傾聴ボランティア~緩和ケアにて~

~薬剤師・社会福祉士による小さなボランティア活動~

傾聴ボランティア

2013年09月01日 | 在宅ホスピス
傾聴ボランティアでの一瞬を切り取ります。


「気弱なことを言わないで」

こんなふうに家族に言われたら。

とても不安で心細く一人では抱えきれない時、それを完全に消すことはできないけど、誰かと分かち合えたら、少しは気が楽になる。

なのに、話せる数少ない相手、家族にそんなこと言われたら、口をつぐんでしまう。

じゃ誰に弱音をはけるんだろう。

誰かれなしには言えないのに。



でも家族だって、本人と同じくらい辛い。だから、気弱なことを言われたら、どうしたらいいのかわからない。

なんとか本人の前では泣き言も言わず頑張っているのに、どう頑張ればいいのかわからない。



そんな言葉にならない独り言がベッドサイドでつぶやかれている。

誰にも届かずに。

傾聴ボランティア

2011年12月07日 | 在宅ホスピス
ボランティアでの一瞬をつぶやきます。



先週石田さんが来た時から比べたら、ずいぶん気持ちが落ち着きましたね。落ち込むことはあるけど、前向きな気持ちになれる時間が増えたように思う。

来週石田さんが来るときまでに、その映画を見るのを目標にしよう。以前の僕にはなくて今の僕にあるものは、時間。病気になって得た唯一の良いものなんだ。有効活用しなきゃ。

そういって私の訪問を区切りに目標をたてたり、体調や気分の変化を振り返る。


その次には本を読みたいんだ。本を読むのって意外と体力いるんだよね。

ベッドサイドには、カバーのない、司馬遼太郎の単行本が置いてある。

その本を読んでいるのですか?と聞くと、読もうと思って置いてるのだという。そのわりには司馬遼太郎のその本は使い古されている。


毎週、目に見えて、体力が衰えていくのがわかった。

そしてもう、あえなくなってしまった。

傾聴ボランティア

2011年10月31日 | 在宅ホスピス
傾聴ボランティアで私に投げかけられた言葉です。

「仕事が中心で自分が病気になるなんて考えもしなかった。
ましてやもう死が近いだなんてこと予想だにしなかった。

つい先日まで。

死が近いとどんな精神状態になるのか、がんになるとどんな治療をするのか、そんなことを考えることとは無縁だった。



がんになった今だから知りたい。

他の患者がどんな風に気持ちの整理をつけているのか。

どうか教えてほしい。

私がいつか自分の気持ちを整理できる日が来るのか。

と言うことを。」

傾聴ボランティア

2011年08月21日 | 在宅ホスピス
随分前になるが、某緩和ケアの先生の講演を聞いた時、「矢先症候群」という話をしていた。

なんでも「○○しようと思った矢先、がんになってしまうものだ」と。なるほどなと思い聞いた記憶がある。

先日それを思い出すことがあった。

「仕事が忙しくて、妻と一緒に過ごすことが出来なかった。

一緒に旅行にも行けなかった。

これからはもっとプライベートの時間を作って、妻と一緒に過ごす時間を作ろうと思っていた矢先、病気が悪化し、こんなことになってしまった。」

と涙を流した。

「それだけが、悔やまれてならない」

と、声を震わせながら言った。

傾聴ボランティア

2011年07月24日 | 在宅ホスピス
とても久しぶりにブログを書きます。


傾聴ボランティア、最近心を開いてくれる人が増えた気がします。なぜでしょう…。私の何かが変わったのだと思います。

何が変わったのだろうと考えるけどわかりません。歳をとったからか?


