「 言われなければ分からない人間に、
何を言ったところで無駄だ!! 」
この言葉・・・
私が若い頃、同じ職場で働く同僚だった、
「アンパンマン」と名乗る男の口癖でした。
アンパンマン氏は凡人離れした人間で、
卓越した処世術を身に付けた男です。
どんな偏屈な人間も、意地の悪い奴も、怠け者も、
根性の曲がった人間も、
彼の手に掛かれば、いつの間にか、
「 個性的で有能な人間 」
に変貌していた。
自分に対して敵対心をもっている人間も、
最終的には、自分の味方にしてしまう
技を持っている。
彼は、自分の事を、
「 私は、世渡り上手の罰当たりです・・・ 」
と公言する奇怪な人間であった。
アンパンマン氏の言葉・・・
「 言われなければ分からない人間に、
何を言ったところで無駄である」
彼の発する言葉は、言葉の「音」だけを捉えれば、
「冷たい言葉」である。
彼の発する言葉は、常に毒があった。
大多数の人間は、彼の事を
「 善人なのか?悪人なのか?サッパリ分からん??・・・」
と囁いていた。
でも、私には彼の手の内が見えていた。
実は、彼の言葉の裏にには、
相手に対する「 深い愛情 」と、
「 信頼 」の想いが込められていたのだ。
この言葉の奥には・・・
「 信じてますよ・・・あなたは、本当は分かっている・・・
気が付くまで、黙って見守りますよ・・ 」
これは、イソップ寓話の、「北風と太陽」の
「 太陽 」を意味しているような気がする。
彼との縁は、あれから25年・・・
途切れることなく今も続いている。