極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

宇宙にKIROBO/師走に零戦

2013年12月21日 | 時事書評

 

 




【宇宙・災害現場にロボットが乗り込む】

世界で初めて“宇宙での人とロボットとの対話実験”が成功した。ロボット宇宙飛行士「KIROBO(キ
ロボ)」と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若田光一宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)で
対話したと“KIBO ROBOT PROJECT”事務局が20日に発表した。それによると、電通、東京大学先端科
学技術研究センター、ロボ・ガレージ、トヨタ自動車は、JAXAの協力のもと、ISSに滞在するロボット
宇宙飛行士・KIROBOの共同研究“KIBO ROBOT PROJECT”を進めている。6日に、若田宇宙飛行士と共
に、“宇宙での人とロボットとの対話実験”に成功。対話実験では主に、(1)音声認識によるロボッ
トの自律会話、(2)ロボットを介した地上との遠隔コミュニケーションの2つの対話実験を実施。6
日以降も順次実験を行ない、会話ログデータ等を収集していくとのこと。2013年8月10日にISSへ到着
し同年8月21日には日本実験棟「きぼう」で起動と発声に成功。第1声はニール・アームストロング
を真似て、「2013年8月21日、未来の希望へ、ロボットの第1歩です」(日本語)だった。同年12月
6日には、若田飛行士と会話実験を行った。2014年12月に地球に帰還予定という。




発明者は、現在株式会社ロボ・ガレージ代表取締役社長。東京大学先端科学技術研究センター特任准
教授、大阪電気通信
大学総合情報学部メディアコンピュータシステム学科客員教授、福山大学工学部
電子ロボット科客員教授、
ヒューマンキッズサイエンスロボット教室アドバイザー、ロボット専門店
ロボベース顧問のロボットクリエーターの高橋智隆。


大阪府出身(出生は京都大学医学部附属病院)。大阪、滋賀、カナダで育つ。比叡山中学校、立命
館高等学校を経て、立命館大学産業社会学部入学、1年間留学し1998年卒業。数社から内定を得てい
たが、納得できるものではなく、子どものころの夢であるロボット作りが忘れられず、内定辞退。予
備校に入学。翌年、京都大学工学部に再入学。在学中に2足歩行ロボットを開発し、関西テクノアイデ
アコンテストグランプリを受賞。2003年に物理工学科メカトロニクス研究室を卒業。同年に、個人事
務所「ロボ・ガレージ」を創業(京大ベンチャーインキュベーション(学内入居ベンチャー)の第一号)。
2004年には代表作「クロイノ」が米タイム誌で「最もクールな発明」に選ばれ、ポピュラーサイエン
ス誌では「未来を変える33人」の一人に選ばれる。ロボットクリエーターとして、ロボットの研究、
設計、デザイン、製作を手がけている。

 

ロボットの紹介をもう1つ。原子力発電所の事故現場など人間が近づけない場所で作業するロボット
のコンテストが20日、米フロリダ州の自動車レース場で始まった。初日は日本から唯一参加したチー
ム「SHAFT(シャフト)」が参加16チームのトップに立ったという。東京大学のOBが設立したベン
ャー企業、SCHAFT社は中西雄飛最高経営責任者らが2012年5月に設立。災害現場で利用するヒト型
ボットを開発。グーグルは事業拡大や人材確保のため多くのベンチャーを買収しているが、日本の
企業が対象になるのは初めて。グーグルの主力はネット検索に関連する広告事業で、売上高の9割

上を同事業が占める。ただ、近年は自動運転車など本業と関わりの薄い分野での活動も目立つ。新規
事業
を担当する共同創業者のセルゲイ・ブリンは「技術力を活用して大きな問題を解決できる分野に
取り組みたい
」と説明する。しかし、日本政府がもっともいま必要としている福島原発事故復旧(対
策)ロボットが、この日本
でなくて米国防省で、グーグル社とは何とも皮肉で、情けないと感じてし
まう。

 


