傾聴ボランティア~緩和ケアにて~

~薬剤師・社会福祉士による小さなボランティア活動~

薬の代謝

2006年01月31日 | 医療関連
長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授らの研究で

耳あかがウェットか、ドライか、は

ある遺伝子の塩基配列のたった一つの違いで決まることを、

米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に発表した。

とのニュースがありましたね。


テレビでチラッと聞きましたが、

ウェットタイプは細胞外に脂肪を排出する働きがあるためだとかで

肝臓での薬に代謝にも同様のことがあるそうな。

かなり興味深いですね。

さらに耳あかの型は民族による違いが大きく、

日本などアジアでは8~9割がドライタイプで、

欧州やアフリカでは9割以上がウェットタイプだそうなんです。


海外で、例えば米国で承認された薬、米国で承認されたからと言ってすぐに日本でも承認されることはありません。

厚労省は、欧米人と日本人では民族差があるから

欧米人と同じ用法用量をそのまま日本人には適応できないし

日本人だけで新たな臨床試験をして、安全性と有効性を検討しなければならない!

と言い続けています。

民族差とは、体格の違い、食生活の違いなどが考えられていましたが、

もしかしたら今回発表されたような代謝の違いもあるのかなーと思いました。


病院での問診票に、

「あなたの耳あかのタイプはどちらですか?」

なんて項目が出てくる日がくるんでしょうか!?

いろんな方法で薬を取ろう

2006年01月30日 | 医薬品関連
米国で肺吸入型インスリンが承認されたというニュースをみました。

また先日、肺吸入型のフェンタニル製剤の開発を日本でも検討に入ったとのニュースがありました。

肺から吸収するメリットは、

口から飲む場合に比べると血中に移行する速度が極めて早いこと。

薬を飲んだ時には薬が血中に入る前に一部が代謝されてしまいますが、その代謝を免れることができるため投与量は少なくても効くこと。

など。

特にがん性疼痛のうち突発的な痛みに対して、即効性のある肺吸入型フェンタニル製剤は大変期待されます。


こういった経口ではない吸収経路の薬は今後増えてくると思います。

そういえばインフルエンザウイルス感染症の治療薬としてタミフルが有名ですが、

実は肺吸収型のリレンザという薬があるんです。

売り上げはタミフルの方が多いのは、この投与経路がなじみなのかそうでないのかの違いがあるんですね。


さまざまなメリットのある経口以外の投与経路の薬、

なじみのあるものにしておきたいですね。

話し合い

2006年01月26日 | 在宅ホスピス
患者さんの訴えには、一見医療者に対する不信感とはとらえにくいものがあります。

病気ではないものにとっては極些細なことに囚われていたり、不安がったり。

でも、よくよく話しを聴いてみると、医療関係者に対する不信感が根底にある場合があります。

不信感というより、話し合いの欠如かもしれないと思っています。

もっと患者さんが納得するまで話しを聴くべきなのに

「そんなことはあまり起こらないんだけど…」とか

「それは気のせい」とか

多分患者さんの言葉って、全部が表にでていないんですよね。

超能力者でもない限り、よーく聴いてみないとその他の部分は見えてきません。

できる限り全容が見えるように話しを聴かなければならないと思います。

ルームメイト

2006年01月25日 | 在宅ホスピス
1月23日付けの日記にくもの巣の話しを書きました。

実は私もちょっぴりこのおばあちゃんの気持ちがわかるんです。


それはハワイでボランティアをしていた時のこと。

話す相手といったらホスピス関係の人かスーパーのおばちゃん。

日本語を話す相手は一人もいないし、ボランティア活動も一時止まったりして、

と~~~っても辛い時期がありました。

ホテルのコンドミニアムに滞在していたので、他の部屋はみんなリゾート気分満開。

楽しそうなんです。


そんな時、ラナイ(ハワイで言うところのバルコニーかな)の手すりにイモリが現れたり。

バスルームにゲッコーの赤ちゃんが現れたり。

普段なら

「気持ち悪いっ!」

って一喝していたのかもしれないけど、

この時ばかりは愛すべきルームメイトとして迎えられました。


そういえば話しかけてたな~。(苦笑)


