傾聴ボランティア~緩和ケアにて~

~薬剤師・社会福祉士による小さなボランティア活動~

死を遠ざけたい私達(3)

2009年02月25日 | 緩和ケア
<昨日からのつづき>

ふと考えました。

私は「今日死んでもいいように生きよう」と思いながら生活しています。

社会人一年目の4月に既にそう言った記憶があるので、若い頃からそんなことを考えていたんですね。

どうしてそんなことを考えるようになったんでしょう。

強烈に死を意識したことがあっただろうか。。。



と考えて思いつくのが、阪神淡路大震災でした。

自宅の周りではたくさんの家が全壊し、たくさんの人が亡くなりました。

春になって就職して関東へ研修に行くまで、なんだか現実味のない意識の中にいました。

「震災前の生活が夢で、今私は夢から覚めたのだ、このままずっとこの生活が続くのだ」

「昔のあの平和な生活はもう来ないんだ」

「どうして私は生きているんだろう。これでいいんだろうか。」

そんなことを常に考えていました。

その数ヵ月後に「今日死んでもいいように生きよう」と言っていたのだから、これがきっかけかもしれません。


阪神地区には全国的に見て、人口の割りにホスピス病棟が突出して多い地区です。

震災と死生観と何か関係があるのでしょうか。



話は戻りますが、映画「おくりびと」は予想よりもヒットしました。

国内外をはじめたくさん受賞しています。

これは、社会の端っこが少し変化している現象かもしれません。

「死を遠ざける」社会に変化の波はきている。

最初は感じないくらい小さな波だけど、波は進むうちにどんどん大きくなるかも。


どんな時代が来るのか、とふつふつ考えています。


死を遠ざけたい私達(2)

2009年02月24日 | 緩和ケア
<昨日からのつづき>

がん相談を受けている中で、治らないと医師から言われても、

本人からできるだけ死を遠ざけたいと考えるご家族がほとんどであるのは事実。



がん治療をしている医師は

「家族が本人に真実を伝えることを拒むから、私たちから言うことはない。

真実を伝えた後に家族が支える自信がないものを、自分が支える自信がない。」



がんの患者さんからこんなことを聞かれることがあります。

「私はもう死ぬんでしょうか?

先生から何か聞いていませんか?

知っていたら家族にも先生にも内緒にしておくから、教えてほしい。

あなたから聞いたって言わないから」と。

ううう。

これを聞かれるのがかなり辛い私です。


そういった後、患者さんは私の一挙手一投足をみています。

私は「どうなんだろうね」って一緒に考えるしかありません。



<明日へつづく>

死を遠ざけたい私達(1)

2009年02月23日 | 緩和ケア
昨年2008年暮れに、映画「おくりびと」を観ました。

私は普段から、死を意識する人、本人はもちろん家族も、と接するので、

「おくりびと」の映画を観るのはさほど不思議でも、特別なことでもなく、どちらかというと当然のできごとでした。

映画を観て思ったことは、納棺の儀式は遺族にとってのグリーフケア 遺族ケアになっているんだな。

通夜、葬儀、初七日、四十九日などの法事が、グリーフケアになっているのと同様です。

ステキな仕事だなぁと思いました。

映画館の観客の多くは40代~70代くらいの普通のご夫婦でした。

この人たちはどうしてこの映画を観に来たのだろう、どう感じたのだろうと興味がわきました。


糸井重里さんの『ほぼ日刊イトイ新聞』中に、「おくりびと」に出演していた『もっくん』こと本木雅弘さんとの対談を見つけて、興味深く拝読しました。

このHPにその答えはありませんでしたが、映画評論でない感想を知ることができました。



対談の中にもありますが、現代社会では死を遠ざける傾向があります。

死を遠ざける現代だからこの映画が際立ったのかもしれません。

死を遠ざける、それは本当に日常的に感じます。



先日終末期のがんの話をしていると、ある人がこんなことを言いました。

「死ぬなんて考えたことはない。

がんになって治らないって言われたらどうしていいかわからなくなると思う。

できれば、ぽっくり死んでしまいたい」

「ぽっくり死んだら何も準備できないけど、がんだったら死ぬ準備ができるよ」

と言っても

「準備なんてない」とのこと。

私はいろいろと準備をしたいなぁと思います。

<明日へつづく>


森カフェの準備(2)

