恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

子どもたちの自由な「心」を守るために

2006年04月20日 | 教育基本法・教科書
■ 「心」にこだわる保守系議員

 自民・公明の両与党は14日に教育基本法の改定案で合意しましたが、この表記をめぐり、自民党内からは「表現が生ぬるい。」「より保守色な内容にすべきだ。」などの意見が相次いで出されています。
 また、昨日19日には、自民党だけでなく民主党や無所属の一部などの超党派議員らで作る議員連盟「日本会議国会議員懇談会」が総会を開き、「公明党に配慮し過ぎだ。」「養うべきは、『国を愛する態度』ではなく、あくまでも『心』だ。」などの強硬的な意見が相次いで出され、今後は国会議員の署名を集め、「愛国心」表記など3点について与党案の修正を求めていくことを決めました。

■ 子どもたちに何をさせたいのか

 与党案の「愛国心」表記は、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」というものです。
 「愛する」という「心」の内面にまで踏み込んで、その態度すら強制されていくことが、いかに不当なものであるかは前回も書いた通りですが、「日本会議国会議員懇談会」は、これでもまだ不充分だというのです。
 これほどまでに、子どもたちの「心」に踏み込むことを求める彼らは、一体、子どもたちに何をさせたいのでしょうか。

■ 平沼会長、教育基本法と憲法の改定は「一体で推進」

 「日本会議国会議員懇談会」会長の平沼赳夫氏は、教育基本法改定について「自主憲法の制定と一体で推進」と掲げています。また、「自主憲法の制定」については、憲法9条を見直し「自衛のための戦力保持」を掲げています。しかも彼の言う「自衛権」とは、明確に他国と共同で戦争を行なう「集団的自衛権」を含むものです。
 要するに、戦争できるよう戦力(軍隊)を持ち、そのために憲法を改め、その軍に将来、身を投じるよう子どもたちに「愛国心」を植え付ける教育を施そう、ということです。

■ 彼らの求める「愛」の水準

 討論番組などを見ていると、「愛国心」教育について、推進派の人々から「愛国心というのは当り前の感情だ。」というような意見をにします。
 「当り前の感情」であれば、国家が余計な介入をせず、子どもたちに任せておくべきです。それをなぜ法律を改め、条文化し、公教育の場で子どもたちに押し付ける必要があるというのでしょうか。
 それは彼らの求める「愛」の水準が、「当り前」の領域である「好き」程度の感情では済まないからです。国家への絶対的忠誠と、進んで命を捨てる心を、幼い頃から徹底的に植え付けたいのです。

■ 「強制」から始まり「自発性」へ

 こうした教育基本法の改定について、「教育改革国民会議」などで強く「推進」の意見を述べてきた曽野綾子氏はこう語っています。

「教育は程度の差こそあれ、強制から始まって自発性を目覚めさせる。」

 これを、「愛国心」教育で考えたらどうなるでしょう。まず「愛する」ことを「強制」するところから始まることになります。
 いま、子どもたちは絶えず「競争」にさらされています。「愛国心」が評価の対象になれば、競って身につけようとすることも考えねばなりません。進学に影響することも考えられるでしょうし、勉強の苦手な子どもが「イジメ」に遭うように、年端も行かぬ子どもたちの間で「愛国心が足りない」という新たな「イジメ」が、生まれることも予想されます。

■ 「愛国心」の強制の実態

 私は以前、戦前の植民地教育の実態についての論文を読んだことがあります。
 植民地の人々が最初から、日本政府が望むような「愛国心」を持つわけがありません。むしろ日本が最初に植民地化した台湾では、先ほどの曽野氏の考え方と同じような手法が取られました。
 当時の台湾の子供たちは、まず殴られ、逆らえば殴られることを当然のことと受け取るよう教えられた上で、天皇への忠誠を誓わされ、徹底的に皇民化教育・軍国教育を叩き込まれた、というのです。
 子どもたちは、やがて慣らされ、そして大人になり、「日本国民」として戦争に駆り立てられていきました。特に、いわゆる「優等生」達は、進んで軍に身を投じ、命を投げ出して行きました。

 正に曽根氏の唱える「強制から始まって自発性を目覚めさせる」という教育の結果と言えると思いますが、一歩間違えれば、こうした「被害」を子どもたちにもたらすことを忘れてはなりません。

■ 子どもたちの「心」への強制を許さない

 「愛国心」に限らず、すべての「心」は、自由な感情から生まれるもので、政府から強制されるものであってはならないと思います。
 子どもたちの「愛する」という「心」に、政府が法律を楯に、踏み込んでいこうとする今の教育基本法の改悪は、与党案、議員連盟案ともに、絶対に許せるものではありません。
 私は、子どもたちの自由な「心」を守るために、教育基本法「改悪」反対の声を上げ続けます。


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