読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

未熟な議論と過剰反応

2011-05-31 16:32:17 | Weblog
東北震災以来、ツイッターやフェイスブックなどで震災関連や原発問題の意見を述べる人が増えてきた。が、相反する意見を持つ人々との議論の未熟さもまた現れており、「言葉狩り」とも言うべき過剰反応も目立っている。

 福島第1原子力発電所の事故に対しても、原発推進、反原発、脱原発、代替エネルギーの開発促進、放射能による身体への影響に関する懸念、食べ物などの風評被害の防止…等々、ほどさまざまな立場や意見を持つ人たちが増え、そうした人々がSNSなど多様なメディアを通じて考えを表し、自分の願う方向へ事態を動かそうと躍起になっている。

が、大切な議論の方法が成ってない。ある人の意見に反する考えを持っているなら、なぜ反対であるのかその根拠となる事実を示し、そこから自分なりの論理構成で意見を組み立て、相手を説得する。このシンプルなことができていないケースを見かける。感情をぶつけたり、相手の意見ではなく人間性を批判・否定したりする人をしばしば目にする。ことに原発事故による放射能汚染は、人々の生命を脅かしかねない大きな問題であるだけに、恐怖が先に立つのか、反対意見を吟味せず、ただ相手を罵倒するだけで、反対意見を表明した気分になっている人が少なくない。
この点、国会中継で見る議員の質問内容も同様の質の低さを見せている。

また、もうひとつの傾向として、人々が発する言葉に周りが過剰反応している状況だ。反原発の意見を明確に打ち出したがためにドラマを降板せざるを得なくなった若い俳優がいた。震災に関するジョークを理由に、外資系保険会社の人気テレビコマーシャルへの出演をやめさせられた声優がいた。そして、ある外資系メディアでは、記者が社内で震災に関する冗談を同僚記者と話していたことがきっかけで退社を余儀なくされたという。
感情的ではなく論理的に自分の意見を発する事が必要だ。感情のぶつかり合いの行きつく先は憎しみしかなく、進歩へは繋がらない。国難とも言える今のこの時期を、成熟して落ち着いた社会への転換点を迎えるチャンスとすべきである。次の国難を考えて。

「この国を出よ」大前 研一、柳井 正対談 小学館

2011-05-29 08:36:53 | 読書
ある読書家の本の紹介文を紹介した。
対談の本は余り読まないがこれは東日本震災前に発行された本
経営コンサルタントの大前研一氏とユニクロの社長柳井正氏の
対談で日本の問題点を語って居る
大が大前氏の台詞、柳が柳井氏の発言で、その対談の部分部分。
部分部分に発見がある。

大「自民党政府がやったバラ撒きは、何の成果も生まなかった。
では民主党はどうかというと、政権をとったとたんに同じような
バラ撒きを始めた。これは絶望的。

今の日本はミッドウェー海戦後に似ている。敗戦を認めようとし
ない。まだなんとかなると思っている」

柳「競争を避ける教育が、日本の没落につながっている。仕事で
アジア各地に出向くと、日本を下に見る風潮があることに気づく。

韓国など、かつては反日が叫ばれていたが、最近ではその観も薄
れた。日本はもはや敵ではないということかもしれない」

大「ジャパンバッシング(日本叩き)ならぬ、日本パッシング
(日本素通り)が行われている。お金の動きに顕著に見られる。
投資マネーは日本よりも、アジアをよい市場とにらんでいる」

柳「経済敗戦後の日本は、世界の保養所となるのではないか。温
泉やショッピング、そういったものを楽しんでもらう場所」

大「政治家は勉強不足。高速道路や高校授業料の無償化。わかり
やすいキーワードだけが一人歩きして、中身の議論がろくにされ
ていない。大衆に迎合するだけの政治ではだめ」

柳「役所に保護される産業はつぶれる。JALがいい例だ。日本の
現状をたとえると、年収370万円の家が、1億円の借金をしている
ようなもの。国家運営にも経済的視点を」

柳「グローバル化は最大のチャンス。世界の市場を視野に入れよ
う。国際化。英語は必修。ユニクロだって最初のうちは、海外進
出において大変な失敗をした。だが失敗は肥やしになる。次のス
テップに活かせばよい」

大「成長するアジアに学ぼう。たとえばシンガポールなどは、政
府機関はとても柔軟に運営されている。

ぷロジェクトごとに組織をつくり、目的が達成されれば解散する
というやり方をしている。こうすれば利権ができることもないし、
存続のための予算の奪い合いなどしなくていい」

