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news commentary

関釜フェリーの航路

2014-06-16 16:54:02 | Weblog


「避難する日本人を載せた米艦を自衛隊が守る」という想定が、解釈改憲による集団的自衛権の是認の材料に使われているが、6月16日の朝日新聞朝刊に「朝鮮半島の有事で現地から日本の民間人らを米軍が避難させる計画は日米間で一度議論されたものの、最終的に米側に断られた経緯がある」という記事が載っていた。そんな経緯があったのか。

米軍の救出・保護作戦では①米国籍②永住許可証を持つ人③英国民④日本人を含むその他の人々、の優先順位になるという。こちらの方は聞いたことがある。

だとすれば、在韓日本籍の人々を日本に運ぶ手段として、米艦は本筋の話ではない。

関釜フェリーのルートは200キロほどなので、日本沿岸で運航しているフェリーをかき集めて、政府がチャーターして避難の人を運ぶ方がてっとりばやい。

朝鮮有事はかつての朝鮮戦争の時のように、北朝鮮が軍事境界線を突破して韓国に攻め込んで来ることを想定しているのだろう。

核兵器は抑止力や交渉力のための非実戦的兵器である。さらに、もしも北朝鮮がいったん核兵器を使ってしまえば、彼らの国家と金王朝支配が消えて無くなることを、北朝鮮もよく知っている。したがって、開戦は通常兵器を使って軍事境界線付近で始まる。

開戦に先立って北朝鮮は軍事境界線付近に兵力を集結させるので、この動きは監視衛星やさまざまなルートの情報でつかめる。日本政府の情報収集能力が健全で対処の動きが敏速であれば、有事勃発までに時間的余裕が生じ、半島南部からの民間船を利用した避難が可能になる。

朝鮮半島有事の際は日本―半島南部の海上ルートは最重要なシーレーンとなる。マラッカ海峡なみにさまざまな船が航行する。したがって、集団的自衛権の論議を持ち出すまでもなく、この航路は軍事的に防衛される。

(2014.6.16 花崎泰雄)
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