極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

スタインベックと花粉

2013年12月23日 | 環境学・環境思想

 

 




【グリーンな話 2】

今年に入り、軽度ではあるがアレルギー症状が出やすくその原因を考えていたが、鶏卵によ
るものじゃ
ないかと考え始めていた。病院でアレルギー反応検査すればその推論の答えがで
るのは分かっている
が、それも面倒なので行けていないのだが、鶏肉の抗生物質が原因であ
ることも素人診断で突き止めて
いるものの(『寒い夜の牛煮込み』)、口内の丘疹程度で修
まるので、食材の選別で対応放置してきた。
ところが、夏を過ぎると、頭部、下腹部、下肢
に発疹が再発し、近くの皮膚病院で、リンデロンやアンテ
ベートローション、アレグラ錠な
どの塗布や服用で対応するようになるが、鶏肉の食材の選別だけで対処できな
くなる。そこ
で、この夏の暑さによる抗生物質の多用による鶏卵からの摂取ではないかと、仮
説を立てて
みた。勿論、牛肉などの家畜によるかもしれないから、症状が現れたその都度、献立の詳

を彼女に確認していくと、朝食にほぼ毎日鶏卵の厚巻き(卵焼き)出されているのでこれが
原因説にたどり着く。これが正解かどうかはもう少し時間がかかるが、今月12日の産経ニュ
ースでは、抗生物質8割が家畜 米FDA、使用抑制を要請していると報道。薬剤に耐性を
持つ菌ができる温床となって人に健康被害を及ぼすのを防ぐのが狙いという。最終的には人
の感染症に有効な抗生物質の家畜への使用全廃を目指す。対策では、動物向け医薬品を製造
する企業に対し、牛や豚、鶏などの成長を早めたり、少ないえさで体重を増やしたりする目
的で抗生物質を使わないよう添付説明書に明記を求める。家畜の病気を治す場合でも獣医師
の処方を得ることを推奨し、
抗生物質の8割が人でなく家畜に使われていると推計され、家畜の
体内でできた耐性菌が食品や自然環境を通じて人に伝わる危険が指摘されている。



このニュースは耐性菌によるリスクが主眼であるが、食物アレルギーに関して、文科省の調
査結果によると、公立小中高校が把握する食物アレルギーがある児童生徒は、全国で45万
3962人(4・5%)で、9年前の調査より1・9ポイント多かったことがで分かった。
このうち診断書などで確認された子は21・4%といい、文科省は「適切な対処には症状の
正確な把握が必要。医師に相談してほしい」と報道されたばかりだ(朝日新聞デジタル 2013.
12.16)。この手の「ファントム・メナス」(目にみえない脅威)の対象は、まだまだ実体が
つかめていないようだ。まずは、専守自衛行動?に徹してみることを決めた(まずは、上図
書籍をネット購入)。





【キャナリー・ロウって何?】

今朝は二度寝し、十時前に起床し朝食を取って作業していると、彼女が今朝の用事を済ませ
帰ってくるなり、近くの「キャナリーロウ」でランチに行こうと言うので、慌て手をとめ外
出する。外は小雨で、季節からいうと寒くもない。スパゲティーのランチセット食べ終える
と、キャナリーロウのロウって、船を漕ぐの“漕ぐ”なのと尋ねるので、それもあるが、行
列の意味もあるから、道や通りの意味で使っているのではないかと返事する。それじゃキャ
ナリーの意味は何だろう?と切り返してみるが、返事がないのでたぶん分からないのだが、
“キャナ”の響きが“can(缶)”
 に通ずるところがあるので“缶詰通り”だが、洒落たレストラン
の名前にはふさわしくないのではと考えてみたが、その彼女は植え込みの木を見てこの植木は何と
尋ねるので、暫く、みていたがシラキかニレかベリーか・・・ブルーベリーとしたら葉の形ではないし・・・
とこたえる。そんなこと小さなことなど暫く話していたら、無精髭がみっとむないねと言い出したので、
恥ずかしいから帰ろうというと、席を立ち一足はやく店をでて車に乗り込んだ。外は小雨が降り続い
ているが、余り寒くない。

