あずさ監査法人が会計士45人処分へ 法定研修で不正か
大手のあずさ監査法人は7日、所属する会計士45人が法律で義務づけられた研修をオンラインで不正に受講していた疑いがあると発表した。二つの講座に同時にログインして受講したと偽り、単位認定を受けた可能性がある。あずさは会計士たちを減給などの懲戒処分にすることを検討中。また、高波博之理事長ら役員10人の報酬をカットする方針を決めた。
会計士たちが不正に受講していたのは、公認会計士法で義務づけられている「継続的専門研修」(CPE)。「職業倫理」「不正リスク対応」などの科目を直近3年で120単位以上、年20単位以上取得する必要がある。
3月に内部告発があり、過去数年にわたってパソコンのログなどを調べたところ、20代〜40代の45人が1台の端末を使って二つのオンライン講義を同時に受講した可能性があることがわかった。あずさは最終的な調査を現在進めているが、対象となる会計士の中に「パートナー」と呼ばれる幹部社員も含まれている。
システムに二重ログインができるようになった2014年から、不正受講を繰り返していた会計士もいるという。あずさは今年5月にシステムを改修し、現在は同時にアクセスできない仕組みに変えた。
CPEは、米国のエンロン事件など続発した会計不祥事に対応するため、監査の質向上をめざし、04年から法律で義務づけられた。ただ、オンラインで受講したり、学会に出席したりすれば単位取得が認められることもあるため、研修制度そのものが形骸化していた可能性もある。
7日夜に会見した日本公認会計士協会の手塚正彦会長は「会計士制度の根幹をなす研修を怠ったのは極めて遺憾だ」と語り、協会として他の監査法人にも同様の不正がなかったのか調べる考えだ。不正を繰り返し悪質な場合は、金融庁の行政処分を受けて会計士の登録を抹消される可能性もあるという。