読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

法律は空気のように

2008-07-25 09:41:33 | 読書

昔、岩波新書に末川博著「法律」と言う本が有った。そこに、はっきりとした記憶はないが、「法律は、普段は空気のようにその存在が感じられないような状態で有るのが良い」と言う意味の事が書かれて有ったと思う。そこで、ときどき思い出す事がある。私は大学時代、法学部の学生だった。色々な法律を勉強したが、三回生になって、ゼミで刑法各論を専攻した。俗に言う「犯罪学」とか「犯罪論」とか言う分野である。ゼミが始まるに当たりゼミに参加する者が自己紹介する場面が有った。その自己紹介の中に、このゼミを選び、参加した動機として「法律を勉強したいと思った。」と言う学生が少なからず居た事が意外だった。法学部の学生なら、このゼミに参加する前に既に多くの法律を勉強して来ている筈なのだ。にも拘わらず何故「法律を勉強したいと思った。」などと言う事が改めて言われるのか。理由は恐らくこの刑法と言う法律が適用される場面では、この法律が空気のように存在するのは止めて、国家の力が眼に見える形で現れ、法律と言うものの存在を感じさせるからだろうと思った。