緩和ケア病棟に入院する患者さんからこんな質問をされました。

患者さんは二人称「あなた」で表現してみます。


「人間は、いったいいつまで、頑張ればいいんでしょう?」

…もちろんわからない。

長い沈黙。

バラエティ番組の声だけが聞こえてくる。

考えてみた。

『あ~そうか。もしかしたら、生きている限り、人は頑張り続けなければならないんだろうな』とよぎる。

それを伝えると、

あなたは「それは終わりがないんです」と言う。

そしてまた、沈黙の後ポツリと言う。

「それは地獄なんです」


思わず胸が詰まる思いがした。

それを察知したのか、「あなたも辛いわね」と言うので、私はこくんと小さくうなずいた。

それを見た目から、涙が一粒流れおちた。

私から素直に

2010年07月06日 | 在宅ホスピス
「それは不安ですよね。大変ですよね」と問いかけると

「そうじゃない。そんなことはない。」

患者さんやご家族の傾聴をしていて時々こういった答えをする人がいるんです。

自分が辛い思いをしていると否定する、不安に思ってると否定する…

そのたびに私は、素直になれば良いのにとか、あるいは違ったこと言ってしまったかな、と思います。

でも本日気付いたことがありました。


私もそんな言葉かけをしてもらうと、同じように答えていたことに。

相手に素直になれと言う前に、自分がまず素直にならないといけないよな。

少し反省。

でもね、私の域値は高いんです。滅多なことでないと、辛いとか大変とか思わない訳で。

と言ってるのが否定している訳で、素直さが足りないのか、はたまた鈍いのか…。


そして仮に、その言葉かけが間違っていても別に悪い気はしないなとも思いました。

もし私がほんとに気分を害するのであれば何か別の理由が潜んでいそうな気がします。


人の心は七変化ですね。

改めて傾聴の難しさを思い知らされました。

気付きをくれる

2010年06月05日 | 在宅ホスピス
実はこの東京スカイツリー、教えてもらったのは傾聴ボランティアをした患者さん。

「散歩する度あの東京スカイツリーを見てるの。」

へぇ。それまでは全く気にしていなかった。あまり興味もなかった。

それから私も東京スカイツリーを気にして見るようになりました。そしてそれを見ると、その方を思い出すのです。

私は普段、周りの変化などを見る余裕がないのですが、そんな風に気づかせてくれるのは患者さんであることが多いです。

ありがたいです。

事業形態変更のお知らせ

2009年11月02日 | 在宅ホスピス
日頃、弊社(有限会社メディカルケアプランニング)の事業について
さまざまな方面の方々から、ご支援、ご指導をいただき、またご心配をいただいてまいりました。

これまで続けることができたのもそういった温かいご支援・ご指導の賜物と心より感謝しております。

この度弊社は事業形態を変更することとしましたので、お礼方々報告申し上げます。

〈事業形態の変更〉

◆がん患者さんとご家族向けの相談業務を営利事業から非営利活動に変更致します。

がんの相談をより多くの人に利用していただけるよう、これまでの方法を見直しました。
非営利活動に変更し、相談を受ける人と相談者を増やしていくこととします。

相談を受ける人については、医療・福祉の業務経験があり、患者さんやご家族のために役に立つ活動をしたいと考える方を広く集めたいと思います。

相談活動の名称を「一口相談会」とし、原則電話相談とします。


◆実施団体名を「がん家族支援 メディカルケアプランニング」とします。

「がん家族支援 メディカルケアプランニング」は「一口相談会」の他、講演活動及びウェブサイト「ホスピス・緩和ケアの歩き方」での情報提供活動を「有限会社メディカルケアプランニング」から引き継ぎます。その上で「有限会社メディカルケアプランニング」は休業と致しました。

「がん家族」とした理由は、ウェブサイト「ホスピス緩和ケアの歩き方」をご覧いただき問い合わせる方の多数がご家族であったためです。今後もウェブサイトを通じた情報発信がメインになることから、多数を占める家族を示しました。もちろん患者さんご本人、患者さんを大切に思う人も含めて相談にのります。

今後石田が行う講演については、勝手を申しますが土日祝に限り引き受けさせていただきます。

「がん家族支援 メディカルケアプランニング」として活動を続けていくことは、
相談業務がセカンドステージに入ったと認識しております。

今後一層の精進をして参ります所存ですので、これまで同様ご指導いただけますと幸いに存じます。
今後ともどうぞお引き立ていただきますようお願い申し上げます。

がん家族支援 メディカルケアプランニング
石田 有紀

往診かばんをのぞけば在宅ケアが見えてくる(2)

2009年07月13日 | 在宅ホスピス
往診かばんの中身を見て分析する の続きです。

関東と関西の違いは・・・ジャーン

まずは当然?関西はボケとつっこみがあって、のっけから意味のない絡みを披露するのだそう。

↑患者さんの調子をみる重要な問診?ともいえるのでは。

今日のつっこみは切れがないから、調子が悪いのか・・・。


関東は、何があっても真剣に聴診器をあて、血圧を測り・・・という手順を守るそう。

それと、往診車。

関東はヴィッツやパッソなど、国産小型車、ボディカラーは白が主流ですが、関西に決まりはない。

外車あり、赤色あり・・・。

実際私が往診を見学させてもらった車は、確かに外車でした。


そんなもんだと思っていましたが関東へ行けば違うんですね。

阪神ホームホスピスを考える会で講演をします

2009年06月25日 | 在宅ホスピス
詳細は以下の通りです。


日時 2009年7月4日(土)午後4:00~6:00

会場 尼崎市中小企業センター401会議室

   尼崎市昭和通2丁目6-68

司会:さくらいクリニック 櫻井 隆 先生

【一般講演】

がん患者・家族の個別サポート 薬剤師の取り組み

~不安と孤独がなくなると、笑顔があふれる~

有限会社メディカルケアプランニング 石田有紀

【特別講演】

往診かばん

~のぞけば在宅ケアが見えてくる~

自治医科大学地域医療学地域医療学部門

つるかめ診療所 (栃木県下野市) 鶴岡優子 先生


*事前登録不要で、どなたでもご参加いただけます。


今回が15回ですが、思い起こせば、はじめてこの会を聴講したときはまだ一桁でした。

いつも「ふんふん、へぇ~」と聴講していた立場なのに、今度は話す側に立つのは不思議な感じがします。

精一杯取り組みます。