読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

続「天保庄屋同盟」

2007-11-30 10:57:32 | Weblog

この天保庄屋同盟という秘密組織には五十二か条の申し合わせが有り、幕府にたいする挑戦的なものも含まれていた。侍には百姓に対し切り捨て御免の権利が有り、実際にそうした事件も多かったがそうした事件で追われている百姓は庄屋の家に逃げ込んだ事が多かった。その場合、その百姓を侍に引き渡すなと言う規定が第四十六条に有った。「百姓は朝廷からの預かり者であり、皇民である」と言うのである。こうした思想風土がやがて土佐勤王党を生み、坂本竜馬、中江兆民、植木枝盛を生む。

天保庄屋同盟

2007-11-29 15:22:19 | Weblog

ペリーが来る16年前、土佐に「天保庄屋同盟」なるものがあったそうだ。歴史の教科書に出てきたかどうかも記憶がないが幕藩体制の強固な頃に土佐七郡の内の土佐、吾川、長岡の三郡で「庄屋とは天皇から任命された職である。」と言う思想の基に結成され「他に漏らさざること」と言う密約が有ったと言う。百姓は天皇の宝であり庄屋は百姓と天皇との直接関係を預かる神聖職であり「武家などは浮世の都合で出来たものに過ぎず、藩主、将軍と言えども本来天皇の仕事を代行しているに過ぎない」と言う思想を持っている。やがて倒幕の思想に発展する。

日本の地名で多いのは

2007-11-28 09:49:55 | Weblog

日本人の苗字で多いのは鈴木、佐藤、田中などだが、それでは地名はどうだろうと思っていたら1981年、植物学者の金井弘夫博士が20万分の1の地図に載せられている12万4千以上の地名を10年間かけ集計され、「日本地名索引」と題して出版されたそうだ。それに拠ると1、中村2、原3、新田4、山田5、中野6、上野、7、大野8、中山などと続き、その土地の地形に多く関係した名になっている事が判った。

日本人の苗字

2007-11-26 09:55:31 | Weblog
日本人の苗字で一番多いのは、よく知られている鈴木で以下順に佐藤、田中、
山本、渡辺、高橋と続くが鈴木、佐藤、高橋、小林は東日本に多く、田中、山本、中村は西日本に多いそうである。鈴木姓が成るほど多いと感じさせる事例が有る。
昭和42年千葉県で医学生が起こした「チフス菌事件」が有った。この事件に関わった加害者、被害者(事業家、農業家)、犯人を逮捕した刑事、調査官、被告の弁護を引き受けた女性弁護士全てが鈴木姓だったそうである。

土佐人

2007-11-25 14:45:36 | Weblog

司馬遼太郎が竜馬やその他の小説などのために幾度か土佐に旅した。そうした中で土佐人が独特である事に気が付いたと言う。土佐人は議論を肴に酒を飲む。高知城近くの飲み屋街でも「ウェイトレスやソファの置かれたバーはさほどよろこばれず、軒数も少ない」「三味線の音なども聞こえてこない、聞こえて来るのは議論である。」と書いている。そうした環境の中、今、高知で人口密度に比し日本一多い職業は酒売り業ではなく、弁護士で民事訴訟が多いそうである。

「可」と言う漢字と仏壇のお鈴(りん)

2007-11-24 11:18:23 | Weblog

以前、「可」と言う漢字の成り立ちについてブログに書いた事があった。その漢字の口の部分はサイと言う祝詞(のりと)を入れる容器で丁の部分は木の枝の形である。のりとを入れた容器を木の枝で叩き、神に向かって、「~する可し」と願い事の実現を強制したのが可と言う文字の成り立ちなのだ。そこで思い当たった事がある。仏壇の前でお経を読むとき”おりん”を鳴らすが、可と言う漢字が生まれた古代人の考えが”おりん”を鳴らす事のルーツになっているのでは?と思った。浄土に居られる白川静さんに”おりん”を鳴らして伺ってみたいものだと思う。

大事故と「学力低下」

2007-11-23 14:05:28 | Weblog

岩波新書「学力があぶない」から
二十世紀最期の二年間に数々の大事故が日本を襲った。東海村のウラン臨界事故、H2、M5のロケット打ち上げ失敗、H2Aロケットの度重なる燃焼試験失敗、JR山陽新幹線トンネルのコンクリート壁落下事故、雪印乳業食中毒事件、数々の医療ミス。こうした事故は日本の科学技術が本当は、それほど高くはないかも知れないと言う不安をもたらしたと言う。この部分を読んで私は共感できるものが有った。各現場でマニュアル通りに事が運んでいる場合は問題がないがマニュアルから外れた何かが起こった時に対処できないのは根本において必要な「学力」が無いからではないかと思った。

雑談

2007-11-22 11:16:11 | Weblog

娘から妻にメールが有った。孫が喘息だと医者で言われたと言う。ハウスダストが原因のようだ。そんな折、立花隆の「環境ホルモン入門」を読んでいたら意外なことが書いてあった。母乳を飲ませて育てた乳児の方にアトピーの皮膚炎が多いのだと言う。原因は母乳に含まれるダイオキシンが疑われている。厚生省が始めて母乳の検査をした時の話だ。「日本の乳児が母乳から摂っているダイオキシンの平均は厚生省の許容量を七倍の超えていた。」そうである。

赤い靴の女の子

2007-11-20 14:53:06 | Weblog

10年ほど前になるだろうか、東京方面にバス旅行したとき、横浜に寄った。そこでガイドの話に童謡「赤い靴」の女の子の話があり、その女の子は実在の人物で「きみちゃん」と言う名だった事は記憶が有った。その女の子は外国に連れて行かれ元気に育てられたのだろうかとも思いながらガイドの話を聞いていたものだ。今朝、新聞にその女の子の事が書かれてあった。名前は岩崎きみと言い、静岡生まれの私生児だったと言う事だ。母親はその子と共に北海道の開拓地に入ったが生活が厳しく、止む無く宣教師に子を預けたと言う。この話を後に野口雨情は母親から直接聞き、詩にした。母親は後に結婚した男性と一女を設けたがその義理の妹が更に年月が経った昭和40年代、「赤い靴の姉は今どこに」と北海道新聞に投書し、きみちゃん探しが始まったと言う。結果、その当時、宣教師夫妻は帰国したがきみちゃんは9歳で肺結核になり海を渡る事なく東京で亡くなっていた事が判ったのである。

武と言う漢字

2007-11-20 13:47:59 | Weblog

武について「説文解字」は「止戈(しか)を武となす」としている。つまり武力を制圧するものが武であるとしている。白川静はこれを否定する。卜文や金文にまで遡るとそれは戈(ほこ)を掲げて進む形に書かれており、上記「説文解字」の武についての解釈は「明らかに誤りである」としている。がこうした解釈には戦争否定を願う希望は託されていると思うと白川氏は書いている。ついでながら兵は斤(まさかり)を振り上げている形、戒は戈を両手で差し上げている形、戦は単と戈で、単は円形の盾を示すもので上に飾りを付けたものだそうである。白川静著 岩波新書「漢字」から。