傾聴ボランティア~緩和ケアにて~

~薬剤師・社会福祉士による小さなボランティア活動~

MSW

2005年11月14日 | 医療関連
今はいろんなものを略したり、頭文字をとるので、MSW、と書いても個々人にとっていろんなものが浮かぶかもしれません。
が、今回書いたMSWは臨床社会福祉士(Medical Social Worker)を指します。
12~13日に参加してきた日本死の臨床研究会ではMSWの話題がいくつかあり、その中でクロスロード・フォー・ソーシャルワーク社のヘネシー澄子さんが米国におけるMSWの役割について講演をされました。
発表にあった緩和ケアにおけるMSWの仕事は、今年私がハワイのホスピスで見てきたものと同じでした。
同じ米国だから当たり前なのですが、ハワイの時は英語でしかコミュニケーションがなかったので、ちゃんと日本語でも確認できた、というところです(笑)。

緩和ケアにおけるMSWの原則として以下の3点を挙げられていました。
・ソーシャルワーカーは個人・家族・グループ・そして介護者の健康と生活の質の向上を目的として働くこと。
・Palliatve と人生終焉期のケアでは、臨床士、教育者、リサーチャー、代弁者、地域リーダーなど多様な役割を演じること。
・倫理上のジレンマに直面したとき、「クライアントの自己決定」の原則を引用すること。

ハワイのホスピスで出会ったMSWは上記の原則に則して仕事をしていましたし、患者宅を訪問してひたすら患者の心に寄り添っていた印象があります。

実はメディカルケアプランニングのサービスは、米国ホスピスのMSWの仕事を参考にMSWとしての役割と薬の相談にのるという薬剤師としての役割とをそなえたコンサルティング、ともいえます。ワンストップサービスをめざしています。

米国ではSWは病院やホスピス以外にも多方面で実際に活発に活躍されて、重要な仕事として社会から必要とされています。
残念ながら日本ではSWの重要性が認識されていません。
またいろいろな問題があってすべての病院、ホスピス病棟にMSWを配置することはできません。

国民にとってSWが身近な存在になってくれればいいと思います。
そのとき、恐らくメディカルケアプランニングも身近に感じていただけるハズです。

研究会参加

2005年11月12日 | 医療関連
今日11月12日から13日に山口県で開かれる、第29回日本死の臨床研究会年次大会に参加の予定です。
朝9時から始まりますが、当日入りします。
なんと朝6時の新幹線。・・・ねむそう。
いつもなら夢の中というところでしょうか。
ホスピス・緩和ケアの世界では著名な先生方も参加されることから、たいへん楽しみにしております。

がん性疼痛緩和

2005年11月11日 | 医療関連
がんによる痛みがある時、まずボルタレンのような非ステロイド性抗炎症剤 NSAIDs で痛みを抑えます。
これらの薬ではコントロールできなくなったら、次の薬に変えていきます。
事実使われている薬が、モルヒネの徐放剤、先日紹介したフェンタニルの貼付剤(デュロテップパッチ)、それから塩酸オキシコドンの徐放剤(オキシコンチン)です。
WHO方式がん疼痛治療によるとモルヒネがスタンダードに使われます。
モルヒネでは効果がない人や、モルヒネの副作用で継続が不可能な場合、デュロテップパッチやオキシコンチンが選択されます。
モルヒネの代表的な副作用は、便秘と吐き気・嘔吐です。
デュロテップパッチはいずれの副作用も少ないようです。また経口摂取が難しい人に選択されます。

モルヒネと聞いてどんな印象を持つでしょうか。

痛みがあるため日常生活に支障をきたしたり、イライラして八つ当たりしたり、楽しくありませんよね。痛みはないことが理想です。
痛みが有るかないかの判断者は、ご家族でも医師でもなくご本人なんです。
痛いのであればそれをなくしましょう。そのための手段がモルヒネであり、上記の薬なんです。
モルヒネに対して悪い印象や先入観を持って使うのを躊躇しますか。
印象や先入観があるために使わなかったら痛みから解放されなくなります。
そんなの損だと思いませんか。大切な時間を痛みとの戦いで過ごすなんて。
今健康な人も痛みから解放されることの重要さ、そしてその手段としてモルヒネの効用を知っておいてほしいと思っています。

