日日是好日

退職後の日々を写真で記録

野口英世はなぜ間違ったのか(5)

2013-02-04 16:36:00 | 野口英世
暗視野顕微鏡で観察すると、レプトスピラを生きたまま形態と運動状態を見ることができる。その形態がらせん状で、運動も非常に活発なので見ていて飽きない。
英世はレプトスピラの形態について長文(22ページ)の論文を書いている(下の写真)。第3報目の論文である。


レプトスピラの形態を非常に詳細に観察し、比較のためにその他のスピロヘータも含めた多くの写真を論文に添付している(下の写真)。


論文の要約

この研究は感染性黄疸の起因因子の形態学及び系統的位置を論じている。Spirochaetoidea の属として今まで知られていなかった幾つかの特徴がある。それで私はこの微生物を独立した属名であるLeptospira と命名した。
レプトスピラは特有な微小の基本的らせんが体全体を走っている。明確な末端鞭毛又はどのような鞭毛も無く、その微生物の末端すなわち尾部の非常なしなやかさは他と区別する特徴である。
Spirochetes と呼ばれる他の全てのものと違い、この微生物は10%サポニンの有害な作用に抵抗する。
Spirochata、Saprospira、Spironema 及びTreponema を含む関連する属との詳細な比較研究は、それらと新しい属の間のより大きい差異を明らかにした。
アメリカ、日本及びヨーロッパから得たLeptospira icterohaemorrhagiae の株間に何か違いがあるかどうかを発見する研究がなされたが、何も見つからなかった。
新しい属の創設がより正確な形態学的描写を今まで可能であったものより容易になることを望む。


英世は以前からスピロヘータの研究をしており、それらと今回のらせん菌は明らかに異なることから新しい属名であるレプトスピラを提案し、その違いについて多くの写真で示している。
しかし、レプトスピラの写真を見ると、染色処理をしているためと思われるが、生の菌とは形態的に異なるものもある。
何れにしても、英世は形態的にもレプトスピラを熟知していたのは間違いないと思われる。

コメント
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