いないとさみしいんです。

特にゲッコーの赤ちゃんは、ある日を境に姿を見せなくなって、

部屋を掃除してくれるメイドの方に駆除されたんじゃないかって思うと居たたまれなくて。。。

いなくなって悲しかったのをよく覚えています。


望むもの

2006年01月24日 | 医療関連
最近、ホスピスに限定せず、高齢者向けの施設で個室がいいんだ、という考えが広がりつつあるけど、

ほんまにそうやろか!?

という疑問の声を聞いた。

私は自分では個室がいいと思っているので意外でした。

一人部屋はさみしいと感じる人もいる、

近くに人を感じることが心地よかったりするんだ、と。


昔長屋で暮らしていた、人の生活音を聞きながら生きてきた人にとっては、

例えばマンションの上の階で子供の走り回る音が聞こえる。

うるさい、とは思わない。

家で療養している人にとっては、それがいい、と思うこともあるんだ、と。


ん~~~、なるほどぉ。

生きてきた環境の違いで、人との距離感が違うから、

これまた自分の価値観を基準にしちゃ、いけないんですね。

勉強になります…。

My Friend

2006年01月23日 | 在宅ホスピス
ハワイのホスピスでボランティアをしていたとき、患者さんと接する上での注意点をしっかりたたきこまれます。

その一つに自分の考えと患者さんの考えが違うことをよく理解し、

自分の判断基準で勝手に行動しないこと、という、聞けばごく当たり前のことを言われていました。

そこでよく例にだされたのが、くもの巣のお話しでした。


ある女性患者さんのお家をボランティアが掃除をしました。

そこのベッドには足から柱となる棒がでて上では4辺が梁でつながって、映画に出てくるような枠がついていました。

その上の隅にくもが巣を張っていました。

ボランティアの人は掃除をした際に、そのクモを巣ごととってしまいました。

掃除が終わって患者さんが戻ってくるとそのクモがいなくなっているのに気付き、とても悲しんだそうなんです。

一日中、一人で、ベッドで過ごすことが多いその方は、いつもそのクモに話しかけていたというんです。

私のフレンドだったのに・・・。


健康でいる人はベッドは夜寝るだけの場所、でも一日そこで過ごす人はぜんぜん違う場所なんです。

こういうお話を今でも大切に心にしまっています。

忘れないように。。。

インフルエンザ

2006年01月20日 | 医療関連
タミフルが動き始めましたね。

ここ阪神間でもいよいよって感じでしょうか。

先日体調を崩した時も、「インフルエンザ!?」ってまず聞かれました。

聞かれながら遠巻きにされましたが(苦笑)


うがいをすること、乾燥を防ぐこと、暖かくすること、

基本的なことを守って、インフルエンザの猛威から体を守りましょう!

業界用語

2006年01月19日 | 医療関連
しっかり休養をとったら、すっかり体調はよくなりました。

今日からブログ復活です。


仕事をしている限りその人はなんらかの業界に属しているわけです。

業界には業界のルールや暗黙の了解があり、業界用語、というものがあります。

業界用語は別に暗号化している訳でなく、業界内にいる人たちはよりわかりやすく簡単な言葉を使っているのです。

それが医療業界だとすると気をつけなければならないなと思います。

病気や人を指す用語、英語を含めてもとあった言葉から派生して、略語を作ったりします。

でも、患者さんの立場になってみたら…

自分が罹っている、辛い病気や自分たちをくくる言葉が、略語で簡略化されていたら、

内容によるかもしれませんが、気持ちのいいものではないです。

業界内だけに使っていたとしても、ついぽろっと出てしまうかもしれない。

それでとても傷つけてしまうかもしれません。

日頃からそういう言葉には気をつけたほうがいいと思います。