患者の気持ち

2005年11月10日 | 医療関連
小学生の時、姉が風疹にかかりました。
私は「やーい。ぶつぶつやぁ」とからかっては怒られていたんです。
…実際に風疹にかかってないから他人事ですよね。
その後しばらくして私も風疹にかかりました。
発疹が全身に出てすごく醜いし、ショックでショックで仕方ありませんでした。
その時はじめて姉が辛かったんだな、と気がつきました。
…当事者にならないと実感はできないんですね。
姉はすっかり治っていましたが、私に言われたことを言い返すことはなかったんです。
…経験したものは気持ちがわかるんです。

実際にその立場にならないと実感できません。
特にがんなどの重い病気は、精神的なショックが大きいからなおさら。
風疹で例えるなんてちょっと釣り合わないですがすいません。
同じ境遇の者同士でないとわかりあえないことがある、同じ境遇の者にしか言えないことがあるんだと思います。
だから患者会、遺族会、というのが必要なんですね。

こういう一つ一つの活動を大切にしたいし、個々を貫くような情報の流れができたらいいと考えています。

在宅ホスピスケアでの介護保険

2005年11月08日 | 在宅ホスピス
65歳以上のがんをわずらった人が在宅ホスピスで療養するにあたって是非利用したいのが介護保険制度です。
来年の4月からは40歳以上に年齢枠が引き下げられます。
では在宅ホスピスを受けている人は、介護保険ではどのようなサービスを受けることができるでしょうか。

病期によって2パターンあります。
①がんの末期と診断されていない場合、医療保険で医師の訪問診療を受け、介護保険で看護師による訪問看護や訪問介護を受けます。
②がんの末期と診断された場合、訪問診療及び訪問看護ともに医療保険で受け、その他の訪問介護などを介護保険で受けます。

介護保険の自己負担ってどれくらいかかるの?って疑問に思ったら概算してみましょう。
西宮市社会福祉事業団のホームページに介護保険料のシミュレーションがあるのでそれを利用してみます。
http://sukoyaka.nishi.or.jp/index.php 
見積もりシミュレーションと書いたところをクリックして進んでください。
要介護度に応じて月々いくらまでの介護が受けられるか、それぞれのサービスを選択して自己負担額がわかります。

便利なサイトですが、他の市区町村にもあるんでしょうか。
値段は同程度あるとは思いますが詳細は確認してくださいね。


①の場合、医療保険介護保険あわせてどのくらいの自己負担になるか、概算してみます。
【医療費自己負担】3割負担の方で70,000円、1割負担の方で23、000円ほど。
【雑費】医師の交通費(実費請求)がかかります(例・3,500円 x 4回 = 14,000円)。その他介護用品にかかる費用。
【介護保険自己負担】訪問看護を介護保険で週に1回受けると、ひと月4,300円ほどの自己負担。さらに週に1回生活支援の訪問介護を受けると、あわせて6,300円ほど。

②の場合、診療と看護を包括して請求する診療報酬で受けた場合を考えてみます。
【医療費自己負担】3割負担の方で高額療養費制度を受けて月額75、000円、1割負担の方で45,000円ほど。
【雑費】医師や看護師の交通費(実費請求)がかかります(例・3,500円 x 13回 = 45,500円)。その他介護用品にかかる費用。
【介護保険自己負担】生活支援の訪問介護を週に2回、身体介護を週に2回、車椅子とベッドを借りて、月額13,000円。

(引用:がん末期における在宅ホスピス・外来・入院医療費の比較分析と評価報告書 福島労災病院 外科 蘆野 吉和 先生ら
西宮市社会福祉事業団のホームページ http://sukoyaka.nishi.or.jp/index.php )

