極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

今夜はグリーンの話

2013年12月18日 | 時事書評

 

 

    



【MY発電所キット 60/72の話】

太陽光発電システムの導入判断のひとつのキーワードが、システムの合計出力。法制度上、出力50キ
ロワットを境に、それ未満を低圧契約、それ以上を高圧契約に大別され、高圧契約は法制上の制約が
多いため、工事に必要なコストや工期が大幅に跳ね上がる。そのため、個人や小規模に発電事業をス
タートしたい企業などは、50キロワット未満の低圧契約を選択することが多い。そんな低圧契約太陽
光発電市場で、最大の発電量を目指した製品「MY発電所キット60/72」がLooop社から2013年10月に発
売さ
れ話題となっている。その仕組みの“肝”は、1日の発電量の推移にある。通常、太陽光発電シ
ステ
ムは、朝の日の出から正午に向けて、徐々に発電量が高まる。そして、正午をピークに日没に向か
って
発電量は減る。そのときピークとなる正午に太陽光発電システムの最大出力のピークを合わせる
のが
これまでのやり方で、49キロワットの太陽光発電システムの場合、日照のピークである正午に49
キロ
ワットの出力が発生する。従って、ソーラーパネルも49キロワット、パワーコンディショナーも
49キロ
ワットでシステム構築する。しかし、Looop社の「MY発電所キット60/72」は、49.5キロワットの
パワーコ
ンディショナーに60もしくは72キロワットのソーラーパネルを組み合わせ、下図の黄色い部
分が、従来の49キロ
ワットのソーラーパネル&パワーコンディショナーによる発電量。それに対して、
60もしくは72キロワットのソ
ーラーパネルと49.5キロワットのパワーコンディショナーの発電量は青
の部分まで大きくなる。つま
り、太陽の光が弱いときに、49キロワットのソーラーパネルより60もし
くは72キロワットのソーラーパネルは、
より多くの発電を実現する。そのときの出力は49キロワット
に届かず、パワーコンディショナーは49
キロワットで事足りる。そして、正午のピーク時は、法制度
に適合するよう、パワーコンディショナ
ーがピークをカット。系統連系に契約以上の電力を流さない
ようにする。つまり、ソーラーパネルが
7キロワットであっても、運用は49キロワットのソーラーパネ
ルと同様になるというのだ。

しかし、カットされるピーク部分の発電量がそれよりも大きくなっては意味がない。新エネルギー産
業技術総合開発機構(NEDO)が公開している日照量のデータを当てはめて計算すると、ピークカッ
トで失われる発電は意外に少ない。宮城県仙台市では、年間の総発電量に対してロスされるのは2.3
%。山梨県甲府市で1.85%、宮崎県都城市で0.577%、京都府京都市で0.49%、茨城県笠間
市で0.38%であった。その結果、一般的な低圧タイプの太陽光発電システムに対して、「MY発電所
キット72」は、約1.4倍の年間発電量を実現させたという話だが、法規の枠内で過剰設備にならない程
度に最大発電量を得て最適化するという手法で、パネル+パワコン価格の廉価度が採算上の支
配因子と
なるが、ピークカット分を集めて利用しなければもったいないことには変わりない。尚、ピークが数
%であればパワコンの定格を超えても支障はないという話だ(十分に余裕があるということだが、裏
付けはとっていない。直接メーカに問い合わせば良いことだが)。

 

【矢橋の帰帆にメガソーラーの話】

矢橋(草津)は江戸時代、対岸の大津石場との渡し舟の発着地として栄えた港で、東海道を往来する
旅人は湖上交通による近道として大いに利用し賑わった。 現在は湖岸に自動車道路「さざなみ街道」が
走り、人工島「帰帆島」が造成されて往時の景観は一変、人工島の奥にある入江には今も釣り船や和船、
ヨットなどが繋留され、のどかな風景をかもし出す。ところが、滋賀県、京セラ株式会社、京セラT
CLソーラー合同会社は、矢橋帰帆島内に、滋賀県最大となる約8.3メガワットの太陽光発電設備を
設置に向けた基本協定を締結するという。滋賀県は、公有水面埋立により創出した矢橋帰帆島内の未
利用地の有効活用を目的に、10月、太陽光発電施設の設置および運営管理を行う事業者の公募を行い、
これに京セラと京セラTCLソーラーが共同で応募し、事業者として採択。今後は、2014年3月に協
定を締結、同年8月に工事着手、2015年9月に発電事業を開始する予定だ。なお、発電事業は売電開
始から20年間。発電所は、約99,970平方メートルの土地に京セラ製太陽電池モジュール約34,000枚を
設置する計画で、年間発電量は一般家庭2,000世帯分の年間電力消費量に相当する約850万キロワット
となる見込み。災害等非常用電源の設置、および矢橋帰帆島公園の整備(ソーラー案内板、ソーラー
外灯・時計の設置)を行い、さらに発電所には子どもたちへの環境学習を目的とした見学用の展望台
を併設するなど、地域の発展に貢献するとのことだ。 




