行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする25年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

収容者への面会

2012-02-04 13:55:47 | 行政書士のお仕事

 入管に収容されている某国人の若者への面会に行った。

 被収容者と私の関係は、彼の実の父親からの依頼である。

 詳しくは言えないが、この被収容者、ある凶悪犯罪を犯して、

 服役していたのだったが、満期釈放に併せて、

 在留資格が取り消されてしまい、出所できずに、

 入管に移送・収容されているのだそうだ。

 どんな奴なのだろうか? 

 個人的な興味もあり、面会に行ったのだったが・・・。

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 通常の入管手続では、2階にある申請受理窓口に向かうのだが、

 被収容者との面会は、衝立で陰に隠すように仕切られた特別な受付で

 面会の申込をする。

 通常、同業の行政書士を見かけることは殆どない。

 まさに、入管の陰の部分なのである。

 被収容者の名前と国籍、そして面会者である私自身の氏名等を記入し、

 【注】これは、実際の申請書ではありませんが、書き損じて持ち帰ってきた用紙です。

2012feb3

 写真入り身分証を提示すると、パソコンで収容者名を確認し、

 赤ペンで確認事項を記入した申請書を返されて、

 エレベーターで7階に登るように指示される。

 その7階には収容棟を管理する処遇部門の

 面接や差し入れ専用の受付窓口があり、そこで

 赤ペンで確認事項を書き込まれた申請書を再度渡し、

 差し入れ品があれば渡して、再び身分証を提示する。

 そして、数十分後に名前を呼ばれて、再度身分証を提示して

 荷物や携帯電話などを専用ロッカーに預けさせられた後に、

 接見室のような面会個室にカードキーで入室するのだ。

 警察の接見室と大きく違うところは、監視の警察官が臨席しておらず、

 会話も外国語でも構わないことである。

 つまり、被収容者は刑法犯ではなく行政罰で収容されていることが分かる。

 それは、収容施設の中に公衆電話もあり、売店もあることでも覗える。

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 さて、警察の留置場の接見室と同じような、分厚いアクリルガラスで仕切られた

   面会室に現れたのは、一見ガリ勉風の青白い顔をした華奢な若者であった。

 『日本語、XX語、どの言語で話しましょうか?』と聞いたところ、

 「日本語でお願いします。」と、澱みのない普通の青年が答えるような日本語で

 返答が帰って来たのに、先ずは驚かされたのだった。

 そして彼は、明らかに自分の犯した罪の重さを十分に理解していたのだった。

 また、それが簡単に許される筈のない事も十分に分かっていたのだった。

 その青年に色々と説明し、話をしているうちに、

 どうして、彼が道を大きく踏み外してしまったのかと思うようになったのである。

 それは、どうしてもこ青年があの凶悪犯罪を犯し、

 何年もの間、刑に服していた受刑者には中々見えなかったからだ。

 彼自身は、強制退去させられる事は仕方のない事だと思っているようだが、

 彼の母親や祖母が、何としてでも日本に残したいようである。

 『執行停止の行政訴訟を起こすにはお金も掛かるし・・・、

 弁護士を紹介することは簡単だけどね・・・』、と私。

 しかし、仮に退去令書の執行が停止され、

 彼に在留特別許可が降りたとしても、

 彼は永遠に社会から前科者というレッテルを押され続け、

 また、社会はそれを断罪し続け、簡単には許してくれないであろう。

 ならば、本国に戻った上で、自分自身の新たな人生を模索することも

 悪くはないのではないかと、ふと私は思ったのである。

 最後に、私は彼に、『もし強制退去処分となったとしても、君自身が

 新たな人生としてリセットしてゆかねばならないと思うよ。

 あちらで、勉強して大学に行っても良いし、日本語通訳にもなれるかも

 しれないしね!まだまだ、君自身が望むのであれば

 人生のやり直しは出来るよね!』。

 そういって、彼を励ましたのでした。

 実際、もし仮に日本に、このまま残れたとしても、彼の生活で

 再びに暗雲が立ち込めるようであれば、私は無理して日本に残る道を

 彼自身の為にも模索すべきでは無いと思ったからであった。

 人生を見誤ってしまい、できるものなら何とか再起しようとしている

 この外国人青年に幸あれ!、と心より願いつつも、在日外国人青少年問題

 の根の深さについて考えさせられた事案でもあった。

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