昨日は三次市吉舎町の八幡小学校へ「子ども落語」の稽古に行きました。校長先生にお会いするとこんな作文を見せてくださり、一読して驚きました。
凄い!何よりも感じたのはひたむきに取り組み、上手になろうという気持ちを素直に表現していることでした。「けちくらべ」という落語のことを書いた作文を紹介します。
落語でつながる
八幡家ここみ(高座名)
「やったあ! ウケた」
落語のオチを話すと「あはは」と会場からわらい声が起こりました。
私は、今年の夏休みに初めて布野生涯学習センターという広い会場で百人以上のお客さんの前で落語をしました。私「八幡家ここみ」の出番は6番目でした。ゆかたを着ててぬぐいとせんすをにぎり、ぶ台そでで待ちました。前の人の落語を聞いている間、「次は出番だ」と思うと心ぞうがドキドキ、顔が固くなったみたいになり、頭の中があせりでいっぱいになりました。いよいよ前の人の出番が終わりました。登場曲が鳴り始めると、きんちょうが最高になりました。高座に座り、おじぎをして客席を見ると、お父さんとお母さんの顔が見えました。ますますきんちょうしました。熱くなって、あせがでてくるのがわかりました。きんちょうのあまり、最初のげんかんの戸を開ける動作をわすれて、『ただいまあ、お母さん帰ったよ』という最初のセリフだけ言ってしまいました。でも、むちゅうで話しを続けました。話し始めると次々にセリフが言えて、心ぞうのどきどきが止まっていました。覚えていたのですらすら話すことが出来ました。最後は全然緊張しませんでした。
『けちくらべ』というお話しでした。お退くつさまでした。
と、最後のおじぎをすると、たくさん拍手が聞こえました。体中の力がぬけて体が軽く感じました。
私は3年の時「時そば」という落語を6年生を送る会の出し物でしました。はじめ落語にはきょう味がありませんでした。しかし、落語は最後のオチまでくると、「あっ、そうだったんだ」と意味がわかって笑えるところが楽しく好きになりました。しかし、お話を覚えるのは大変です。5月に師匠の升井先生から今回のお題を頂き練習をはじめました。『ですからね…』で始まるおかみさんとお父さんの会話はセリフも長く、似たような言葉がでてきてなかなか覚えられませんでした。家でお父さんと一緒に練習をしました。
「もう1回してみて」
とダメ出しが出ます。いやだなとしぶると、
「やっとった方がいいよ。覚えとったら舞台で『何だったっけ』にならんからしなさい」
とゆるしてくれません。「しかたない、練習するしかない」と考え直して台本を一度見て、次は見ないようにして覚えることをくり返しました。友達の〇〇君も◎◎ちゃんもどんどん人物になりきって動作がはっきりできるようになってきました。そして「はっきりしゃべった方がいいよ」とか「もうちょっと大きい声で」とアドバイスをしてくれました。すると、頭の中に台本がうかんできて次のセリフを考えながら話せるようになってきました。そんな私に師匠は、
「よく覚えたね。次は、手を上にあげてもっと大きく動作をするといいよ」
と教えてくださいました。
布野の落語が終わり、つぎは「きりり」ですることになりました。私の目標は布野小学校の友達のようにもっと長いお話ができるようになることです。師匠からどんなお題が頂けるか楽しみです。
驚くほど素敵な作文だったので、ついつい紹介したくなりました。「八幡家ここみ」さんには新しいお題を届けています。
来年2月9日に 三次「きりり」で語る新しい落語、八幡小学校の児童も、布野小学校の児童も一生懸命練習中ですが、それぞれのお題はその時のお楽しみに、ここでは発表しないことにします。
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師匠やご家族があたたく見守ってらっしゃって、真剣に打ち込むものがあることは幸せだとあらためて思います。