家に着き、作業の続きを再開していると、先ほどの“ロウ”の意味を辞書で調べ、やはり、
"漕ぐ"と言う意味だよという声が聞こえてくるので、それじゃ調べてみるよということで、
ネット検索を始めた。それによると、「アメリカのカリフォルニア州モントレーにある、海
岸沿いの通り。◇ノーベル賞作家、スタインベックの小説『キャナリー・ロウ』と『たのし
い木曜日』で世界的に知られるようになった。かつてはイワシの缶詰工場が並んでいたため、
あだ名で「缶詰通り」と呼ばれていたが、今は正式名称になっている。現在はショッピング
ビレッジとして再開発され、周辺にはレストランやブランドショップ、水族館などが集まり、
観光客の人気を集めている。水族館では、モントレー沖に生息する20mもあるジャイアント
ケルプ(海草)やラッコを見学できる」と記載してある。さらには「スタインベックはモン
トレーオーシャンビューアベニュー、について書いた実際の場所は、後で本の敬意を表して
「キャナリーロウ」と改名された。映画版は 1982年にリリース。 舞台版は1995年に生産さ
れた。 キャナリー・ロウ(Cannery Row)は、カリフォルニア州モントレーにある海岸沿い
の通り (北緯36度36分59秒西経121度54分2秒)で、かつてはイワシの缶詰工場が並んでいた。
現在は閉鎖。通りの名は、それから由来して「缶詰通り」の意、元々はあだ名であったが、
現在は正式名称になっている」「ジョン・スタインベックの小説『キャナリー・ロウ』(19
45年)と『たのしい木曜日』(1954年、2作とも「スタインベック全集」第9巻大阪教育図書 
1996年に所収)によって、世界的に知られるようになった。前者は、1982年に「キャナリー・
ロウ」(「吹きだまりの町」日本では劇場未公開、TBSで放送)のタイトルで映画化された。
監督は、デビット・S・ウォード。ニック・ノルティ、デブラ・ウィンガーが出演している。
キャナリー・ロウ800番地には、1928年から1948年まで、パシフィック・バイオロジカル・ラ
ボラトリーズという漁具店があった。経営者のエドワード・E・リケッツは、スタインベック
の個人的な友人でもあり、彼の小説の中では、「ドク」というあだ名で登場している。広場
には、スタインベックの胸像もある。缶詰工場は、1950年代の半ば、モントレー湾での水産
業が壊滅的な状態に陥って操業を停止した。 壊滅以前は、ここは世界でも最も漁獲高の高い
海域のひとつに数えられていた。広大なモントレー渓谷の地下水から流れ込んできた栄養分
の高い水と太平洋の冷たい深海水が入り混じって海面近くに噴出しているためである。今日、
このキャナリー・ロウの周辺は、海のサンクチュアリになっていて、カリフォルリア・アシ
カの大きな生息地がある。通りは観光客のためのアトラクションで賑わい、かつての缶詰工
場の建物をそのままに改装したみやげ物店やホテル、レストランが立ち並んでいる。モント
レーベイ水族館は、キャナリー・ロウの北の端に位置している。」とも。

さて、ジョン・スタインベックは、第二次世界大戦のさなか、1943年6月にニューヨーク
『ヘラルド・トリビューン』紙の特派一員としてヨーロッパ戦域を約5ケ月間取材し、1943
年10月にニューヨークに帰還。この戦争体験で、肉体的にも、精神的にも彼に大きな打撃を
うける。同年7月4日のウェブスター・F・ストリートに宛てた手紙で、戦争とは無関係なユ
ーモアに富んだ小説を書くことを目指し、同年9月27日にシェフィールドに宛てた手紙のな
かで、『キャナリー・ロウ』(CanneryRow,1945)という書名にしたこと、またこの小説には
四つのレベルがあること、この小説が第二次世界大戦にひとつも言及していないことを述べ
る。この物語は、彼が師とも仰いだエドワード・F・リケッツをモデルにしたドック(Doc)を
中軸にすえ、マックとその仲間、食料雑貨店の店主である中国人リー・チョン、そして売春
宿の女将であるドーラ・ブラッドとそこで働く人々、その他自殺する人々を含め、数多くの
人間群、また生物群が登場させこの物語世界を形成する。語り手は全知的な立場に立ち、さ
まざまなエピソードを語り、生と死とが混在する玄妙で悠久なる世界を現出させているとい
う(上優二著『キャナリー・ロウ』「道」の世界を探る)。
 さらに、上優二は、道教の世界は、
『キャナリー・ロウ』の物語世界、つまり、パラドックスやメタファーや象徴性に満ちた混沌した世界と
また、こうした道教的世界観は、ある事象を一義的に定義することを拒否するというポスト
モダニズムの視点と通底す底通すると指摘し、スタインベックは第二次世界大戦の戦争体験

を通し、肥大化した欲望や野心の行き着く先が戦争であるとする、こうした老子の思想に強
い共感を覚えたにちがいない。また先の戦争体験で、いかなる戦争においても、勝者も敗者
もともに傷つき、真の勝者などは存在しないということを痛感したのではないだろうか。そ
して、善のなかにも悪の要素がかならず存在し、これが正義の戦争と一義的に断言すること
を拒否する道教的な立場、あるいはポストモダニズムの立場もこの作品には色濃く反映され
ている。けだし、彼は戦争と無関係な作品を目指して『キャナリー・ロウ』の創作にあ
たっ
ているが、意識化されずとも「少欲知足」、「無為自然」という老子の思想に
悲惨な戦争を
回避するための一つの道を求めたのではないだろうかと結んでいる。

以上、"キャナリー・ロウ"とは、甚だしく現在的で、根源的な問いかけが含まれ、さらには、
このキャナリー・ロウの周辺は、海のサンクチュアリになっているということに、驚くとと
もにそれらが背景として名付けられていることに暫く、深く考え込むこととなった。




