来週26日には行政書士試験の合格発表だそうです。ちょうど10年前平成11年の1月(確か、1月11日?だっと思いますが・・・)、私も不安と希望の両方が交錯して、どきどきしながら合格発表日を心待ちにしていました。
当時、私は合格した場合の自分の人生設計を既に立てていました。つまり、どのような業務を中心に行うとか、その為の広告戦略はどうするとか、資金的にはどうするとか、どこに事務所を構えるとか、当面は収入の見込みは少ないので兼業でやって行くとか等々です。
私はもともとサラリーマン時代に、新規事業の立ち上げを担当していたことから、事業概要計画書には、当然のように様々な事業環境や生活環境を想定して、想定数値を出していました。それでも、今振り返って見ればその計画どおりにはなっておらず、薄氷を踏むような状態も多々あったと記憶しています。幸いにも、3年目くらいから兼業無しで、何とか軌道に乗せる目途が出来たことは幸いでしたが・・・。それでも、今思えばこの仕事で本当に食べて行けるのかと不安は常にありました。
ある、有名な女性社労士さんのブログを見ていたら、ご友人の税理士さんがラーメン屋さんでアルバイトをし、司法書士さんが宅配のバイトをし、社労士であるご自身も資格学校の講師をしながらの兼業だったそうです。
勿論、そういう私も開業から2年間ほどは通訳の仕事と兼業でした。また、同業の方でアルバイトに交通量の調査員をしたり、ガードマンをやったり、或いは、スーパーでバイトをしていた方も知ってします。
ですから、試験に合格したからといって直ぐに仕事の依頼が来る筈もないのです。それは、医者や歯科医師であろうと、弁護士、司法書士、税理士、社労士であろうと皆同じなのです。
あの、今は関西の某知事である弁護士のXXさんも、開業当時は名刺1,000枚を配って歩いたという話を聞いた事があります。
ですから、行政書士試験に合格したということは、しっかりとご自分の専門業務、或いは営業できる業務を明確にしなければ、とても独立開業しても続かないということです。
行政書士資格をはじめとする士業の国家資格に合格する方の一部には、資格を持っているだけで、具体的な専門性、或いはご自分を売りを示せないで終わってしまう方々が多いように思います。ですから、XXの資格は食えない、とかOOの資格があれば大丈夫などどというデマ情報が横行するのです。
私の知っていた方なのですが、中小企業診断士、社労士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅建と資格を山ほど沢山持っていた方がいたのですが、食べるのに大変苦労されていたようでした。苦労して、勉強され取得された資格が床の間の飾になっていては、実に勿体のない話です。
我々行政書士の仕事とは、その行政庁に申請する書類作成の専門性によって報酬を頂く仕事です。ですから、基本的には依頼人は、
①その申請業務が難しく、かつ確実・迅速に取得する必要がある場合には、それに精通しているで専門家に高くともお願いしようと思う実力・実績を重視するか、或いは、
②その申請が比較的簡易なもので、業務の傍ら出来ない事はないが、業務時間を割いてまでわざわざやる程のこともないので、高くなければ行政書士に任せてみようと思う利便性・経済性を重視するか、はたまた、
③経験は浅くとも誠実な人柄なので、その人物に任せて見ようと思う誠実性・人柄を重視するか、
以上いずれか三つのケースしかないのです。
一般的には、士業の中でも、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、司法書士、土地家屋調査士といった方々が行う業務はその専門性が高く、一般人が本人のみで出来うるケースは極めて少ないので、彼等有資格者に依頼してくるケースが多いと思われます。一方、行政書士の場合、原則ご本人が申請できるような簡単な業務、例えば旅券の申請から、とても個人ではできないような事案、例えば外国人による新規事業の立ち上げに伴う会社設立手続、その許認可手続及びその外国人の在留資格(ビザ)取得手続きなどの一連の手続などに大別されますが、概ね前者の手続きが多いのです。
それは、ここ数年HPの普及や電子政府化の方針に従って、多くの官公庁が、概ねの手続き方法やその内容、或いは指針などをインターネットなどで公開し、一般の方々でも容易にその申請方法を入手できるようになったからなのです。
従って、我々行政書士がプロとして受託する手続き業務の殆どが、こういったHPに掲載されているような許可条件にちょっと不足して、申請できないと思われるケースとか、又は、申請出来るかどうかが良く分からないケースや申請できるかどうかが疑わしいケース、はたまた、実際に申請しても許可されなかったり、或いは、受理されなかったケース等の依頼人が殆どなのです。
つまり、誰がやっても許可される、或いは、申請受理されるのような簡単な手続案件を依頼される事は極めて少ないのです。だからこそ、我々プロが精査し、別の角度からの立証方法を教示したり、或いは、当該行政庁との事前折衝を代行する訳なのです。HPで公開されているような条件のみで申請出来るような簡単な手続きであれば、それこそPCの使い方が分かる方ならば、誰でも出来る申請手続業務になってしまい、行政書士という国家資格者に独占させる意味がまったく無くなってしまうからです。
以上のように、専門家としてクライアントに報酬を請求し、その報酬を堂々と貰えるプロとしてなりうるかどうかという事を先ず考えて見て欲しいと思います。そのイメージがまったく湧かない方、或いは、全く想像が出来ない方が、行政書士として独立開業する事は極めて困難だと言えるでしょう。
既に、ご自分の経験や職歴などを生かして、行政書士として独立開業しようとお考えの方で、具体的に行うべき業務を既に絞り込んでいらっしゃる方は、暫くの間このブログをご覧になる必要はまったく無いと思います。
それでは、どのようにしてご自分の専門性を見つけて行くのか、或いは、どのようにして専門家になって行くのかについて、次回以降にお話したいと思います。
私も力が追いつかなくて苦しんでいますが、プロになりたいので…頑張ります!!