キッザニアって知ってますか?子供がいる方だったら知っていると思いますが、子供が社会人体験をするテーマパークです。パン屋さんに扮したり、銀行員に扮したりします。なかなか面白いと思います。
このキッザニアが中国進出を果たすべく現地法人を設立したのが2009年8月ですが、今ではプロジェクトは完全にストップし、撤退するという報道が流れています。失敗の要因は海外のスキームをそのまま持ち込んだことにあるという論調が目立ちます。ちょっとこの辺りを見ていきましょう。
キッザニアは日本と韓国では大成功しています。韓国のことはよく知りませんが、日本だと入場するのも一苦労です。これに気をよくして「次はいざ中国へ」ということだったのでしょう。ビジネスモデルとしてはチケット収入とスポンサー収入です。まずチケット収入ですが、スタートしていないので中国の他社との比較ができないのですが、海外標準で設定しようとしていたそうなので、東京と比較してみましょう。ちなみに参考にするには星期八小鎮と酷貝拉の二つです。
ちなみに星期八小鎮は上海、武漢、広州の三箇所にあり、西安にも開園する予定です。酷貝拉は今のところ上海だけです。
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キッザニア東京 |
星期八小鎮(上海) |
酷貝拉(上海) |
子供 |
3200-4400円 |
130-180元 |
150元 |
大人 |
1900円 |
50元 |
50元 |
ざっくりでいえば東京は地場の2倍くらいですね。人民元に引きなおすと300元くらいでしょうか。確かに現地感覚としては高いですねえ。大人二人子供一人で酷貝拉にいったとすると入場料が250元、キッザニア東京だとざっくり600元くらいになりますね。これだけ消費してしまうとそこで力尽きてそのほかの消費をすることができなくなってしまうでしょうねえ。
チケット収入以外にはスポンサー収入があります。キッザニアはこれも海外基準で設定したようで、各社に対して最低で400万元という設定をしたようです。これに加えて毎月の収益の5%の上がりをキッザニアに渡すというもので、ファシリティも全てスポンサー負担です。これに対して中国ではこのようなスポンサーフィーは100万元程度だそうです。広告費が高いという印象があったのですが、こんなもんなんですね。この100万元も場合によってはファシリティーの内装費用込みで40万元で収まるケースもあるようです。確かにこれだとかなり開きがありますねえ。スポンサーとなった企業との間では結構もめているようです。これを解決するために資産売却して資金捻出しようとしているという話もあります。
あと、地場の場合はキャラクターを作り上げてそのグッズ収入も結構上がっているようです。このあたりはディズニー的な発想を持ち込んだのでしょう。
中国で儲ける、そのために、高くてもよい品物、よいサービスを提供するということがよく言われます。それは決して間違っていないと思います。中国の品物は「安かろう悪かろう」から「安かろうそれなりに」というように変わってきており、かなりの強敵になりつつありますが、本当によい品物・サービスを欲している人も増えてきております。そういう意味ではキッザニアの戦略は間違ってなかったのかもしれませんが、でもやはり強気すぎたんでしょうねえ。一般家庭あるいはそれよりやや上の水準の家庭だと一日で600元もテーマパークだけで消費してしまうのはきついでしょうね絵。事前にどこまで市場調査等を行っていたか知りませんが、そのあたりの詰めが甘かったかもしれないですね。
なお、2009年8月4日に設立されたキッザニアの現地法人は資本金140万米ドルに対して今のところ約20%しか払い込まれていないようです。設立して2年という資本金払い込み期限が到来してしまっているわけですが、どうなるんでしょうねえ。