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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

その後のへーリオス

2013年03月21日 | デジタル革命渦論

 

 

 コキノダイナス(赤鬼)


さて、久しぶりにコキノダイナスの家は客人で賑わっている。客分としてヘーリオスとプロンシャス
アルマイティが揃った。
男四人そろえば酒盛りは否応なしにも盛り上がる。

「アフリカや中近東は、いまだ紛争が絶えないし、そこでは、いまだに三角貿易が展開するという愚
かな構図が残っているかのようだが、メガソーラの導入に加速がついてきた。ことしはトータルで1
ギガワット、5年後は4ギガワットになると予測されているが、紛争次第だが、急速に普及させるに
はインフラ整備の同時進行という条件がつく。ところで、世界のメガソーラ需要が31ギガワットと
予測されているから3%に相当するが」と話し終え、プロンシャスが酒ではなく、ベルベル・ウィス
キーを一口飲む。

「お前さんは、イスラム教徒なのか、日本酒は飲めないというのか」
と赤鬼は笑いながら茶碗の金亀を徐(おもむろ)に飲み干す。
「特に理由はないが?!」
とミントティの入っていた空のカップを差し出すと赤鬼も徐に無言で酒をそこに注いだ。
「有り難う、もうそのくらいで良いよ」というまで、男同士の友情を熱く注いだ。
「そういえば、今月の19日に、三菱商事とイノベーションネットワークとイタリアのサンベンチャー
ズは同じくイタリアのソーラホールディングスを買収したが日本のこの二社が初めて投資したことに
なる。ソーラホールディングはピエモンテ州のサルデーニャ、プーリア地区のサンベンチャーズが保
守管理する19プラントを保有し2万世帯の電力をまかなっているが、欧州の経済危機でイタリア政府
の支援が出来ずにいる事情がその背景にあるんだ。もっとも、イタリアは日照が豊富でドイツの32ギ
ガワットに次ぐ16ギガワットの欧州は二番手の国、買収後もさらに百から百五十メガワット増産しイ
タリア最大手の国をめざすという。それだけやりがいもあるが責任もあるということになるでしょう
ね」と日に焼け真っ黒な顔に映える真っ白な歯を時折のぞかせそう話す。

プロンシャスのアバター

「それでも太陽電池は生産過剰じやないのか、サンテックパワーの子会社が無錫サンテックが破産し
たというじゃないか」と赤鬼がたずねる。
「それは、経験が浅いからそういうことになるんじゃないか。ベーシックな電力供給事業はトランザ
クションやメンテサービス、それからなによりもアフタケアが大切でここは、資源とか環境とか、一
見すると経営と関係ないように思えるがここにも重要な研究開発の課題あり、エネルギー市場全体を
含め慎重な舵取りが必要となる。そうじゃないのか?舳離雄!」とアルマイティが眠そうな顔を上げ
話に割り込む。

いきなり、返事をうながされ戸惑った様子の舳離雄は静かに話しはじめた。

「この市場で何がしたいのか?ということが問われているのではないでしょうか。そのことに気づき
はじめたのではないでしょうか。もちろんのこと、送電分離などの基本的な法整備がなくては成り立
たないのではないでしょうか。」
「ということは、お客さんとその向こうにある国や共同体の事情や、世界的な社会環境変動をみてお
かなければいかん!?安ければそれで良いんだというわけでなく、むしろ積極的に将来に向けてのビ
ジョンを問いかけていかなければならないというんだね。」
「そうです。過渡期で過剰生産というのはどうみても可笑しいな話ではないでしょうか。たとえば、
耐用年数は投資回収に大きく関わりますが、パワーコンディショナがそのなかでも早く痛んでしまう
ということがありますが、顧客の方はそういう情報は既に入っていてそれをもとに電卓を叩くわけで
すが、ソーラパネルが仮に20年補償できるとしても、パワーコンディショナだけが10年しか補償でき
ないとするとそのリスクを売り手側が被るのか、買い手が被るのかで表面上の見積金額だけでは判断
できません。パワーデバイスの性能や技術、それに価格といった点で日進月歩、秒進分歩が当たり前
のような世界ですから、そういう知識や企業技術の品質を盛り込めるかどうかが、公正を前提とした
市場での競争力に関係してくるのではないでしょうか。」
「つまり粗悪な住宅を販売すると一生その顧客に恨まれるというわけやね?」と赤鬼がスモールトー
クならぬラウドトークを入れる。
「けれど、過剰生産や適正価格をめぐっては各国の事情が絡み国同士の軋轢を引き起こしかねないね。
現に米国は、中国、台湾、マレーシアだけでなくインドまでダンピング疑惑をかけ米国企業に仕事を
よこせと要求しているが、インドは自国の再生可能エネルギー社会の構築には国としても就労機会を
つくり技術向上をはからなければならないと反発し貿易関連投資措置協定のローカルコンテント要求
は正当だと突っぱねているのをみていると大変面白いね。」とアルコールで少し紅潮しているかのよ
うに見えるプロンシャスが笑いを浮かべ疑問をぶつける。

Domestic Content Requirement;DCR

 ーリオス(舳離雄)のアバター

「でもそれは二国間で話し合って詰めていくしかないんだ。米国企業がインドの勤労者を大切にし、
技術向上に繋がるような市場行動をとっていれば問題がないんだが、自国の二酸化炭素排出量は規制
せず、儲けるだけもうけて還元をしないという考えならそれには一定の説得力が備わっているんじ
ないか。」と アルマイティは自分の思っていることを喋る。

