傾聴ボランティア~緩和ケアにて~

~薬剤師・社会福祉士による小さなボランティア活動~

在宅ホスピスケアでの介護保険

2005年11月08日 | 在宅ホスピス
65歳以上のがんをわずらった人が在宅ホスピスで療養するにあたって是非利用したいのが介護保険制度です。
来年の4月からは40歳以上に年齢枠が引き下げられます。
では在宅ホスピスを受けている人は、介護保険ではどのようなサービスを受けることができるでしょうか。

病期によって2パターンあります。
①がんの末期と診断されていない場合、医療保険で医師の訪問診療を受け、介護保険で看護師による訪問看護や訪問介護を受けます。
②がんの末期と診断された場合、訪問診療及び訪問看護ともに医療保険で受け、その他の訪問介護などを介護保険で受けます。

介護保険の自己負担ってどれくらいかかるの?って疑問に思ったら概算してみましょう。
西宮市社会福祉事業団のホームページに介護保険料のシミュレーションがあるのでそれを利用してみます。
http://sukoyaka.nishi.or.jp/index.php 
見積もりシミュレーションと書いたところをクリックして進んでください。
要介護度に応じて月々いくらまでの介護が受けられるか、それぞれのサービスを選択して自己負担額がわかります。

便利なサイトですが、他の市区町村にもあるんでしょうか。
値段は同程度あるとは思いますが詳細は確認してくださいね。


①の場合、医療保険介護保険あわせてどのくらいの自己負担になるか、概算してみます。
【医療費自己負担】3割負担の方で70,000円、1割負担の方で23、000円ほど。
【雑費】医師の交通費(実費請求)がかかります(例・3,500円 x 4回 = 14,000円)。その他介護用品にかかる費用。
【介護保険自己負担】訪問看護を介護保険で週に1回受けると、ひと月4,300円ほどの自己負担。さらに週に1回生活支援の訪問介護を受けると、あわせて6,300円ほど。

②の場合、診療と看護を包括して請求する診療報酬で受けた場合を考えてみます。
【医療費自己負担】3割負担の方で高額療養費制度を受けて月額75、000円、1割負担の方で45,000円ほど。
【雑費】医師や看護師の交通費(実費請求)がかかります(例・3,500円 x 13回 = 45,500円)。その他介護用品にかかる費用。
【介護保険自己負担】生活支援の訪問介護を週に2回、身体介護を週に2回、車椅子とベッドを借りて、月額13,000円。

(引用:がん末期における在宅ホスピス・外来・入院医療費の比較分析と評価報告書 福島労災病院 外科 蘆野 吉和 先生ら
西宮市社会福祉事業団のホームページ http://sukoyaka.nishi.or.jp/index.php )

となります。

高額療養費制度がある限り、びっくりするような医療費はかからないんですよね。
医療保険と介護保険の制度ってすばらしいですね。
たくさんかかると思いますか?
医師と看護師が頻繁に通ってくれてこれだけの費用で済むなら決して高いとは思いません。
医療と福祉はタダではありません。
これがみなさんが共通に受けられる医療と福祉のサービスです。

さらに、もっと快適に、もっと優雅に、ワンランク上のサービスを求める方に、メディカルケアプランニングがワンストップで相談を受け付けます。

がん性疼痛緩和

2005年11月08日 | 在宅ホスピス
がん性疼痛に対してはWHO方式がん疼痛治療法と呼ばれるステップに沿って疼痛が管理されるのが一般的です。
使用できる薬は2、3年前までは、非ステロイド性鎮痛剤とモルヒネ製剤が一般的でした。

フェンタニルはモルヒネよりも鎮痛効果が高い麻薬です。
以前は手術中の麻酔などに使われるのが主でしたが、鎮痛効果が高いこと、そしてモルヒネで起こる特有の副作用が少ないことから、がん性疼痛緩和薬に適していると言われていました。
フェンタニルの貼付剤は2002年に発売され、注射剤はがん性疼痛緩和の目的でも2004年から使用できるようになりました。
フェンタニルの貼付剤はデュロテップパッチ、フェンタニルの注射剤はフェンタネストと呼ばれます。

このデュロテップパッチが発売されたことで、がん性疼痛の治療は大きく変化したと思います。

デュロテップパッチは普通モルヒネなどからの切り替えを行います。
時により他の麻薬系鎮痛薬へ切り替えたり、もう一度モルヒネに戻ったりと、ローテーションしながら使ったりもします。
この切り替えには用量の調節がとっても重要で、突発的な痛みに対しレスキュードーズ(モルヒネの追加投与)を含めた使用方法の熟知が必要。適量が投与されないとひどい痛みが現れたり、効きすぎてしまったりとした弊害が現れるためです。

デュロテップパッチは3日ごとに貼り変えます。徐々に皮膚から浸透していくため即効性はなく、血中濃度は48時間後にピークを迎えます。
ですから効果が現れるまでに時間がかかるため、モルヒネから切り替える時は最初は必ずモルヒネと併用します。

在宅で疼痛緩和を管理するのにこのパッチはとっても便利だと思います。
普段はデュロテップパッチを貼って、突発的な痛みにはレスキュードーズ。
これで快適な在宅ホスピスが実現できる人が増えればと願っています。