矢橋にメガソーラーか、隔世の感だな。しかしてこれは、ウエルカムなニュース。流域下水道の終末処理場と
いうことで言えば、湖東、湖西もあるが後続する建設計画はあるのだろうか?!そんなことを考えていた。

 

【日本のバイオマス市場の話】 

日本は60億立方キロメートルの森林をかかえる世界でも有数の森林資源国だが、その資源を有効利
用する木質バイオマス発電は早くから注目を浴びていたものの、先進国のドイツから比べれば、遅々
たるものだが、ここにきて具体化に向けて動き出したが、事業経営面でも、技術面でも課題が多い。
バイオマス発電の事業化を推進のきっかけは、2012年7月にスタートした再生可能エネルギーを対象と
した固定価格買取制度(FIT)の導入。すでに数十件のバイオマス発電事業がFIT認定申請し、バイオマ
ス発電を事業化する動きが活発になっている。しかし、同じ再生可能エネルギーでも参入が容易な太
陽光発電事業などとは異なり、木質バイオマス発電を事業化するには、あらかじめサプライチェーンな
どを形成する必要があり、体系的な知識、ノウハウが欠かせない。日本のバイオマス発電はまだ経験
が浅く、多くの課題が山積みされている。その懸念は(1)計画されているバイオマス発電事業のほ
とんどが、大量の燃料を必要とする5千キロワット以上の大規模なもので、森林資源に過剰な負担を与
えなかねない。当然、大量の燃料が必要になるので、その事業リスクが高まる。(2)発電する際に出
る熱を活用する熱電併給(コージェネ)が考えられておらず、膨大なエネルギー損失が発生すること。そ
もそもバイオマス発電は大型化しても、化石火力発電に比べれば規模が小さく、発電効率は20%台に
しかならない。発電の際の排熱損失をいかに減らせるかが課題となる。その発電ロスを削減する手段
がコージェネで、導入するとエネルギー効率を80%以上に高めることができるが、熱電併給プラント
の場合、熱需要を開拓するのが難しく、しかも需要先の近くに立地しなければならない。(3)林地残
材や工場残材などバイオマスの副産物の利用、いわゆるカスケード利用が不十分で資源の付加価値を
引き出せない。しかし、FITの買取り価格が未利用材によるチップの場合が32円であるのに対し、工場
残材の場合は24円に設定され、日本では広い林業専用道や林地残材をその場でチップ化する移動式チッ
パーが導入・活用されず、コスト高になり残材が利用さていない。

     

このような日本のバイオマスエネルギー利用の課題を解決に参考なるのがドイツのFITによる政策誘
導策。ドイツではFIT導入時の2000年で9億キロワットに過ぎなかったバイオマス発電量が、2012年で
は125億キロワットへと大幅に増加するとともに、熱利用についても2000年の500億キロワットから2012
年には1,075億キロワットへと拡大し、農山村経済に貢献している。ドイツでは2004年のFIT改定でコ
ージェネ、林地残材、革新的技術にボーナス制度を導入してインセンティブを働かせ、発電プラント
5,000キロワット以下にシフトするよう誘導する。さらに2012年の改訂ではコージェネを義務化し、
規模別価格差をより拡大することで、事実上5,000キロワット以上のプラントの建設が不可能となって
いる。具体的には、①発電の規模価格差を設けるとともに、5,000キロワット以上の大型に対して買
取価格を低く設定する。②排熱利用を促すように、熱電併給に対して買取価格を上乗せする。③未利
用材、一般木材で買取価格差を設けることを止め、残材利用を優遇する。④さらに、日本はドイツな
ど欧州に比べ、バイオマス技術にも課題が多く、FIT 改定によりインセンティブが働き、熱電併給、
タービン等での技術革新、
などが提案されているが、それにしても、ドイツなどの前例が有ることは
心強いことだ。

   

 

 




この「グリーンな話」は三話構成にして、適宜、適時、掲載しておこうと思う。さて、ジムに無理を
おして行ったが
元上司から、訃報を聞かされることに。そういえば、自宅から出かけてすぐ、タクシ
ーの運転手をみると元の職
場仲間。チョットした会話を交わし分かれた。"会者常離"ならば前を向い
てと、内向き状態をだましだましタイピングし終えた。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする