Podium

news commentary

坊主まるもうけ

2013-02-21 13:19:50 | Weblog

今朝(2013年2月1日)の朝日新聞朝刊(東京、14版)の社会面に、名古屋のお寺がハローワークで募集した僧侶見習いにお弔いを取り仕切らせた、という記事が載っていた。僧侶見習いは僧籍を持っていなかったが、死者の家族はお布施と寄付合わせて200万円を派遣したお寺に渡した。

数日前の中国からのニュースでは、山西省の世界遺産五台山の二つの仏教寺院が政府によって閉鎖された。寺が人を雇って僧侶のふりをさせ、観光客に線香を売り、儀式をとり行って大枚をせしめていたという。関係者も逮捕されたそうだ。

6年ほど前このコラムで、日本では結婚式業者にアルバイトで雇われた西洋人が、キリスト教の坊さん(神父あるいは牧師)に扮して結婚式の引き立て役をしているというBBCのニュースを取り上げたことがある(こちら)。「正式な結婚は役所で手続きした段階で成立するので、式場の坊さんは飾りに過ぎず、パフォーマンスによる結婚式の引き立て役なんだ」とアルバイトの体験を語ったイギリス人は、また、「英会話講師の賃金などとは比べものにならないうまい商売だった」とも言った。

フィリッピンのカソリック系のニュースサイトUCANEWSによると、昨年の万聖節にあたって、カトリックの司祭がニセ坊主にご注意と司祭会議のサイトで警告した。ニセ坊主は墓地で待ち受け、墓参に来る人たちに祝福を与え、“寄付”を集めるという。

2008年のことだが、信者の懺悔に興味をもった30歳の男が、神父になりすましてバチカンのサン・ピエトロ大聖堂の懺悔室にもぐりこもうとし、男の様子を疑った警備員に見つかった。ヨーロッパの新聞ダネになった。

同じ年、アイルランドでは修道士や修道女になりすました男女が永住を目的にしてアイルランドに入国しようとした事件があった。カトリックの国アイルランドでは、僧侶は敬われており、そのことを利用したらしい。しかし、にせの修道士や修道女は、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の骨格になっているモーセの十戒についてさえ知識があいまいで、すぐ化けの皮が剥げてしまったそうだ。

さて、名古屋の僧籍にない“僧侶見習い”だが、新聞報道によると、よくわからないお弔いの儀式は適当に間引き、インターネットで仕入れた法話を自分の体験で脚色して話したそうである。

(2013.2.21 花崎泰雄)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする