「南極建築 1957-2016」 LIXILギャラリー

LIXILギャラリー
「南極建築 1957-2016」 
3/30~5/27



LIXILギャラリーで開催中の「南極建築 1957-2016」を見てきました。

日本が初めて南極に建てたのはプレファブの建築物でした。

時は1957年。場所は南極大陸から4キロ離れた東オングル島です。ここに日本は天体や気象の観測のための昭和基地を建設。その建物にプレファブが採用されました。



パネルは木質です。金属よりも断熱性が高く、結露も起こりません。また簡素で作りやすい。過酷な環境においても隊員らが効率的に作業出来るように設計されました。



以来、60年。現在の昭和基地には約70棟の建物があります。延べ3000名以上もの隊員らが観測活動を行ってきました。

そうした南極の建物に着目した展覧会です。いかに南極の気候に対応し、改良して行ったのでしょうか。南極建築の変遷を辿っています。

建築第1号の設計基準が厳格でした。なんと最低気温はマイナス60度。風速は毎秒80メートルに耐えなくてはなりません。一方で室内温度は20度です。つまり外気温との差は80度。同地の凄まじい環境が伺えます。



基地は観測船の代替りとともに拡張しました。まず第1次観測隊を南極に送ったのは「宗谷」でした。次いで1965年に「ふじ」が就航します。鉄骨コンクリート柱による居住棟などが建設されました。

さらに「しらせ」が就航。基地機能のゾーニングの見直しも始まります。1993年には基地の拠点となる3階建の管理棟が完成しました。頂上はドーム型です。中には食堂や娯楽室、病院や書庫なども整備されました。バーカウンターやビリヤード台もあるそうです。



今の南極船は2代目の「しらせ」です。2013年には太陽熱を利用するエネルギー棟が完成します。集熱パネルは屋根だけでなく、壁面にも設置されました。これは南極の太陽高度が低いために有効だそうです。デザインも斬新です。グッドデザイン賞を受賞しました。

昭和基地の改良は現在も進行中です。2018年の完成を目指して、4つの研究棟を統合するための観測棟の建築が行われています。



その観測棟は12角形です。雪に対応するために高さ4メートルの高床式です。フレームは鉄骨。しかし壁材には木質パネルが利用されています。



興味深いのは写真パネルでした。健康診断や厨房、食事風景など、隊員の方々の日常の様子が写されています。また基地では季節のイベントが重要で、例えば大晦日には除夜の鐘が毎年、新造されるそうです。ともするとイメージしにくい南極での生活を知ることが出来ました。



さらに各建築には図解パネルも展示。イラストレーターのモリナガ・ヨウがイラストを描いています。いずれも親しみやすい。建物内部の見取り図を細かに表しています。



ほかは装備品も紹介。実際に使用されたものでしょう。防寒着をはじめ、帽子や靴も展示されていました。



1階ではモリナガ・ヨウの原画展も行われています。繊細な色彩はパネルでは分かりません。そちらもお見逃しないようご注意下さい。(原画展は5/9まで)



5月27日まで開催されています。

「南極建築 1957-2016」 LIXILギャラリー
会期:3月30日(木 )~5月27日(土)
休廊:水曜日。
時間:10:00~18:00
料金:無料
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA1、2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分
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