大「消費税増税は避けられない。その代わり、所得税、法人税を
全廃しよう。所得税がなくなると、金がまわって消費が活発にな
る。その上で消費税を上げれば、税収が増えるのは明らか。

法人税がなくなることで、外資企業日本で仕事をしやすくなる。
雇用の増大にもつながる。

相続税もなくす。代わりに資産税を導入する。資産に税がかかる
となれば、これも消費喚起に一役を買う」

柳「政府は費用対効果を考えない。死に体の企業に公的資金を入
れるなど、何を考えているのか。費用対効果を考えられない政府、
官僚組織はできるだけ縮小すべき。小さな政府が望ましい」

スイス、脱原発へ

2011-05-28 10:17:02 | 新聞
【チューリヒ】スイス政府は25日、福島原子力発電所での事故を受けて、既存原発を段階的に廃止し、他のエネルギー源で電力需要を満たしていくことを閣議決定した。

 福島原発でのメルトダウンはどこでも発生する恐れがあるとの抗議活動を背景に、欧州ではまずドイツが脱原発を打ち出しており、スイスは2番目。スイスのロイトハルト・エネルギー相はベルンでの記者会見で、「政府は原発の段階的廃止を決めた。確実で自立的なエネルギー供給を確立したいからだ」とし、「福島の事故は原発のリスクが高すぎること、そしてこれが原発のコストを高めることを示した」と強調した。



スイスのミュールベルグ原発


 スイスには5基の原子炉があり、その発電量は全体の約40%を占めている。残りはアルプス山中や河川に設けられた1000カ所以上の水力発電で賄っている。同エネルギー相は、完全な脱原発をいつ達成するのかはまだ決まっていないとしているが、専門家らは2040年ごろに実現できるのではないかと見ている。5基の原発の運転許可は2020~40年に期限を迎える。

 アナリストらによると、福島原発の事故で世論が変わっているため、政府の決定への抵抗は限定的なものにとどまる可能性がある。ただ、政府の決定が最終的なものになるまでに議会での審議が行われ、また、同エネルギー相によれば、国民投票も実施される可能性があるという。

 一方、主要8カ国(G8)サミットのためパリを訪れた菅直人首相は経済協力開発機構(OECD)加盟国の代表の会合で、20年代初めまでに再生可能エネルギーの比率を20%にまで引き上げる新エネルギー政策を導入する方針を示した。首相は、太陽光発電コストを20年までに現在の3分の1に、30年までに6分の1にすると述べた。

 同首相は「日本は再生可能エネルギーをエネルギー供給の柱とすることに全力を挙げる」と語った。今回の発言は、再生可能エネルギーの利用拡大についてこれまでで最も詳細なものだ。

 スイス政府の脱原発決定は同国の電力会社にとって衝撃だった。大手のアクスポ・ホールディングとBKW FMBの両社は新しく2基の原発を建設し、約100億ドル(8200億円)の投資をすることを約束していた。両社は、スイスが高価な輸入電力への依存をやめようとするなら、原発の新規建設が必要だと強調していた。

 アクスポのカーラー最高経営責任者(CEO)は「確実なエネルギー供給に関して言えば、政府の決定は問題をもたらす」とし、政府決定には徹底的な分析が必要であり、最終的に国民投票を実施すべきだと語った。

 1000以上の企業の団体であるスイス機械・電気工学連盟(スイスメム)は、政府決定は「原子力に代われるものがないため、問題がある」と批判、経済団体のエコノミースイスは、決定は同国経済に打撃を与え、雇用を危険にさらすことになると警告した。

「大統領とは殺人を命じる職でもある」ニューズウィーク斜め読み、池上彰から全文転載

2011-05-27 09:41:17 | Weblog
 ウサマ・ビンラディン殺害に沸くアメリカ。パキスタンの隠れ家にいるビンラディンを確認した米海軍特殊部隊は、丸腰のビンラディンに対して躊躇なく銃弾を見舞いました。オバマ大統領の命令を実行したのです。身柄を拘束するつもりは最初からなく、殺害するのが目的だったようです。

 パキスタンという他国の領土に勝手に入り込んで、ビンラディンを殺害するなど、まさに暗殺作戦。そんなことが認められるのか。こう問われた米政府首脳は、「太平洋戦争中、日本軍の山本五十六司令長官を暗殺したのと同じで、戦争中の司令官殺害は正当な戦争行為だ」と答えたとか。まさか、ここに山本五十六が出てくるとは思いませんでしたが、米政府は、ビンラディンが率いたアルカイダと戦争をしているという認識であることがわかります。そういえば、2001年9月11日の同時多発テロを受けて、当時のブッシュ大統領は、「これは戦争だ」と叫びました。それが、いまも続いているのですね。

