金沢へ出張した。現地での足として何を借りようかと案じ、そうだカローラはどうだろうと思い、今回借り出したのがカローラツーリング・ハイブリッドX。
最近出たような気がしていたが、調べたらすでに現行型が発売されて丸4年が過ぎていた。ひと昔前なら、もうフルモデルチェンジを迎える頃なのだ。
レンタカーだから非ハイブリッド仕様だろうと期待せずにいたが、嬉しい誤算だった。しかも今年7月に新車登録され、オドメーターもまだ5,000kmを刻んだばかりの新車であった。Aピラーの傾斜がきつく、乗り込むときに頻繁にピラーに髪が触れること、ドアを閉めるときに外板パネルのビビり音がすること、この2点が気になった。しかし、今回運転した180kmの行程のなかで、気になることといえば左記2点だけだったことも事実だ。動力性能は二重マル、室内空間も豊か、艤装の品質問題なし、各種操作系も気に障るところはない。内外装のデザインは好みの問題だが、フロントマスクとリアビューに見られる、十分個性的でありながら嫌われない造形のサジ加減は上手いと思う。
印象的なのは動力性能だ。1800ccガソリンエンジンとモーターの組み合わせは、実用車として十分すぎるパワーをこのクルマに与えており、出来の良いシャシーが余裕でそれを受け止める。調べてみるとハイブリッド車はリアサスにダブルウィッシュボーンを備えており、これが懐の深い走りに寄与しているようだ。実は石川の海沿いの道をここには書けない速度で走り、能登半島の山の中で縦横無尽にこのクルマを振り回したのだが、このクルマの柔にして剛のシャシーは、一瞬たりとも動きに破綻を見せず終始安定したパフォーマンスを発揮した。カローラといえば平穏な日常を支える道具として世界に浸透しているが、そんなクルマが(ハイブリッド仕様とはいえ)最廉価グレードにしてこれほどのドライビングプレジャーを持っているなんて、誰が想像できるだろう。