変な名前を付けられてしまった可哀想な植物の代表格は、おそらくこのヘクソカズラではなかろうか。葉や茎に独特の臭いがあり、蔓状に繁茂するやっかいな雑草なので、嫌われて「屁糞葛」となってしまったようだが、花は小さく赤と白のコントラストが綺麗な可愛い花だから、もうちょっと適当な名前を付けてやっても良かったのではないかと思う。英語名は、動物のスカンクに因んで「Skunk Vine」と言うそうで、洋の東西を問わず嫌われているようだ。
愛知県森林公園で咲いていたワルナスビだ。花はナスによく似ており、そう醜い花ではないのに、名前に“悪”という文字が使われて「悪茄子」となってしまった。茎には固い棘があり、有毒成分を含んでいるので家畜が食べると中毒を起こし、駆除しにくいやっかいな雑草であるために、農家からは非常に嫌われているようだ。北アメリカ原産の帰化植物だそうだ。
たぶんコオニユリだと思う。開田高原の湿地で咲いていた。コオニユリは、普通によく見られるオニユリよりも花がやや小さく、ムカゴが付かないので種で増えるそうだ。漢字では「小鬼百合」となるが、コオニユリもオニユリも、花は綺麗なのに“鬼”という文字が名前に使われてしまった。オニユリの英語名が「Tiger Lily」だから、“虎”が“鬼”になってしまったのかもしれない。