都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
青森の美術館をめぐる旅:十和田・青森・弘前 Vol.1十和田市現代美術館
青森県立美術館をはじめ、十和田市現代美術館や2021年に開館した八戸市美術館など、青森県には現代アートなどのコレクションを有する5つの美術館とアートセンターが存在します。
私が約2年ぶりに青森の美術館を訪ね歩いたのは10月の初旬のことでした。現在、十和田市現代美術館では『名和晃平 生成する表皮』展、また弘前れんが倉庫美術館では『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』展などが開かれていて、まずは最初の目的地である十和田市現代美術館を目指すことにしました。
十和田市現代美術館の東北新幹線での玄関口は八戸駅、もしくは七戸十和田駅で、十和田へは両駅よりバスを利用する必要がありました。
十和田市民交流プラザ
はやぶさに乗って八戸駅に13時に着いたものの、良いタイミングにて十和田へ向かうバスがなかったため、青い森鉄道にて三沢駅へと移動し、そこから十和田へ行くバスに乗ることにしました。三沢から十和田への所要時間は約30分で、朝夕を除けば1時間に1本程度運行されていました。
十和田市現代美術館
2008年、東北初の現代美術館として開館した十和田市現代美術館は、十和田市の中心部の官庁街通りに位置しています。
十和田市現代美術館
西沢立衛の設計による建物は、白い箱のような展示室が独立して続く構成となっていて、外へと向けて開けた大きなガラス窓を特徴としていました。
ジム・ランビー『ゾボップ』 2008年
ジム・ランビーによってカラフルに彩られたスペースにて受付をすませ、ガラスの廊下を用いて次の展示室へと向かうと、ロン・ミュエクの『スタンディング・ウーマン』がすがたを現しました。
ロン・ミュエク『スタンディング・ウーマン』 2008年
同館では1展示室1作家1作品の展示を基本としていて、いずれも現代アーティストによる大掛かりなインスタレーションを中心としていました。
塩田千春『水の記憶』 2021年
塩田千春の『水の記憶』やトマス・サラセーノの『オン・クラウズ (エア-ポート-シティ)』といったホワイトキューブに映える作品とともに、ハンス・オプ・デ・ビークらによる暗室を用いたインスタレーションも面白いかもしれません。
マリール・ノイデッカー『闇というもの』 2008年
このうちマリール・ノイデッカーは『闇というもの』において、樹木を象ったジオラマを公開していて、深い夜の森の奥へと彷徨っているような気持ちにさせられました。
アナ・ラウラ・アラエズ『光の橋』 2008年
幾何学的の彫刻でありながら、SFに登場するような宇宙船を思わせるのがアナ・ラウラ・アラエズの『光の橋』で、橋とあるように内部を渡り歩くこともできました。
レアンドロ・エルリッヒ『建物―ブエノスアイレス』 2012/2021年
このほか、森美術館での個展が大変な人気を集めた、レアンドロ・エルリッヒの『建物―ブエノスアイレス』も楽しい作品といえるかもしれません。
オノ・ヨーコ『念願の木』 1996/2008年
ガラスの通路を行き来しつつ、階段から屋上、また外壁にまで点在するコレクションは想像以上に充実していて、企画展示室での『名和晃平 生成する表皮』とあわせて楽しむことができました。*名和展の内容についてはイロハニアートに寄稿しました。
名和晃平『PixCell-Deer#52』 2018年
名和晃平の個展が開催中@十和田市現代美術館 十和田限定オリジナル展示も! | イロハニアート
さて十和田市現代美術館にて特筆すべきなのは、まちなかへの展開、つまり美術館外でも作品の展示が行われていることでした。
草間彌生『愛はとこしえ十和田でうたう』 2010年 *アート広場より
道路を挟んだアート広場では草間彌生やインゲス・イデーらの作品が展示されていて、一部に関しては遊具のように触れたり、中へ入ったりすることも可能でした。
エルヴィン・ヴルム『ファット・ハウス』 2010年
この日も実際に子どもたちが楽しそうに草間の作品に入ったりしていて、アートが人々の身近な場所に根ざしていくさまを見ることができました。
