狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

写真

2007-04-09 21:41:51 | 日録
「お気に入り」だったこの酒店が店を閉めて3年ぐらいは経つだろう。
今日耳鼻科医院に診察を受けに行き、受付を済ますと、待ち時間が相当あったので、近くの櫻名所であるS川土手を徒歩で散策した。その道すがら、この元酒店の前を通ったのである。久しぶりに、つも締め切ってある店の雨戸が開け拡げてあった。

店の中を覗いてみたら、店をひとりで切り回していた店主夫人のおばさんが、まだ営業中だった頃置いてあった、4斗入りこも被り酒樽や、化粧箱が雑居している、店内の片付けと掃除をしていたところだった。

 挨拶をしたら、「時間がお有りでしたら、中でお茶でもどうぞ」と招じ入れられた。
 おばさんは写真を趣味としておられた。店には、一見写真家である事が理解できるパネルが、何枚も掲示されてあった。そして酒を商う時は、決まって酒の講釈をした。酒は常時、一定の温度に保たれているショーウインドウに保存展示してあって、宅配を利用するときは、生鮮食料を送る時利用する、クール便を使う程、保存温度の気の使い方だった。散らかった侭の元の店内の片隅のテーブルで、お茶をごちそうになった。

「店を止めたきり、そのままなんです」おばさんは、しきり弁解した。
店に飾った侭になっていた写真数点の中からこれを選んで撮った。

おばさんの「処女作」、しかも入選作だそうである。
脇に置いてあるのが見えるのは、「霧筑波」と「武勇」の空き瓶である。