【花粉種の自動識別できれば?】

国民病である花粉症の対策を立てる上で、花粉の種類を識別し、リアスタイムで正しい花粉
飛散情報を得ることは重要だ。そこで、花粉の自家蛍光特性を活用した実用的な花粉種自動
別計測装置が開発されたが、ここでは開発概要とその先にあるものについて考えてみる。

 JP 2011-117812 A 2011.6.16

この開発に当たった青柳秀紀筑波大学生命環境系教授らのグループは、(1)花粉に適切な紫外光
を照射すると花粉種独自の自家蛍光が発生する事、(2)自家蛍光を色成分に分け、色比 [
青/赤]と花粉の粒径に基づき花粉種の識別が可能な事を明らかにした上で、(1)ポンプで
大気を吸引し、(2)バーチャルインパクター(花粉と他の粒子をサイズ差で分級)により、
(3)花粉サイズの粒子が選択的に、測定部に一個、一個、導入、(4)青紫色半導体レー
ザーで紫外光が照射。(5)花粉は紫外光を散乱し、同時に励起され自家蛍光を発し(6)
受光部で青蛍光、赤蛍光、散乱光を検出し、色比 [青/赤]と花粉の粒径(散乱光より推算)を
算出し、(7)花粉識別関数に基づき花粉種を識別、自動計数する。この
装置で得られる情
報は、国内のみならず海外の花粉症患者のアメニティー向上への貢献が期待される(北米では
ブタクサやカバノキの花粉、英国はイネ科の花粉に由来する花粉症が深刻な問題になってい
る)。さらに、得られたデータは、植物生態の把握(長年にわたる花粉情報の蓄積=地球温暖
化等の環境変動の把握)や林業の将来設計、組換え植物のリアルタイムの花粉飛散挙動の把握
などに広範に利用されるとみられる。


 

【燃料電池の電極表面を科学する】

 

 

燃料電池は、空気と燃料(水素やメタノールなど)を利用して、化学反応から電力を取り出
す装置。今や誰もが知っている技術だろう。特に、室温付近でも動作する高分子電解質型燃
料電池は小型化、軽量化が容易なため、自動車や携帯機器の駆動電源として期待されている。
高分子電解質型燃料電池は燃料と空気を、高分子電解質で隔てられた電極(負極と正極)に
供給する(上図)。現在、燃料電池の反応を促す触媒として高価な白金が使われれいるが、
特に正極で起こる酸素還元反応には、大量に必要とされる。さらに、この反応の活性化が電
池性能の向上の鍵を握っているが、正極での酸化還元反応は、白金に結合した水酸基を中間
体と進行するが、その正確な機構は分かっていないのが現状だ。スタンフォード大学SLAC
(国立加速器研究所の小笠原寛人らは、燃料電池の性能向上には、触媒として使用している
白金近くの水分子が重要
であることを解明したとという。

 

どのように解明したのか? 今回研究グループは、軽元素の分析に適した軟エックス線を用
いて、酸
素還元反応中に正極の白金触媒に結合した酸素種の挙動を調べた(上図参照)。グ
ループが開発した世界最高感
度の環境制御型光電子分光装置で、動作中の燃料電池の正極に
照射し、放出される光電子(正極で)の触媒反応をその場で観測したという。この結果、白
金触媒の表面原子に結合した酸素種が、酸素還元反応の中間体は水酸基であることを世界初
で確認。さらに、白金表面原子のみに結合した非水和水酸基と、白金表面原子と水分子の両
方に結合した水和水酸基の2種類が酸素還元反応中に共存し、特に白金に結合した水分子の
量が少ないと高起電力、出力動作が得られ、また、より多くの非水和水酸基が白金に結合し
ていた(下図)。このことから、正極での酸化還元反応を効率よく進めるためには、白金触
媒近くの水分子の量を制御
が重要であることが分かったという。

 

※ 酸素1s光電子のエネルギースペクトル(黒線)には白金原子のみに結合した非水和水
酸基(水色)と白金原子と水分子の両方に結合した水和水酸基(紺色)に対応するピークが
観測されており、これらが白金表面に共存している。密度汎関数法による電子状態計算によ
り、非水和水酸基と水和水酸基が不均一な島状で白金触媒に結合している。このことから、
酸素還元反応の中間体の触媒表面の水和が、酸素還元反応経路と反応の効率を分子レベルの
決定因子で、触媒近くの水分量を分子レベルで適切に制御し、酸素還元反応経路の最適化、
燃料電池の性能向上を目指すことで、白金の使用量低減、固体高分子形燃料電池の低コスト
が期待されている。

「グリーンな話2」では 、抗生物質の規制と、アレルギーと花粉種の自動識別と、燃料電池
の電極開
発のための基礎技術の3つ話題を取り上げてみた。そして、日常の食事シーンを掘り
下げ、スタインベックの小説『キャナリー・ロウ』の主題の人間の欲望と戦争について考えて
みた。

 

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