アート広場から南へ徒歩7分の場所にある「space」もサテライトスペースとして用いられていて、ちょうどアーティストの青柳菜摘の個展『亡船記』の会場として公開されていました。
青柳菜摘『亡船記』 展示風景
「space」とはアーティスト目[mé]が空き家をホワイトキューブに改装したもので、建物を切り抜いたような大きな窓が目立っていました。
さらに街中に目を転じると、お茶や器を扱いながら、現代アートを展示したり美術館と連動した企画を行う松本茶舗といった存在もユニークといえるかもしれません。
松本茶舗内より毛利悠子のインスタレーション
ここでは店内に毛利悠子や栗林隆といった作品が展示されていて、見学を申し出るとオーナーの松本さんが丁寧に案内してくださいました。
十和田市地域交流センター
このほか、9月にオープンしたばかりの十和田市地域交流センターを見学していると、いつの間にか17時頃となっていました。この日は青森市にホテルをとっていたため、夜までに青森へ移動しなくてはなりません。
青森へ向かうバスの時間まで少しあったため、市内の馬肉料理店で馬肉鍋を美味しくいただき、その後バスにて青森へと向かいました。
青森の美術館をめぐる旅:十和田・青森・弘前 Vol.2青森県立美術館・国際芸術センター青森へと続きます。
『名和晃平 生成する表皮』 十和田市現代美術館(@ArtsTowada)、十和田市地域交流センター
会期:2022年6月18日(土)~11月20日(日)
*十和田市地域交流センター:2022年10月1日(土) 〜11月20日(日)
時間:9:00~17:00
*入場は閉館の30分前まで
料金:一般1800円、高校生以下無料
*十和田市地域交流センターは無料
住所:青森県十和田市西二番町10-9(十和田市現代美術館)
交通:八戸駅より十和田観光電鉄バス「八戸駅」東口5から乗車、「官庁街通」バス停下車、美術館まで徒歩5分。(所要時間 約1時間)七戸十和田駅より十和田観光電鉄バス「七戸十和田駅」南口2番から乗車(所要時間 約35分)
私が約2年ぶりに青森の美術館を訪ね歩いたのは10月の初旬のことでした。現在、十和田市現代美術館では『名和晃平 生成する表皮』展、また弘前れんが倉庫美術館では『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』展などが開かれていて、まずは最初の目的地である十和田市現代美術館を目指すことにしました。
十和田市現代美術館の東北新幹線での玄関口は八戸駅、もしくは七戸十和田駅で、十和田へは両駅よりバスを利用する必要がありました。
十和田市民交流プラザ
はやぶさに乗って八戸駅に13時に着いたものの、良いタイミングにて十和田へ向かうバスがなかったため、青い森鉄道にて三沢駅へと移動し、そこから十和田へ行くバスに乗ることにしました。三沢から十和田への所要時間は約30分で、朝夕を除けば1時間に1本程度運行されていました。
十和田市現代美術館
2008年、東北初の現代美術館として開館した十和田市現代美術館は、十和田市の中心部の官庁街通りに位置しています。
十和田市現代美術館
西沢立衛の設計による建物は、白い箱のような展示室が独立して続く構成となっていて、外へと向けて開けた大きなガラス窓を特徴としていました。
ジム・ランビー『ゾボップ』 2008年
ジム・ランビーによってカラフルに彩られたスペースにて受付をすませ、ガラスの廊下を用いて次の展示室へと向かうと、ロン・ミュエクの『スタンディング・ウーマン』がすがたを現しました。
ロン・ミュエク『スタンディング・ウーマン』 2008年
同館では1展示室1作家1作品の展示を基本としていて、いずれも現代アーティストによる大掛かりなインスタレーションを中心としていました。
塩田千春『水の記憶』 2021年
塩田千春の『水の記憶』やトマス・サラセーノの『オン・クラウズ (エア-ポート-シティ)』といったホワイトキューブに映える作品とともに、ハンス・オプ・デ・ビークらによる暗室を用いたインスタレーションも面白いかもしれません。
マリール・ノイデッカー『闇というもの』 2008年
このうちマリール・ノイデッカーは『闇というもの』において、樹木を象ったジオラマを公開していて、深い夜の森の奥へと彷徨っているような気持ちにさせられました。
