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寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

素人の文章講座(4)

2018年01月13日 22時00分49秒 | おとなの童話

 さて、主人公が決まったら、主人公の行動範囲を一応決めておきましょう。

主人公がどんな人物かによって、行動範囲は制限されるかもしれません。例え

ば、企業の事務職だったとしましょう。毎日自宅と会社の間を往復するのが一

つのパターンです、休日には時々マイカーで家族旅行をする。その行き先もそ

んなに遠くには行きません。と言うことにします。となりますと何か変化が発

生するのは通勤途中か、ドライブに行った行程の間になります。

 さて、どんな変化が起きるのでしょうか。推理小説にするためには何が必要

でしょうか。何か事件が起きる必要があります。それは主人公に直接関係する

か、あるいは事件の目撃者あるいは犯人の友人・知人になるかもしれません。

 もし事件が発生するなら犯人も人物像も見え隠れするように、暗示するよう

にしましょう。ただし、初めから犯人を明らかにする方もあります。その場合

は犯罪行為が明らかにされるにしたがって、少しずつ関わりを説明する必要が

あります。これは相当難しい構想になると思います。

 話を戻しましょう。主人公の行動範囲が決められたら、地図を作りましょう。

読者に主人公の行動パターンをそれとなく記憶してもらうためです。これは読

者に犯人を想像してもらい、読者に犯人捜しを楽しんでもらうため役に立ちま

す。

 次にバイプレイヤー作をりましょう。この人物は内容によってかなり重要に

なります。話の筋を組み立てる際に重要な役目を担うことになります。しかし

主人公を越えることはありません。

 今回はここまでにします。


素人の文章講座(3)

2018年01月06日 14時04分10秒 | おとなの童話

 昔から文章を書くとき(あるいは詩を作るとき)は読者の皆様は既にご承知のことでしょうが「起承転結」と言う言葉があります。そして日常生活では無意識のうちに使っていますね。しかし時々転結の部分を忘れることがあります。それは日常生活ではとんでもない結果になることがあります。
 古今亭志ん生の落語を聞いていると、主題の前に度々出てくる小咄があります。
”講談では凄いところでズバッと話を切ってしまうことがあります。酒をちびりちびりと飲んでいる武士がいます。どこの寺から聞こえてくるのか鐘の音、陰にこもってものすごく、とその時杯に血がぽたりと落ちてきた。彼の武士は、これは何事ぞ、怪しいことがとおっとり刀で階段をバタバタと駆け上がり部屋の襖をがらりと引き開け、中へ飛び込んだ。さてこの続はどうなるのでしょうかとズバッと途中で切ったしまう。お客は大変ですな、あの血は何でしょうかとイライラします”これはまさしく起承転結の起承で終わってしまったことになります。新聞小説などではよくこのようなことが行われるようですが、一般的なことではありませんね。
 さて話を戻しましょう。初めに頭の中でどんな話を書きたいかを考えましょう。あなたはどんなことを話題にしたいのでしょうか。練習としては自分の経験を思い出して書き始めましょう。その時初めに主人公を決めましょう。話をまとめやすいのは主人公を自分にすることかもしれません。自分ならばどんな考え方をするかがよくわかりますね。主人公が決まったら、話のきっかけを考えましょう。これは話をどう展開するかに関わるので重要なことです。例えば海苔巻きとゆで卵を作ると頃から始めるとしましょう。ここから話はハイキングとか遠足など楽しい話題になりますね。話の内容はかなり絞られることになります。
 ここまでのことを参考にして、主人公を決めた話のきっかけを考えてみましょう。これで起承転結の起を書くことが出来ます。
(今回はここまでにします)


素人の文章講座(2)

2017年12月29日 15時03分11秒 | おとなの童話

 最近のTVドラマを見ますと、刑事の活躍を見せる刑察ドラマ、困難な病気治療

を題材にした医療ドラマなどが高い視聴率をあげているようです。私がよく見る

のは水谷豊さんが主演する「相棒」と米倉諒子さん主演の「ドクターX」です。

 この2作品は、ドラマとして面白いです。「相棒」で水谷さん演じる杉下右京警

部はいろんな特技を持っています。第一は、小さな事でも決して見逃さない観察

力を持っていることです。そして限りない好奇心の持ち主でもあるのです。ドラ

マの筋立てを見ますと他の刑事が見逃したり気がつかなかったりした些細なもの

を重要な手がかりとしてとことん調べることですね。私がここで言いたいのは、

観察力と好奇心をもつ事が文章を書くために役に立つと言うことです。

 前回の”花を生けてある花瓶”、を見て文章を書くとき、全体を一度に書くこと

は不可能ですね。そこでどの部分を中心に書くかを決める必要があります。それ

は後に続く話をどう展開するかに関わってきます。例えば、花を中心にした話に

するのなら花に関することを調べる必要があります。その後、これを事件に関係

づけるなら花に付着しているかもしれない物を観察しする必要があります。ある

いは、恋愛に発展させるなら、その花に関わる言葉や花の送り主などの設定が必

要になります。

 このように一つの物体あるいは現象から将来どのように発展させるかによって

計画を立てなければなりません。

 初めに設定することは、登場人物と場所、それらに関する説明が必要になりま

す。さあここで、どのような展開にするかを考えてみましょう。

(以下次回)