 今回の特殊部隊による作戦は、オバマ大統領による承認によって開始されました。つまり、「ビンラディンを殺害せよ」と命じたのですね。アメリカの大統領とは、殺人を命じる職でもあるのです。政治のトップとは、なんとも辛い職業です。もっとも、日本の政治家に、果たしてどれだけの自覚・認識があることやら。

 「アメリカ人はずっとオバマびいきだったが、最高司令官としての資質を疑っていた。今回の作戦成功でその疑いが消えた」と歴史家のダグラス・ブリンクリーに語らせているのは、本誌日本版5月18日号の記事です(「弱腰」オバマは汚名返上できたか)。

 この記事は、オバマが、大統領選挙中から「タカ派顔負けの口調で叫んでいる」ことを読者に思い出させます。

 「テロ組織の幹部の潜伏場所に関する情報があるのに、(パキスタン政府が)行動を起こさないなら、われわれがやる」と。

 現在の米軍・CIAは、アフガニスタンとの国境に近いパキスタン領土に潜むアルカイダのメンバーに対して、無人機を使っての殺害を続けています。連日のようにパキスタンの主権侵害を繰り返しているのです。その延長上に、今回のビンラディン殺害もあるのです。

 オバマ大統領は、実はブッシュ顔負け、いやブッシュ以上のタカ派だったようです。しかし、非常に慎重で巧みなタカ派です。一期目の大統領は、二期目の当選を目指します。対テロ作戦も、大統領再選戦略に位置づけられます。

 「来年の大統領選で。共和党候補がオバマの最高司令官としての資質に異議を唱えることは難しくなった。そんなことをすれば、ブッシュが8年かけても達成できなかったことをオバマが2年でやり遂げた事実を有権者に思い出させるだけだ」

 ちょっとオバマを持ち上げ過ぎなんじゃないの、と突っ込みを入れたくなりますが、ビンラディン殺害も、結局は政治戦略の中に組み込まれてしまうものなのです。

郵便番号から見た地名の数

2011-05-25 14:03:18 | 新聞
郵便番号を単位として地名を見ると
東京都区部974、大阪市606、名古屋市1568と言う地名の数。
これが京都市で4028と言う桁違いの多さの地名数になる。
東京の人口が895万人
大阪が267万人
名古屋が226万人
これに対し京都は人口147万人で4028と言う
地名数の多さである。
更に、これを面積で比較してみると
東京622平方キロ、大阪222平方キロ、名古屋326平方キロ
これに対し、京都は僅かに21平方キロに過ぎない上京、中京
下京区で1593もの地名が詰まっているのである。

「歩いて楽しむ京都の歴史」中日新聞コラム、山田邦和著より

80 percent wouldn't tell workplace about AIDS/HIV infection.

2011-05-25 09:36:51 | 新聞
HIV感染者が未曾有の割合で増加していると言う小さな新聞記事が有った。
なぜ、もっと声を大に報道しないのか。
都内のHIV感染やエイズ患者の報告数は全国の3分の1を占めると言う。
差別や偏見をなくすにも
もっと大きな声を上げるべきだろう。
毎日新聞の記事だ。
東京都の調査で、HIVの感染やエイズと診断されても職場に伝えないと
答えた人が8割にのぼり、多くは差別を懸念していることが
分かったと報じている。
この態度がHIVを増加させている。

フレネミー

2011-05-24 09:08:52 | 新聞
FRENEMIES
"Frenemies"はFriendsとEnemiesを結合させた造語
「うわべは友達、実は敵同士」という微妙な関係を指す言葉として
メディアで使われるようになった。

米軍によるOsama bin Laden殺害を契機に、アメリカとパキスタンの
関係が微妙になり、そこにまた登場してきた語。


"You're either with us or against us."と、 2001年9/11の後、
当時ブッシュ大統領は言った。
当時、大統領だったムシャラフは国民への十分な説明もなく
パキスタンはアメリカと手を結ぶ事にした。
パキスタン人に言わせれば
The war on terrorism was America's war.
テロに対する戦いは、アメリカの戦争でパキスタン兵士が自国で死に、
民間人も自爆テロの被害に合い始めるのは、全てこのAmerica's war
のせいだと言う意識が強い。