アナ・ラウラ・アラエズ『光の橋』 2008年
幾何学的の彫刻でありながら、SFに登場するような宇宙船を思わせるのがアナ・ラウラ・アラエズの『光の橋』で、橋とあるように内部を渡り歩くこともできました。
レアンドロ・エルリッヒ『建物―ブエノスアイレス』 2012/2021年
このほか、森美術館での個展が大変な人気を集めた、レアンドロ・エルリッヒの『建物―ブエノスアイレス』も楽しい作品といえるかもしれません。
オノ・ヨーコ『念願の木』 1996/2008年
ガラスの通路を行き来しつつ、階段から屋上、また外壁にまで点在するコレクションは想像以上に充実していて、企画展示室での『名和晃平 生成する表皮』とあわせて楽しむことができました。*名和展の内容についてはイロハニアートに寄稿しました。
名和晃平『PixCell-Deer#52』 2018年
名和晃平の個展が開催中@十和田市現代美術館 十和田限定オリジナル展示も! | イロハニアート
さて十和田市現代美術館にて特筆すべきなのは、まちなかへの展開、つまり美術館外でも作品の展示が行われていることでした。
草間彌生『愛はとこしえ十和田でうたう』 2010年 *アート広場より
道路を挟んだアート広場では草間彌生やインゲス・イデーらの作品が展示されていて、一部に関しては遊具のように触れたり、中へ入ったりすることも可能でした。
エルヴィン・ヴルム『ファット・ハウス』 2010年
この日も実際に子どもたちが楽しそうに草間の作品に入ったりしていて、アートが人々の身近な場所に根ざしていくさまを見ることができました。
アート広場から南へ徒歩7分の場所にある「space」もサテライトスペースとして用いられていて、ちょうどアーティストの青柳菜摘の個展『亡船記』の会場として公開されていました。
青柳菜摘『亡船記』 展示風景
「space」とはアーティスト目[mé]が空き家をホワイトキューブに改装したもので、建物を切り抜いたような大きな窓が目立っていました。
さらに街中に目を転じると、お茶や器を扱いながら、現代アートを展示したり美術館と連動した企画を行う松本茶舗といった存在もユニークといえるかもしれません。
松本茶舗内より毛利悠子のインスタレーション
ここでは店内に毛利悠子や栗林隆といった作品が展示されていて、見学を申し出るとオーナーの松本さんが丁寧に案内してくださいました。
十和田市地域交流センター
このほか、9月にオープンしたばかりの十和田市地域交流センターを見学していると、いつの間にか17時頃となっていました。この日は青森市にホテルをとっていたため、夜までに青森へ移動しなくてはなりません。
青森へ向かうバスの時間まで少しあったため、市内の馬肉料理店で馬肉鍋を美味しくいただき、その後バスにて青森へと向かいました。
WEBメディア『イロハニアート』で「名和晃平 生成する表皮」をご紹介いただきました。ライターは美術感想ブログ「はろるど」の管理人さんです!@harold_1234名和晃平の個展が開催中@十和田市現代美術館 十和田限定オリジナル展示も! | イロハニアート https://t.co/gCgUiNM4e2
— 十和田市現代美術館 (@ArtsTowada) October 21, 2022
青森の美術館をめぐる旅:十和田・青森・弘前 Vol.2青森県立美術館・国際芸術センター青森へと続きます。
『名和晃平 生成する表皮』 十和田市現代美術館(@ArtsTowada)、十和田市地域交流センター
会期:2022年6月18日(土)~11月20日(日)
*十和田市地域交流センター:2022年10月1日(土) 〜11月20日(日)
時間:9:00~17:00
*入場は閉館の30分前まで
料金:一般1800円、高校生以下無料
*十和田市地域交流センターは無料
住所:青森県十和田市西二番町10-9(十和田市現代美術館)
交通:八戸駅より十和田観光電鉄バス「八戸駅」東口5から乗車、「官庁街通」バス停下車、美術館まで徒歩5分。(所要時間 約1時間)七戸十和田駅より十和田観光電鉄バス「七戸十和田駅」南口2番から乗車(所要時間 約35分)
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