「内海聖史 シンプルなゲーム」 void+

void+
「内海聖史 シンプルなゲーム」
11/11-12/10

void+で開催中の「内海聖史 シンプルなゲーム」へ行ってきました。

MOT常設の他、スパイラルなど、広い空間での展示も印象に深い内海ですが、今回はあえて奥行き4メートル弱、高さは2メートルにも満たない極小のホワイトキューブへと挑んでいます。


「スパイダー(黄)」

ギャラリーに足を踏み入れた途端、会場を埋め尽くす白とせめぎあって対峙する色彩に驚かされた方も多いかもしれません。キューブの端、斜め上にあたかも来場者を見下ろすかのようにして掲げられたのが、黄色いドットが空間を灯す「スパイダー」でした。

また作品の対角線上にある地平、床面には二本の蛍光灯が置かれ、それがちょうど作品の色を引き出すような仕掛けがとられています。作家の内海が「人間の頭の中」とも称したホワイトキューブには、まさに絵画における絵具の美しさと質感とにだけ向き合うことの出来る、極めてストイックでかつミニマルな空間が生み出されていました。



なお本展はこのギャラリーの他に、もう一つのスペースでも展示が行われています。こちらはソファなどの置かれたリビングルーム風の空間ですが、そこには他の出品作がさながら楽屋で出番を待つ者のように控えているではありませんか。星形の「スター」や12枚綴りの「ナイスなミュージック」などの発する様々な色が目に飛び込んできました。



さて今「出番を待つ者」と表現したことには理由があります。実はギャラリーの展示は会期中、4回ほど展示替えが行われ、その都度、ここに置かれた作品が違った形にて展示されます。前回は一面の緑の広がる「サムシンググレート」がなんと天井に掲げられていました。ようは今回の内海の考え出したゲームを楽しむには4度ほど会場へ足を運ぶ必要があるわけでした。


「ニンジャ(紫)」

次週、ここに控えた作品のどれかが、おそらくはまた思わぬ形にてギャラリーへと出演することに違いありません。また内海は、そのギャラリー空間を意識した上にて、作品の大きさはもちろん、展示スタイルにあわせてのキャンバスの折り方までを決めたとのことでした。練りに練られています。


「色彩の下(銀)」

この他、内海が初めて用いた色であるという銀の「色彩の下」や、あたかも何やら焦げ付いたような黒を大胆に塗り込めた「アホネン」など、色彩の持つ美しさと、その下に潜む荒々しさの両面を引き出した作品も展示されています。まさに絵画とは何かを問い、色の持つ力を引き出そうとする内海ならではの展開なのかもしれません。

一週目の展示を見逃したのが心残りです。何とか会期中、また伺いたいと思います。

ギャラリートーク
内海聖史 x 笠原出(美術家)、中村ケンゴ(美術家)、松山賢(美術家)
日時:12月9日(金) 19:00~

会場で配布される大判のカタログがまたよく出来ていました。これは永久保存版です。

12月10日まで開催されています。

「内海聖史 シンプルなゲーム」 void+
会期:11月11日(金)~12月10日(土)
休廊:日、月、祝
時間:14:00~19:00
住所:港区南青山3-16-14 1階
交通:東京メトロ千代田線・銀座線・半蔵門線表参道駅より徒歩4分。
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