老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

冬の雨

2015-11-26 12:16:05 | 俳句
昨日も半日雨。
今日は朝から雨。
夏の間は、毎日テレビが報告する、吉野川の源流にある、早明浦ダムの貯水量が気にかかるのだけれど、冬になると、そのことはすっかり忘れている。
お隣の方々、野菜を育てている人とか、たまには水遣りをやらねばならぬガーデニングの愛好家さんが、
「雨が降らなくて大変」と嘆いているのを聞いて、ああそうか、雨はこの何日間か降っていないと、思うそれくらいの関心如になってしまっている。
殿 が元気だった頃は、雨の日の散歩はいやだった。
人間て、ことに私だけかもしれぬが、勝手なこと。

冬の雨の俳句を拾ってみた。

       ☆    冬の雨火箸をもして遊びけり   一茶
         
一茶の淋しさがぐっと胸にせまる。一茶を、あまり裕福でない俳人と、先入観を抱いて観賞している、私がいる。江戸時代の火箸が何で出来ているのかこの句を読むまで思ったこともなかった。
長い竹の箸、それとも木を削った細い棒状の箸か。火鉢を抱え込んで、火の消えかけて衰えた火勢に、持っていた火箸を折ってくべている。それを遊んでいると強がっている、一茶が見えてくるのだ。
俳諧師として、訪れる句座を開く家は、鉄で出来た私達も知っている、火箸を使用していたんだろうな。


       ☆    編棒のかちあう音や冬の雨   芝川百合子

       ☆    冬の雨ブラックコーヒー膝に猫    安部里子

       ☆    ひさびさに皆家に居り冬の雨    村上留美子

       ☆    口紅を濃くひき冬の雨に出づ     柳生千恵子       

どなたの句も雨となった冬の日の一こまを俳句に詠いあげた。
毛糸編みに夢中になっていると編棒のふれる音がする。かすかな音である。編んでいる本人にしか聞こえない。
熱い紅茶にしようか、コーヒーか。コヒーを入れて寛いでいると膝に来る猫。寒くて退屈な猫はご主人さまの膝の上が大好き。これも膝を貸している人にしか聞こえない、猫の規則的な寝息がする。
久々に家族が揃ったから、今日はすき焼きにでもしょうかと会話が聞こえてきそうな句。
そして、勝負服ではないけれど、少しでも、雨のくらさをふきとばさんと、口紅を朱くひいて気合を入れ雨の街へ出かけてゆく。
どなたの句も、気持ちがよくわかる。日常茶飯のこの事柄に気がつかなかった、私は、まだまだ俳句修行が足りないな~。


       昼近き朝餉となりぬ冬の雨
       猫あくび夫のため息冬の雨
なんと情のこもらぬ下手くそ俳句。オソマツでした。
検索したら
       ☆彡    池の岸打ちたる鳰の水輪かな
コメント
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