「八木良太:高次からの眺め」 無人島プロダクション

無人島プロダクション
「八木良太:高次からの眺め」
10/30-11/19、11/29-12/17



清澄・無人島のオープニングも八木の個展でした。無人島プロダクションで開催中の「八木良太:高次からの眺め」へ行ってきました。

原美術館での「氷のレコード」、あざみ野での二人展などに続き、横浜トリエンナーレでも大いに注目を浴びた八木良太ですが、ここ無人島でもまた意欲的な展示を見せています。

「高次からの眺め」、つまり見えるものと見えないものの関係を別の次元、いわば高次元から探ろうという八木の試みは、一つのデジカメを通してなされました。


「Passage」(2011)

それが「Passage」(2011)です。白いLEDが等間隔で点滅する台の上には、市販のデジカメが一つ、電源の入ったままにて置かれています。一体ファインダーの中には何が映っているのかと思わずのぞき込んでしまいました。

すると肉眼で本来的に見えなかった光の粒が画面の下から上へと流れていくではありませんか。これは通常では見えない光の軌跡を、人間の目とは異なった次元のデジカメと装置にて捉えたものですが、その半ば光のカーテンは、シンプルながらもことのほかに神秘的な雰囲気をたたえています。まさに降りしきる光の雨粒でした。

さてレコードやテープといった音楽的な素材を用い、これまた思いもつかない表現を見せる八木ですが、今度はさらに一歩進み、作品にCDを取り込みました。


「CD」(2011)

その名もずばり「CD」(2011)とつけられた一面の平面の作品は、一見するところ何がCDなのか分からないかもしれません。


「CD」(2011)*部分

実はこれはCDの表面の膜をキャンバスの上に貼付けたものだそうです。うねるCDの波紋は、例えていえば琳派の流水の表現などを思いおこさせます。角度を変えて色味が変化し、七色に光る紋様を見ているとしばし時間を忘れてしまいます。下から上からと楽しみました。


「高次からの眺め」(2011)*正面

DMにも掲載された表題作、「高次からの眺め」(2011)は、透明の支持体、そして白い球、さらには影と、そのイメージが何層にも分かれてくる作品です。平面と立体、そして光と影の交差する様は、かつてモホイ=ナジが手がけた視覚芸術実験の世界を思わせるものがありました。


「無重力の雨」(2011)

宙から吊るされた金属の球体、「無重力の雨」(2011)を動かすと、まさしくパチパチと音をたてて球が互いにぶつかり合います。その規則的な運動、また音からは、どこか時間を刻む時計の針を連想しました。



なお会期途中、約10日間(11/20-11/28)の休みを挟みます。ご注意下さい。*その前後で展示内容は変わりません。

12月17日までの開催です。

「八木良太:高次からの眺め」 無人島プロダクション
会期:10月30日(日)~11月19日(土)、11月29日(火)~12月17日(土)
休廊:月・祝日
時間:火~金、12:00~20:00 土~日、11:00~19:00
住所:江東区三好2-12-6 SNAC内
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩2分。都営大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩4分。
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