昨日の朝は雨だった。パソコンに向かって「ブログ」の下書きなどを作っていると、妻がオレの部屋に来て、いきなりテレビを点けた。天皇家の長女、紀宮清子さま(36)と東京都職員黒田慶樹さん(40)の結婚式が11時からある。オレの部屋は暖房が利いて暖かいのを狙って、このテレビ中継を見るつもりだったのである。
オレは、数日前の夕方のテレビニュースで『朝見の儀』を見たばかりである。その現実離れした、人間離れの世界の催しものを、執拗に追う報道姿勢をあまり宜としない。天皇一家といえども、プライバシーがある筈と考えていた。見たくもないから、オレのほうから部屋を名誉ある撤退をした。
皇太子が昨年5月10日、ヨーロッパ3カ国訪問に先立って、東宮御所檜の間で開かれた記者会見の席上で、「それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」。たったそれだけの言葉で、会見場は一瞬、時間が停止したかのようであったという。これだけの発言が異例中の異例だったのだそうだ。
この発言は直ちにテレビで放映され、どのような評価かは別として、全国、いや世界に拡がる驚きを高じさせた。週刊誌は競ってセンセーショナルに騒ぎ立て、外国のメディアも大きく取り上げ、月刊誌も特集を組んだのである。
こんどは三笠宮寛仁殿下の「ひとり言」発言である。皇太子殿下の発言よりは、反響は少なかったかもしれない。殿下は皇統継承権第7位(皇族のひとりごと)の故もあるだろう。
殿下は、この中で、『万世一系、125代の天子様の皇統が貴重な理由は、神話の時代の初代神武天皇から連綿として一度の例外もなく、「男系」で今上陛下まで続いている厳然たる事実』と指摘され、さらに、『陛下や皇太子様は、御自分の家系の事ですから御自分で、発言されることは出来ませんから、民主主義の世であるならば、国民一人一人が、我が国を形成する、「民草」の一員として、2665年の歴史と伝統に対し、きちんと意見を持ち発言をして戴かなければ、日本国という、「国体」の変更に向かうことになりますし、いつの日か、「天皇」いらないという議論にまで発展するでしょう。』と述べられたという。(朝日の記事から)
しかしオレはいい歳をしながら、皇室や天皇家の制約については、これまであまり知らな過ぎた。「自分の家系」のみならず万事が一切合切ご自分の意見は述べられない冷酷な宿命を負わされているのだ…。
改めて昭和天皇が終戦の直後、最初の年頭に当たり賜られた勅語の一端に思いを致さねばならなかった。
《朕ト爾等国民トノ間ノ紐帯ハ終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、単ナル神話ト伝説トニ依ヨリテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現人神トシ、且日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念ニ基クモノニ非ズ。(21・1・1)》
民草の一員として、歴史を後退されてはいけないと思う。
本来の意味は、同一の系図が続くことで、小生も、万世一系の貧乏ヒューマニストなんで御座りまする。
枯蓮や、万世一系の妻とゐる