呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

医師が薬品仕入のリベートを受け取るのは暗黙のルールのようだ

2009年02月20日 | 未分類
  中国の新聞で読んだのだが、多くの業院において医師が薬品仕入のリベートを受け取るのは暗黙のルールとなっているようだ。病院によってはとある科の該当者を処罰しようとすればその科の全員が処罰を受けることになってしまうため、罰することができないという話まである。

  商務部の資料が示すところによると、商業賄賂としての薬品リベートが毎年飲み込む国家資産は7.72億元に達しており、全国の医薬業界の年度税収の16%に達するそうだ。リベートを受け取ることに対して病院も特段問題だと思っていないようで、このような暗黙のルールを打破することは難しい。リベートのやり取りに当たって現場でこんなやり方が行われているそうだ。薬品の購入に当たり、まず病院側は価格を安くするように申し入れ、いったん値段を下げさせた後に今度は値上げを申し入れる。そして医師はその差額の一部を自分の懐に入れるわけだ。差額の全部ではなく一部を懐に入れるので薬品会社側にも多少のメリットが生じる。薬品会社は賄賂を主武器に販促を行っていることから、この現象はなかなかなくならない。誤解を招くといけないのでここで断っておくが、もちろん全ての薬品会社がこのようなことを行っているわけではない。

  話を戻すと、薬品仕入に当たって医師が賄賂をもらうという現象の原因として、医師の待遇が低いという問題があるようだ。日本では医師の待遇はちょっとよすぎるのではないかと思う人がいるほど高いステイタスを誇っているわけだが、中国ではそれほどステイタスが高くないようで、よりよい待遇を求めて民間企業のサラリーマンに転進する医師もいるようだ。膨大病院の院長の月給を聞いたことがあるが、「あんな大きな病院の院長の給料がそれだけ?」と驚いた記憶がある。今までの習慣や文化的な背景も原因となっていると思われ、特に受け取る側に罪の意識が薄いことから、この状況が改善されるのはかなり時間がかかるだろう。