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news commentary

マントラ

2023-11-05 17:19:07 | 政治

「法の支配に基づく国際秩序は重大な危機にさらされている……同盟国・同志国の重層的な協力が必要だ……力ではなく法とルールが支配する海洋秩序を守り抜いて行こう」

――色不異空 空不異色 色即是空 空即是色

「ロシアのウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢をはじめ、世界各地で深刻な事態が多発し、日本周辺においても、一方的な現状変更の試みや、北朝鮮の核・ミサイル開発は続けられ、安全保障環境は戦後最も厳しいものになっています。こうした時代、変化の流れを掴み取るため、岸田外交では法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序をさらにもう一歩進めます。『人間の尊厳』という最も根源的な価値を中心に据え、世界を分断・対立ではなく協調に導くとの日本の立場を強く打ち出していきます」

――羯諦羯諦波羅羯諦 波羅僧羯諦

「増税メガネ」と言われていることをどう思うか、と国会審議で野党に言われたり、経済対策として減税を口にしたり、法務副大臣が辞任を余儀なくされたり、メディアの世論調査では内閣支持率の低迷が続く岸田首相は秋冷えを感じているのだろう。国会では野党の非力もあって、内閣には危機難が薄いが、首相自身はぬるま湯につかっているような冷えを感じていることだろう。湯桶の中で法を説いても念仏を唱えても、体を動かさないでちじこまっているとどんどん体温が落ちて、風邪をひいてしまうという不安がある。

世界の関心がウクライナとロシアの戦争、イスラエルとハマスの戦争に集中しているさなか、急ぎの案件がないまま、フィリピンとマレーシアに出かけたのは、政治体力維持のための遠足のようなものだ。

思い返せば、2年前の自民党総裁選挙で、岸田氏は手帳を掲げて「国民の声を聴き、手帳にメモを残してきた」と自身の聞く力を誇示してきた。あの手帳に何が書かれていたのか、何も書かれていなかったのか、詳細に報道したメディアは私の記憶にない。「新しい資本主義」などという言葉を口にしたが、岸田版の資本主義の新しい考え方についは岸田氏は実のある中身を何ら説明しなかった。

(2023.11.5 花崎泰雄)

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