2009年02月13日 | 緩和ケア
先日の日曜日、山で森カフェが滞りなく実施できるか、テストしてきました。

日曜日の昼、神戸六甲山系の一つ、摩耶山へ行きました。

JR六甲道で降り、バスで摩耶ケーブル下へ。

摩耶ケーブルを乗り継いで摩耶山頂へ。


そしてお目当ての場所へ行き、カフェをはじめたのですが・・・・、

日曜日は天気はよかったものの、風がきつくて手がかじかみました。

ランチを食べようとパンを持っていったのですが、

そのパンを持つ手がかじかみ、感覚がなくなり、しっかりパンをつかんでいるかわからないほど・・・。

2月8日。気温計をみると摂氏1度。

そりゃ寒いですよね。

でもお湯はめでたく沸騰して、あったかいコーヒーと紅茶をいただきました。

(写真を撮ろうと思いましたが、寒さで忘れてしまいました・・・。)

コーヒーはドリップの間に少し冷めてしまうのが問題でしたが、

森カフェをはじめる3月末にはそこまでの寒さはないだろうということ、

サーモマグを駆使するなど対策を考えました。


考えてみればいきなり山へ行かなくても公園でもできたのでは、ということで、

今度は近くの公園でテストしてみます(笑)。


森カフェの準備

2009年02月03日 | 緩和ケア
この日曜日に森カフェの準備に買出しに行きました。

行った先は登山用品店。行ったことがないので見ているだけで楽しい場所です。

そこで、ガスストーブ、コッヘルを買いました。

初めストーブと聞いた時、身体を暖めるストーブを思い出しましたが、

山グッズではコンロのことをストーブと呼ぶんですね。

ガソリンを持ち歩くのは抵抗があるので、ガスにしました。

コッヘルは鍋のこと(だと思います)。

私は重いのが何より嫌いなので、軽くて丈夫なチタン製のやかんをセレクト。

中に物が入れれるようにと、蓋が大きく開くタイプを選びました。



紅茶専門店では、葉がジャンピングできるように三角形のパックに入れてくれるところがありますので、それを購入予定。


コーヒー豆はあるのにミルがなかったので(苦笑)、ミルを買いました。

手挽きが風情あるのですが、買ったのは電動ミル。臼式です。山では挽きません。

地上で挽いてから持って行きます。


今度実際に摩耶山へ行って、紅茶やコーヒーを入れてみます。

楽しみです♪

藍田さんの散歩(2)

2009年02月02日 | 緩和ケア
つづき

ご存知ない方もいらっしゃるかもしれないので補足しますと、

リクライニング式の車椅子の車輪は、座るだけの車椅子のように大きくありません。

小さくて、寝ていると遠いのです。

散歩の前に看護師さんから

「あまり移動しませんが。」

という前フリはうそのよう。

ぐんぐん進むし、自分でもこぐし。


私は汗をかきました。

だって、車いすはフラットになっているから腰をかがめないと押せないし、

酸素吸入器をガラガラ一緒に押さなきゃならないし。




あとで看護師さんに一連の話しをすると

「え~。うそ~。信じられない~!」と。

「いつもそんな感じじゃないんですか?」と聞いたら

大きな目を開けて大きく顔を横に振りました。

人が変わると、気持ちも変わるのでしょうか。


ほんの一瞬でも楽しんでもらえて、ほんと行って良かった。

行く前は『面倒だな』と思ったけど、ほんと行って良かった。

藍田さんありがとう。