「日米経済構造協議のように、自動車の販売競争で負けて、国内法を変更し雇用を確保させつつ、見
返りにビル・ゲイツを売り込み、見かねたトヨタは坂村健のBトロンを自動車専用モバイル機器に採
用したり、この間はオバマ大統領がシェール・ガスや石炭などの輸出した利益で再生可能エネルギー
技術開発支援に回すと提示するなど矛盾に満ちている。つまりは自由貿易は国内都合のためにあると
いうわけで非常に分かりやすい。
それでも、ギリシャでは中国系企業のスカイソーラーホールディン
グスはギリシャ国内の2つプラ
ント70メガワットを所有しておりフィールド・イン・タフリを20年間
利用し、1キロワットアワー当
たり0.29~0.44ユーロの売電料金を手にすることになるということだ
し、ドイツの ウイネコウ社は中
国のドイツとの相殺関税の見返りとして台湾で、太陽光発電供給社の
ウィンウィンプレシジョンテクノロジーの子会社として太陽電池製造設備を拡張するし、川崎市は中
国のグレースシーラー社製の1.5メガソーラーを建設運転しているし、南アフリカではオランダのイデ
マテック社がドイツ企業が導入したメガソーラ33メガワット用に太陽追尾システムを導入するなど国
際的な各国の企業活動が活発になっているといったことが背景にある。」とプロンシャスは補足する
ように話していると、赤鬼が「太陽計画の方はどんな見通しなのだ?」と舳離雄にしゃべりかける。




「日本のメガソーラの変換効率は20%を超えるところまできています。次世代型のメガソーラはポス
トメガソーラと敢えてそう言っているですが、サブミクロン以下の加工サイズで構成された薄膜で、
フレキシブルでいて30%という高い変換効率レベルの光電変換素子時代に軒並み入っています。です
から先ほど言いましたように、導入した既存メガソーラプラントとへの置き換えを視野に入れたアフ
ターケアあるいはリサイクル・リユース・リデュースをパッケージに入れたビジネスモデルをコアに
して、先ずは国内でアンテナショップ展開し、次いで海外展開するといった長いタームで考えないと
だめだと思っています。技術の話に戻すと、ポストメガソーラ時代は無機・有機・化合物の、あるい
はその複合型の量子ドットレベルに予定より早く突入しています。もっとも、地球温暖化や大規模気
候変動が予想を超えて進んでいるのかもしれません。誰にもそのことを明確に言い切ることはできな
いのですが流れとしてそうだろうということもあり、高効率・高性能でローコスト型太陽電池の技術
開発の進行はとめられないでしょう。例えば2012年12月5日にシャープの研究グループが世界最高の
非集光時セル変換効率が37.7%の化合物3接合型太陽電池が開発試作が発表され話題となりしたが、
無機系有機系、化合物系とすべての面で日本が先行しています。ですから、世界貢献のためにプロン
シャスさんに頑張ってもらわなければならないと思っていますが」と話しを続ける。

 アルマイティのアバター 

「 そのことを強く意識しているわけでもないのでしょうが、スイスのEMPA社が化合物系で、米国
のSolar3D社がトレンチ型シリコン系で、アルタデバイス社はシリコンと化合物の2結合形の
高変換効率の太陽電池を相次いで発表しています。面白いことにSolar3D社は3次元ではなく
6次元の太陽電池だといっていますが詳しい資料を見てないのでとくわかりませんが、間違いなく量
ドットレベルまでダウンサイジングしてポストメガソーラ時代に日本が先導し突入していくと考え
てい
ます。」

 

「それはまた、“デジタル革命”の本質的な自己展開ということで、きみのいう“オールソーラシス
テム”構想につながるんやね?!」とアルマイティが関西弁でス
モールトークする。
「そうです、シームレス・ダウンサイジング・ボーダレス・デフレーション・イレイジング・エクス
パンションは福音書として世界の隅々すべてに渡って浸潤していくのではないでしょうか。いま、二
つの大きな政策モデルを考えています。その1つがドイツや北欧で試行されている50キロメートル圏
内を1つの経済単位とした“バイオマス構想”がありますがそれを技術的側面から補強した“オール
バイオマスシステム”というもので、森林木材や木質廃棄物を資源としてバイオマス由来燃料・資源
に変換し、それを発電・動力燃料、生分解プラスチックや食料品に変換し百パーセント再利用すると
いうもので、たとえばそれは大がかりな物流から緻密な物流に産業変換させるものです。ここでも技
術的な弱点はわたしが考える範囲ではないように思っています。もう1つの“オールソーラシステム”
は、太陽光熱変換利用技術を再生可能エネルギーのコアにすえるもので、直接燃料としては水素とし
て取り出します。これは“オールバイオマスシステム”でのグルコース・キシロール・エタノール・
メタノール・バイオディーゼル燃料、あるいは海洋植物性プランクトンなどからのバイオディーゼル
燃料に相当します。ソーラでの技術的弱点としては、水素の液化とその貯蔵輸送という点ですが、こ
れはわたしの経験不足ということと、オール日本、あるいはオール隣国で解決できるものでしょう。
いずれにしても、これらの構想は第2段階前にあります。ですから皆さんの協力がとても重要になっ
ています。」と一通り話し終えると、大きく溜息をついた。

【Intermission】

 

コメント
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