狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

再読「広辞苑」よ

2005-09-19 11:05:13 | 怒ブログ
○「狸便乱亭ノート」 タイトル由来
liberty note を漢字に当てたもので、大それた意味はない。押し付けがましい解説を加えれば、「狸」といえば、とぼけ顔をしながら悪賢い爺さまを連想しがちだが、ごくお人よしの類の人間の顔と御理解いただきたい。便乱とはべらぼう【便乱坊】の2字を拝借した。広辞苑によれば、「寛文年間(1661~1673)に見世物に出た、全身まっくろで頭がとがり、目は赤く丸く、あごは猿のような姿の人間」だそうである。つまり(バカ)のことだ。小生(管理人)の顔が充分予想できると思う。

○「怒ブログ」について
拙ブログの開設日は2005.07.26でまだまだ日は浅い。パソコン暦がサトウ・サンペイ(「パ」の字塾)の塾生からの出発となる。サトウ・サンペイ講師は小生と同じ歳の生まれで、現在小生使用の、唯一の聖典は(「パ」の字塾2002年8月版)である。
ブログ「狸便乱亭ノート」は、(友引)を選んで初登録した。ブログ付箋にある “category” の欄などそのとき目に入らなかった。「怒ブログ」とは、小生が私(ひそか)に淑(よ)しとしている、故前田俊彦翁の「ドブロク造り」に因んで開設の巻頭詞にしたもので、何時の間にか「怒ブログ」の“category ”が拙ブログの代名詞みたいにいわれている。下記(メモ「広辞苑」よ)「代名詞」参照。整理しないでこのまま続けて行きたい。

○メモ《「広辞苑」よ》
筑摩書房のPR誌「ちくま」を購読している。毎号巻頭随筆に、なだいなださんの「人間、とりあえず主義」が載る。よほど小泉首相とはウマが合わぬと見え、常時「コイズミ」と呼び捨てして書いてあるのがまた痛快だ。
バックナンバーになってしまったけれど、その8月号の「広辞苑よ」は終戦忌に当る月の最適の読み物として、爽涼反復玩味して今も読み返している。

《(略)天皇の出席する八月十五日の、武道館での全国戦没者追悼式は、太平洋戦争で没したすべての人、つまり東京大空襲で死んだ人も、原爆で死んだ人も、沖縄の地上戦に巻き込まれて死んだ人も、もちろん軍人も、含むものだと思っていた。それで小泉首相に、靖国を参拝して、戦没者に平和の誓いをすることが、なぜいけないんだと開き直られると、違和感を覚えたのだ。

(略)広辞苑を引いて驚いた。自分の目を疑った。
戦没とは、《戦場で死ぬこと。戦死、戦傷し及び戦病死の総称》と書いてあるではないか。それ以外の意味はない。(略)
となると、僕は、戦没者とは、今度の戦争で死んだ人全部のことと、勝手に思い込んでいたことになる。

(略)天皇は、小泉や中曽根や、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の面々と違って、靖国には、戦後参拝されていないが、それは戦争全体の犠牲者を慰霊するが、軍人の死者だけ慰霊しないと、一線を引いて行動で示していたのだと考えてきた。賢明な判断をされてきたのだと》。

そして、《「最近もある講演会で聴衆に手を上げて答えてもらったところ、ぼくのように考えていた人が、半数を超えていた。もちろん広辞苑通りに解釈する人もいた。」》とした上で、

《「広辞苑よ。今からでもおそくはない。この言葉に、戦争による、軍人も民間人も含めた死者のこと、という説明を加えてもらいたい。
広辞苑は、一九五五年の初版、始めは誤用だった用法を、半数以上の日本語使用者が使うようになると、どんどん正式の意味として、認めてきた。《○○の代名詞》などという用法は誤用だが、今では、正式の意味として採用されてきた。」》と書いている。

 小生は「博文館」時代の「辭苑」から広辞苑第五版まで全版の広辞苑を所持している。調べてみたら、なるほど次のとおりであった。

●戦死
辭苑―うちじに。せんし。
広辞苑第一版―①うちじに。戦死。②戦死、戦傷死及び戦病死の総称。
広辞苑第5版―戦場で死ぬこと。戦死・戦傷死・戦病死の総称。「―者 」

●代名詞
辭苑―【文法】名詞に代えて、人・物事・地位・方向などを示すに用いる詞。人代名詞・指示代名詞・疑問代名詞の三つに分ける。
広辞苑第一版―名に代えて、人・物事・方向などを指示するに用いる詞。代詞(かええことば)
広辞苑第三版(S30年)―①(pronoun)品詞の一。ある場面または文脈に現れた人・物事・方向などを、そのものの名称・名詞を使わず、話者からみた相手・第三者・遠近などの関係によって指し分けるのに用いる語。人代名詞・指示代名詞など。国文法では名詞に含ませる説もある。②比喩的に、同類のもの全体の代表名として使われる物事の名称。「銀座といえば繁華街のーだ」

広辞苑第五版―①(pronoun)品詞の一。人や事物の名称の代わりに用いられる代用形の名詞。多くの言語で、性、数、人称によって区別があり、格による変化が見られる。人称代名詞・再帰代名詞・指示代名詞など。日本語の文法では名詞に含ませることが多い。②比喩的に、同類のもの全体の代表名として使われる物事の名称。「銀座といえば繁華街のーだ」

しかし終戦以前の日本語は「辭苑」に限る。先週書いた「靖国」で旧日本海軍の「善行章」などと記述は「辭苑」によるものだが、広辞苑には初版から削除されている。