「パキスタン内にビンラディンが潜んでいることを知らなかった」
と言えば、パキスタン軍は役立たず、ということになり国民は軍に不信感を持ち、
「知っていた」と言えば、パキスタンは「ならずもの国家」ということ
になり、パキスタン軍への膨大な資金援助をしてきたアメリカ側が不信感を強める。

どちらにしてもPakistan looks bad! ということに。
どちらの場合もPakistan国民の米国への不信感は残ったまま。

徒然草の中の話から

2011-05-23 19:58:11 | 読書
或る日の夜半、鎌倉幕府の御家人・大仏宣時(おさらぎ・のぶとき)は
執権・北条時頼の呼び出しを受けた。

 鎌倉幕府のトップは将軍だが、当時はその職は『名誉職』で、権力は執権が
 握っていた。
 執権とは現在の総理大臣のようなものだった。

 その最高権力者からの呼び出しだから、宣時は勇んで出かけようとした。
が、よく見ると、直垂(ひたたれ)が粗末すぎた事に気づいた。
 直垂は現在の背広、ネクタイと考えていい。
 着替えようとする宣時に時頼の使者は「そのままで結構です。急いでくだ
 さい」とせかした。

 「よほどの重大な用件なのだろう」と思い、宣時は『総理大臣官邸』
 へ駆けつけた。

 が、時頼は薄暗い部屋に一人で座っていた。

 時頼は宣時の顔を見ると、「よくぞ参った!われは汝に重大な任務を授け
る。すぐ厨房に行き、酒の肴を探して参れ」と命じた。

 わけがわからないながら、宣時は厨房へ行き、酒の肴を探したが、
 見当たらない。
何とか見つけて時頼の前に差し出した。

 差し出した粗末な小皿の上には、わずかながらの味噌が乗っていました。

 それを見た時頼は「うむ、これで十分である!」と言ったらしく、
わずかな味噌を肴に、時頼は飲んだ。

 味噌は現在では大豆を原料とする発酵食品。

 広い意味で言えば、穀物を原料とする塩蔵発酵食品である醤(ひしお)の一種。

 弥生時代の遺跡からは穀物を塩蔵していた跡が見つかっていると言うことだ。

さて、 執権の時頼は、厨房にわずかな味噌があることを知っていたらしい。
酒は一人で呑んでも面白くなかったのか、
 身分の違いを超えた『呑み友達』かも知れない宣時を重大事を名目にして、
呼び寄せたのかも。

いわし好きの紫式部

2011-05-22 10:13:34 | 歴史
紫式部は鰯がすきだったそうな。
が、 彼女の夫、藤原宣孝は諸国の国司を歴任した中級貴族で、
 中級とはいえ貴族だったから、宣孝はイワシは当時は食べなかった。
 しかし、妻の紫式部はイワシが大好物だったらしい。
 さすがの紫式部も夫の前では、イワシは食べられなかった。
ところが、彼女は夫の外出中に、大好物のイワシを頬張っていました。
運悪く、そこを夫に見つかってしまった。
 夫は妻に「そんな下品な魚を食べるとは。お前は貴族の妻なのだよ」ぐらいの
事は言ったのかも知れない。
これに対し、『和訓栞(わくんのしおり)』によると、紫式部は歌で返したといわれて
いる。
「日の本に はやらせ給う 石清水(いわしみず) まいらぬ人は 
あらじぞと思う」
これは、石清水八幡宮の『いわし』とイワシを引っ掛けている。
「まいる」も食べると言う行為を表したものだろう。
 現代語訳では、『日本人なら石清水八幡宮に参詣しない人がいないように、
イワシを食べない人がいるでしょうか!』ぐらいか。

有楽町の始まり

2011-05-21 09:05:42 | 歴史
信長に13歳下の弟が居た。長益と言う。武将として出陣するのは「信長公記」に寄る限り1582年の甲州攻めの一度のみである。出家してから有楽(うらく)と言った。早くから茶道をしており、利休に直接、指導を受け、武人としては目立った働きをしていない。
利休流をもとに有楽流を開いた。秀吉の天下になってから秀吉に仕え、淀君の後見にさえなっている。ところが秀吉の死後、家康のスパイになって、秀頼の補佐をしながら大阪方の情報を家康に流していた。関が原では東軍に属した。大阪夏の陣の直前に二条城に移っている。表向きには大阪方だったが所領の三万石は安堵され江戸に屋敷を与えられている。有楽町は彼の名から取ったものだが実は、その屋敷のあった地は正確には判っていないそうだ。