1月29日付の日経新聞の見出しで、「年金協定、新興国に拡大 駐在中の保険料二重払い解消」というのがありました。
政府は現在、先進国を中心に締結している社会保障協定の対象を新興国に拡大する。日本企業の新興国進出が急拡大していることを踏まえ、駐在員らが国内と海外で二重に公的年金の保険料を払う事態を解消するのが狙い。ブラジルとは今国会で承認されれば協定が発効する見込みのほか、インドとは年内の政府間交渉開始を目指す。中国とは締結を視野に入れた情報収集を強化する。 |
という記事です。中国では社会保険法が7月1日から施行されることに伴い、外国人に対しても社会保険料納付義務(年金も含みます)を課すことになるという見解がある(私もその見解)一方で、具体的に外国人に対してその義務を課するとまでの明確な文言が社会保険法に見られないため、外国人は対象外とする見解も一部見られています。しかしながら、日中間で年金協定を締結するというのは当然のことながら日中両国で年金支払いが発生することが前提となるわけで、これが締結される、あるいた締結されるのが前提である以上、外国人が中国で年金保険料を納付することを政府間で認めたことになるといえるでしょう。まあ、外国人に対してもこのような義務を課すことはいろんな国であることであり、別に目くじらを立てるようなものでもありませんので、協定さえちゃんと締結して二重払いリスクを解消させしてくれればいいと思います。でも締結までにはそれなりに時間もかかるでしょうから、7月1日に間に合わなければ二重払いリスクが実現してしまいます。新聞記事では年内にも政府間交渉を始めとあることから、7月1日には間違いなく間に合わないでしょう。二重払いになってしまう場合、従来発生しなかった費用が余分に発生することになり、特に駐在員・現地採用を問わず外国人を多く抱えている会社にとっては結構大きな負担になってしまいますね。