4月11日付『ニューヨーク・タイムズ』の社説(電子版)が面白かった。
「飛ぶのが怖い――言いえて妙」というタイトルである。
紀行機で飛ぶことはかつてアドベンチャーだったが、今では恐怖の的である。長い、長い列に並び、その先で小突かれ、触られ、X線にかけられ、侮辱的な口調で詰問されるのを待つ。そのめくくりとして、階級別に分けられて、機内に入る。それからがもっとひどい。日曜日にシカゴのオヘア空港で保安要員が乗客を座席から剥ぎ取り、機外に引きずり出した。
日本の新聞でも話題になった米ユナイティッド航空の乗客の扱いについて社説の書き出し部分である。
さもありなん、と筆者は思った。ずいぶん前、ボーイング747がまだ日米間の主力飛行機だったころの話だ。サンフランシスコから成田に帰るときユナイティッドに乗った。
飛行機が滑走路に向かって動きだし客室乗務員が座席や安全ベルトなど乗客の最終安全確認を始めた。その時、アジア人の乗客が座席から離れようとした。乗務員が席に連れ戻したが、またすぐ席を離れようとした。乗務員が舞い戻って、その客を再度席に着かせた。
その乗務員が私の座席の横の通路を通りながら、呪いの言葉を吐いた。一言一言いまでは正確に記憶していないが「坐っているか、さもなくば、飛行機からとび降りるがいい」と英語で言ったのが私の耳に届いた。
乗務員の気苦労はわかるが、その当時(今でもそうかもしれない)のユナイティッド航空のキャッチフレーズは、なんと「フレンドリー・スカイズ」だった。
経営側のコスト削減・利益増大路線によって、会社の客室乗務員に対する扱いが過酷になり、従業員の労働条件に対する不満がお客に対する扱いに反映されるたのであろう。
それが今では会社が自己都合で乗客の剥ぎ取りという形にまで及んでいる。「アグリー・スカイズ」になってしまった。
(2017.4.16 花崎泰雄)
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