【映画「永遠の零」が問いかけるもの】

ゼロ戦パイロットの愛と苦悩を描いた映画「永遠の0(ゼロ)」(山崎貴監督)を観賞してきた。良
い作品に仕上
がっている。今年の最高作品ではないかと思えた。ところで、主役を演じる岡田准一が
11
月下旬、特攻隊の出撃基地があった鹿児島県鹿屋市を訪ね、多くの若者が帰還することなく飛び立
っていった滑走路を目の前にして、「当時の男たちをきっちり演じないと意味がないと考えて撮影に
臨んだが、改めてその重さをかみしめている」と語っている。「永遠の0」は、百田尚樹の同名ベス
トセラー小説を原作に、最先端のVFX(視覚効果)技術を駆使して迫力ある映像に仕上げた大作。
ストーリーは、司法試験を目指す健太郎は祖母の葬儀の日、祖父は海軍のゼロ戦パイロットで、特攻
出撃で戦死した宮部久蔵(小説では、26歳で亡くなった佐伯健太郎)なる人物だったことを知縦技術
に秀でながら、生還することに執着していた宮部を調べるうちに、健太郎は意外な事実に突き当たる
と言う展開だ。この作品の良さは、すべての面でバランスがとれていて、過剰な扇情シーンが何一つ
見うけられなく淡々と物語られている。ラストシーンの主人公が冷静に零戦を操縦し(このテクニッ
クは前半シーンであらかじめ紹介されている)、敵空母に接近、高射砲の被弾を確認し機体を立ち上
げ滑空し、反転、垂直降下する。敵艦への突貫直前のベストを尽くし、納得をした顔が大写しされた
ところで、映画タイトルが映し出され、サザンのエンディング曲「蛍」が流れ終わる。全編を通し背
筋が貫る作品だった。


 

  

【有機太陽電池の光電変換効率の理論限界】

産総研は、新世代の太陽電池の一つとして注目されている有機太陽電池の光電変換効率の理論限界を
求めたと公表。従来、無機太陽電池の光電変換効率の理論限界は知られていた。これをもとに、無機
太陽電池と有機太陽電池の、光を吸収した後に電気を生み出す機構の違いを考慮に入れて、有機太陽
電池の光電変換効率の理論的限界を算出。この成果は、有機太陽電池の光電変換効率はどこまで向上
できるかという研究開発の指針となることが期待されるという。またここでも日本は世界のトップに
立った。この手法は(1)有機太陽電池の電荷分離機構の違いを考慮して理論限界を算出→(2)有
機太陽電池が最も高い効率を示す光の波長を理論計算により決定したということだが、詳しくは後日
再考察してみる。 

 

※有機物質では正負電荷間のクーロン相互作用が強いため、光を吸収して正負電荷が強く束縛された
励起子が生成される。有機物質の励起子の結合エネルギーは、クーロン相互作用に基づいて見積もる
と最低でも熱エネルギーの10倍以上である。一種類の有機物質では励起子の電荷分離が十分でないた
め、有機太陽電池は、正イオンになりやすい有機物質と負イオンになりやすい有機物質の二種類で構
成され、これらの物質の界面で励起子となっている電荷が分かれて電気が生まれる。本研究では電荷
分離に必要な余剰エネルギーに着目した。ShockleyとQueisserの理論の方法で電荷分離に必要な余剰
エネルギーを考慮すると電荷再結合の速度が増加し、その結果、電圧と電流が変化することを示した。


※束縛状態にある負電荷と正電荷間の距離を1 nm、誘電率を有機分子で一般的な値3.5としてクーロ
ン相互作用を用いると、電荷分離に必要な余剰エネルギーは0.3~0.4 eVと計算された。他の相互作
用もあるため、この値は下限であると考えられるが、これまで報告されている余剰エネルギーの最低
値とほぼ同じである。電荷分離に必要な余剰エネルギーとして0.4 eVを用いて光電変換効率の理論限
界を計算すると、太陽電池が吸収できる光エネルギーの最小値が1.5 eV(光の波長では827 nm)の場合
に最大値である約21%となった。有機太陽電池が最も高い効率を示す光の波長も理論計算により決定
されており、光を吸収する有機分子(主にドナー)選択の指針を与えている。

 

 

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