート

さて今回の見どころは、「日本と韓国のいま」とのサブタイトルが示すように、日韓の出品作家による原画と絵本にあるといえるかもしれません。

日本とは異なり、創作絵本の歴史の浅い韓国では、イラストレーションを中心とした絵本が作られ、従来の絵本の枠にとらわれることがなく、新しいメディアとして世代を超えて絵本を受容するような文化が築かれれいきました。

そして原画においてもデジタルの技術が多く用いられ、文字のないサイレントブックが作られたり、装丁でも表紙に穴を開けるなど、日本ではあまり見られないようなユニークな試みがなされました。

また展示では単に原画や絵本を公開するだけでなく、日韓の出版社の編集者にインタビューを行ったり、作家に絵本づくりを聞き取るなど、「どのように絵本が作られるのか」という点にも掘り下げていました。韓国のAIやITを組み合わせたコンテンツの開発や普及活動も興味深い内容だったかもしれません。



『ブラチスラバ世界絵本原画展』の受賞作品を起点に、日韓を取り巻く絵本文化の「いま」を知ることができる展覧会だったのではないでしょうか。比較文化の観点からも見入るべき点の多い内容でした。


北城貴子『Resonating Light 1』 2009年

なお同展は、『新収蔵作品展―現代美術の作品を中心に』と同時開催で、8階展示室にて『ブラチスラバ世界絵本原画展』、そして7階にて『新収蔵作品展―現代美術の作品を中心に』が行われています。


本城直季『small planet 幕張メッセ』 2021年 ほか

『新収蔵作品展―現代美術の作品を中心に』では、2021年に市内で開催された「CHIBA FOTO」に出品された写真作品をはじめ、「2000年以降の絵画」と題し、福田美蘭や杉戸洋、それに工藤麻紀子といった現代の作家の絵画が目立っていました。あわせて鑑賞されることをおすすめします。


12月25日まで開催されています。

『ブラチスラバ世界絵本原画展 絵本でひらくアジアの扉-日本と韓国のいま』 千葉市美術館@ccma_jp
会期:2022年11月12日(土)~12月25日(日)
休館日:12月5日(月)*休室日:11月21日(月)。
時間:10:00~18:00。
 *入場受付は閉館の30分前まで
 *毎週金・土曜は20時まで開館。
料金:一般1000(800)円、大学生700(560)円、高校生以下無料。
 *( )内は前売り、市内在住の65歳以上の料金。
 *7階「新収蔵作品展」、常設展示室「千葉市美術館コレクション選」も観覧可。
 *ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18時以降は共通チケットが半額
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
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