狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

日曜日の戯れ

2005-09-25 18:00:52 | Weblog

 ー古い手帳から(あの頃の郵便局風景)
 消印
寒い朝だな。ある寒い朝、
正確には一九九二年一月三十一日。
郵便局の窓口は、
二三人が順番待ちで並んでいるだけなのだがー、
事務処理が、カンマンだから、
少しも前に進まない。
どの窓口もそのように見える。
係は、時々席を外して
あさっての方へ行って、何かをやっている。
あせらない。

試験を受ける時も、
こういう風なオチツキが必要なんだナ。

この日はオレにとって
どうゆう日であるかというと、
源泉徴収された給与所得の、
年末調整の書類を税務署に出すのに、
一月三十一日の消印を必要とするのだ。

オレの目の前で母親が大學入試の
願書を書留で送ろうとしているのだ。
専修大学だったかも知れぬ。

局員が締切日を訊ねる。
そして、
それではもう間に合えませんよといった。

いいえ。
消印があればそれでいいんです。
母親は背中を丸くして窓口を覗きこんだ。

おう。寒い。
やっと順番がきた。

       ◇       ◇

メモ(上記とは関係のない悪戯書き)

次の漢詩とこれをもとにした説話を読んで、あとの問に答えなさい。
(設問はめんどくさい。勝手に作れ)

  孟宗
泪滴朔風寒(なみだしたたってさくふうさむし)
蕭々竹数竿(せうせうたけすうかん)
須臾春笋出(しゅゆにしゅんしゅんいづ)
天意報平安(てんいへいあんをはうず)
泪→涙
朔風→北風
蕭々→ものさびしさま
須臾→わずかな間

孟宗は、いとけなくして父におくれ、一人の母を養へり。母老いて、つねに病みいたはり、食の味はひも、度ごとに変りければ、よしなしものを望めり。冬のことなるに、竹の子をほしく思へり。すなはち、孟宗、竹林に行き求むれども、雪深き折なれば、などかたやすく得べき。「ひとへに、天道の御あわれみを頼み奉る」とて、祈りをかけて、おほきに悲しみ、竹に寄り添ひけるところに、にはかに大地開けて、竹の子あまた生ひ出で侍りける。おほきに喜び、すなはち取り帰り、あつものにつくり、母に与へ侍りければ、母これを食して、そのまゝ病もいえて、齢を延べたり。これ ひとへに、孝行の深き心を感じて、天道より与へ給へり。
             「御伽草子」による