となります。

高額療養費制度がある限り、びっくりするような医療費はかからないんですよね。
医療保険と介護保険の制度ってすばらしいですね。
たくさんかかると思いますか?
医師と看護師が頻繁に通ってくれてこれだけの費用で済むなら決して高いとは思いません。
医療と福祉はタダではありません。
これがみなさんが共通に受けられる医療と福祉のサービスです。

さらに、もっと快適に、もっと優雅に、ワンランク上のサービスを求める方に、メディカルケアプランニングがワンストップで相談を受け付けます。

がん性疼痛緩和

2005年11月08日 | 在宅ホスピス
がん性疼痛に対してはWHO方式がん疼痛治療法と呼ばれるステップに沿って疼痛が管理されるのが一般的です。
使用できる薬は2、3年前までは、非ステロイド性鎮痛剤とモルヒネ製剤が一般的でした。

フェンタニルはモルヒネよりも鎮痛効果が高い麻薬です。
以前は手術中の麻酔などに使われるのが主でしたが、鎮痛効果が高いこと、そしてモルヒネで起こる特有の副作用が少ないことから、がん性疼痛緩和薬に適していると言われていました。
フェンタニルの貼付剤は2002年に発売され、注射剤はがん性疼痛緩和の目的でも2004年から使用できるようになりました。
フェンタニルの貼付剤はデュロテップパッチ、フェンタニルの注射剤はフェンタネストと呼ばれます。

このデュロテップパッチが発売されたことで、がん性疼痛の治療は大きく変化したと思います。

デュロテップパッチは普通モルヒネなどからの切り替えを行います。
時により他の麻薬系鎮痛薬へ切り替えたり、もう一度モルヒネに戻ったりと、ローテーションしながら使ったりもします。
この切り替えには用量の調節がとっても重要で、突発的な痛みに対しレスキュードーズ(モルヒネの追加投与)を含めた使用方法の熟知が必要。適量が投与されないとひどい痛みが現れたり、効きすぎてしまったりとした弊害が現れるためです。

デュロテップパッチは3日ごとに貼り変えます。徐々に皮膚から浸透していくため即効性はなく、血中濃度は48時間後にピークを迎えます。
ですから効果が現れるまでに時間がかかるため、モルヒネから切り替える時は最初は必ずモルヒネと併用します。

在宅で疼痛緩和を管理するのにこのパッチはとっても便利だと思います。
普段はデュロテップパッチを貼って、突発的な痛みにはレスキュードーズ。
これで快適な在宅ホスピスが実現できる人が増えればと願っています。

民間療法

2005年11月02日 | 医療関連
がんなどの重い病気にかかると、健康食品や民間療法を使う方が多いようです。
一人当たり20万円もかけると言われています。

医薬品は科学的な論理に基づいた試験をして有効性と安全性が検証されてはじめて医薬品として承認を受けます。
しかし健康食品などはそのような検証がされていないものが多いのが現状です。
科学的証拠がない、ということです。

嘘の事例を並べた本を出版しいかにも効果がありそうな印象をあたえたとして逮捕された業者もありました。そんなにすばらしい効果があるなら、大手医薬品メーカーが開発に乗り出すでしょうに。仕事で国立がんセンターへ行ったとき、玄関前でチラシを配っていた業者がありました。びっくりです。

使いたいと思ったら、その前に科学的証拠があるかどうか、医薬品なのか健康食品なのか、何より主治医や信頼のおける医療関係者に聞いてみて、いろんな面から考えてそれから試してみてはと思います。
高価だし口に入れるものだしよく考えてほしいです。

がん患者団体

2005年11月01日 | 在宅ホスピス
今日はがん患者団体の事務局の方とお会いしました。
患者さまのネットワークが現状どのようになっているかを伺ったのですが、団体毎に大きく異なっていてヒトコトでは言い表せないようです。
インターネットを使いこなせる方がそれほど多くはないこと、どちらかというとご家族の方が活発らしいです。ブログもご家族によるものが多いようですね。
これから地道にそういった活動を探してみようと思います。
何かご存知の方がおられたら、教えて下さいね。