【ワシントン=黒瀬悦成】北京の米大使館は14日、ブランスタド駐中国大使が10月初旬に離任すると発表した。離任の理由や後任については明らかにしていない。ブランスタド氏は離任後、地元の中西部アイオワ州に戻るとしている。

 米大使館の声明によると、ブランスタド氏は14日の大使館での会合で、「米国は、米中が公正かつ相互的で、両国の発展に資するような関係になるよう調整を進めている」と述べ、大使としての職務は「多大なる光栄だった」とした。

 ブランスタド氏は、アイオワ州知事を約22年間務めた後、2017年6月に北京に着任した。同氏はアイオワ州知事だった当時から中国の習近平国家主席と親交があり、中国政府からは歓迎された。

 しかし、ブランスタド氏の在任中、米中関係は貿易摩擦や中国による香港国家安全維持法の施行などにより急速に悪化。また、同氏が「中国は長年にわたり米国の開放性に付け込んできた」などとする論評を中国共産党機関紙の人民日報に寄稿したところ、同紙は今月9日、寄稿の掲載拒否を表明し、同氏の指摘は「事実誤認だ」と非難するなど、同氏と中国政府との関係も険悪になっていた。