埠頭会場からアウトレット施設を抜けて、スーパーセイミヤさんの前をマリンタワー下本会場に向かいました。私の前を歩くOさんは、しきりにセイミヤさんや隣のドラッグカワチさんの店舗を見ていました。前回の訪問時にこの二施設に入って買い物もした私と違って、まだ入ったことがないので色々と気になっていたのかもしれません。
セイミヤさんにとっては、オープン後初めて経験するあんこう祭でしたから、普段とは違った賑わいぶりを目の当たりにして商売にも格別の気合が注がれたようです。北側出口が歩行者天国に繋がって車の出入りが無くなったため、その横のスペースにテントを張って屋外販売を展開していました。地元住民に向けての値引き販売がかなり積極的に仕掛けられていましたが、見ていると近隣から車などで来ている雰囲気のガルパン巡礼も相当な割合で買い物をしていました。
考えてみますと、全国でも稀なアニメ聖地の成功例である地域の、聖地エリアのど真ん中に出店したチェーンストアというのは、おそらく大洗のセイミヤさんが初めてであろうと思います。似たようなケースとして、山梨ゆるキャン△の聖地の一つとなった身延のセルバさんが人気巡礼スポットに成長している事例が知られますが、そちらはイベント時に数万人単位の集客が見込める地域ではありません。それでも相当の関連商品を扱っていてゆるキャン△巡礼の大多数が買い物に行きますから、かなりの売り上げを確保していると聞きます。
なので、大洗のセイミヤさんのあんこう祭での売り上げがどのぐらいになるかは、大体予想がつきます。数万人単位の集客が見込めるマリンタワー下本会場に隣接するという好環境により来客数が平常時の十数倍になる筈ですから、多ければひと月分ぐらいの売り上げを一日で確保出来る筈です。
後日、水戸の友人の奥さんに聞いたところでは、奥さんの友人が大洗のセイミヤさんにパートで勤めていて、あんこう祭当日はものすごい売れたよと話していた、ということでした。予想以上の来客で売り切れが続出したので、それなりに準備していればもっと売れただろう、という話でした。
マリンタワー下本会場の飲食店テント村に入りました。3月の海楽フェスタの時もそうでしたが、商店街にも顔が広いOさんは各所のテントで店主さんたちと挨拶して雑談を楽しんでいました。御覧の通り、ドイツ軍の略帽みたいなのをかぶってそれに大洗缶バッジを幾つか付けていました。
ですが、Oさんもガチのドイツ軍マニアであるのですから、もう少し気合を入れて上から下までガッチリとそれらしきファッションで決めて欲しかったです。
現に、当日はあちこちでそれらしいガチの軍装をしたガルパン巡礼を何人か見かけました。ミニミニホビーショー会場でも、黒森峰女学園風にアレンジした完璧なドイツ軍風ファッションの方を見ましたが、Oさんも知っていてなるべく意識しないように振舞っていたそうです。後で宿で色々と情熱的に細かく解説してきましたから、本心ではOさんもガチのファッションで決めたかったのだろう、と思いました。
さすがにメイン会場だけあって、御覧の通りの大混雑ぶりでした。まっすぐ3メートルも歩けませんでした。
様々な出店、屋台が幟を連ねていました。一般の見物客はそちらが楽しみの一つの筈なので、食べ歩きを重ねている方や家族連れが殆どであっただろうと思います。
当時は御覧の通りの快晴でしたから、人出も最高潮に達したと思われます。気温も割と高めでしたから、絶好のお祭り日和だったと思います。
どこも行列、行列です。目当てのお店も二、三か所あったのですが、近づくこともままなりませんでした。
もっとも目立っていたウスヤさんのお店です。幟が三流もひときわ高く上げられていて位置がわかりやかすったです。さすがは商売上手の関野さん、わかっていらっしゃいます。当然ながら行列も長々と出来上がっていました。
お店のメニューも多彩に揃えてバッチリです。値段も100円からの良心的価格帯で積極的に攻めています。イベント時に高値で売りつける卑しき金の亡者共は見習いたまえ、と高らかに宣伝してあげたくもなります。こうでなくてはいけませんね。
Oさんのいつものチェックポイントである、公式缶バッジの販売コーナーです。コレクターの魂に火がついたのか、Oさんの横顔に真剣さがみなぎります。新しい品、まだ持っていない品はあるか、と一瞬のうちに鋭い視線を走らせるのでした。果たして価値ある品はあるのか無いのか、ここに謎が明かされる徳川埋蔵金・・・いや大洗ガルパン缶バッジの現況でありました。
当方は既に収集もレポートも諦めた大洗ガルパン公式缶バッジの数々ですが、Oさんは現在もリサーチを継続してカノウヤ応援作戦の要を担っていますから、この日も幾つか購入したようです。
その後、Oさんは本会場でのガルパン声優さんトークショーに向かいましたが、私はそれには興味が無かったので、今回の目的の一つであった商店街会場巡りに向かいました。
商店街会場へは本会場からそのまま北上して髭窯地区の北から入りましたので、御覧の通りの茨城交通バス落書きコーナーの横に出ました。
今回も、描いてるのはガルパン巡礼の常連絵師とおぼしき方々でした。本当は地元の子供たちに向けて提供されている企画の筈なのですが、残念なことに、毎回ガルパン絵師たちの作品披露の場になってしまっています。
この日も後ろで家族連れが何組か見ていて、小さな子供たちが描きたそうにしていましたが、その絵を描けるスペースは既にありませんでした。一人の男の子がマジックを手に持ったまま、母親に制止されて不満げに顔をしかめていましたが、上図のガルパン絵師たちは皆描くのに夢中でした。彼らの周囲への配慮の無さ、身勝手さばかりが目につきました。地元の子供たちに譲ってあげるスタンスはこれっぽっちも持たないようです。
その有様を一人の年配の方が「あれじゃ描けない、描く所がもう無いねえ」とボヤいていましたが、よくみるとその隣の女性が小さな女の子を連れていました。老人がその女の子にいちいち声をかけていたので、たぶんお孫さんなのだろうな、と思いました。その女の子も、よく見るとマジックを2本握りしめているのでした。
それに気づいていて見かねたのか、受付の茨城交通の係の方が出てきてその親子連れに声をかけ、バスの反対側の空白スペースに案内していました。女の子の表情が明るくなり、赤と黒のマジックで嬉しそうに何の絵かわからないのを一生懸命描いていました。それを見届けてやっと、ホッとした気分になりました。
あんこう祭は、本来は地元の方々の楽しみのお祭りです。他所から集まったガルパン巡礼だけの独占物ではない筈です。そのことを完全に失念しているガルパン巡礼が少なくないのは本当に残念なことです。 (続く)