素人の文章講座(1)

2017年12月27日 00時05分29秒 | おとなの童話

 最近、私のブログを見たと言って、文章の書き方を教えてほしいという方が

出てきて戸惑っています。それは私のブログの現物を見てくだされば納得いく

ことでしょう。ブログでは思いつくままに書いていきましたので、読み返して

みると冷や汗が出てくる始末です。それで現在、少しはましな文章にしたく初

めから読み直しているところです。それが済んだら推敲しようと思っています。

そこまで行ければ少しは読める文章になっているかもしれません。

 そこで美しい文章を書く方法を教えることは出来ませんが、文章を書くため

の基本的なことをお話することにしました。文章を書き慣れた方には遠慮して

いただきたいと思います。あるいは何かコメントをいただければ幸いです。

  文章を書く前に,

 初めに、机上においてある"花を生けてある花瓶"よく見てもらうことにしまし

た。

 次に見たことをメモしてもらいます。

 そのメモを見ながら、どこを中心に観察したかを話してもらいます。

    ここで事細かく観察する方と大雑把な輪郭だけを見る方がいます。

    この違いが後になって文章にした場合に差が出てきます。

 この後、メモを見ないで自分の感じたことを話してもらいます。これは自分

の頭の中で見たことを整理するのに役に立ちます。初めは話をまとめることが

不得意な方もいますが、この段階までを何回か繰り返していきますと、いろい

ろなことを理解できるようになります。

 普段の会話の中には、お互いにある種の了解があって言葉を交わすために上

記のようなことは無意識のうちに不要になっています。しかし文章にする場合

には、対象者にそのような了解があるとは限りません。例えば、

 花瓶に花が生けてあった。

 どんな花瓶だったか、形、大きさや色や模様などを説明する。

 どんな花が生けてあったか。花は1種類だったか多種類の花が生けてあった

か。

 花の様子、例えば小ぶりの花か大きな花か色や形などはなの特徴を説明しま

す。

 それらの花と花瓶との組み合わせがよかったか合わないと思ったかなども

観察します。

 このように文章で見たことを表現することは大変な作業です。見たことを、

どこまで説明するかを考えなければなりません。

 それをどんな言葉(文字)で表現するかも重要です。そのために上記のような観

察練習をします。

 今回はここまでにします。

 


おばあちゃんのビーズのバッグ 

2017年12月20日 11時15分19秒 | おとなの童話

  秋の柔らかい日の光が、縁側でかぎ針編みをしているおばあさんの背中に注

がれています。そこへ、息子の嫁の明子がお茶をもってきました。

「お茶を入れましたよ。お義母さんの作るビーズのバッグはいつ見てもきれい

ね」

「おや、気にいってくれたのかい。近所の皆さんも気にいってくれてね、私に

も作ってくださいって頼まれるのですよ」

「だってこんな素敵なのどこを探したってないわよ」

 おばあさんは、もう八十才を過ぎているのにしっかりした手さばきでかぎ針

を動かしてせっせと小銭入れを編んでいた。

「でもね、私もこの頃、目が悪くなってきたようで手が進まなくなってきたの

よ」

「あらそうなの。いつもと同じようにみえるけど」

「針先は見えるのですけどね、見ているところの周りがぼやけて見にくくなっ

てきたのよ」

「ちょっと目を見せて」

 義母は、眼鏡をはずして明子の方へ顔を向けた。だけど明子には何の変わり

もないように見えた。

「私には何も変わったところがないように見えるけど」

「そうかい。もうずいぶん使ってきたから疲れが出てきたのかしらね」

「良夫さんが戻ってきたら相談してみましょうね」

「そうしておくれ。あの子はいつ帰ってくるのかしらね」

「もうすぐだと思いますよ。それまであまり目が疲れないようにしてくださ

いね」

「はい、わかりました。お世話をかけますね」

「どういたしまして」

 といい合って二人はクスッと笑顔になった。

 お祖母さんは、これまでもたくさんのバッグや財布を作っては近所の人たち

にあげてきた。それでかぎ針のおばあちゃんと近所の人たちに親しまれていた。

  なかには自分で作りたいから教えてほしいという人もいたけど、おばあさん

はそんながらじゃないよと言って断っていた。

 息子の良夫は、勤め先の仕事で外国へ出張に行っていたが、もうじき帰って

くる予定だった。

 おばあさんは時々手を休めては遠いところを眺める様子を見せた。おばあさ

んは、目が見えるあいだに息子が戻ってきてくれるだろうかと心配しているの

だった。

  ある日、お祖母さんの手からかぎ針を落ちてしまった。そして縁側でぼーっ

としているようになった。それに気がついた明子が義母の目を見ると両方の目

がなんだか雲がかかっているように白くなっていた。

  お祖母さんの目は日増しに白くなってきて全体が白くなってしまった。その

ために身の回りのことができなくなってしまった。

  明子はそれを国際電話で良夫に伝えた。

「もう少し回りたいところがあるのだが、先方に連絡して予定を変えることが

できたら、五日後には戻れるようにするからそのあいだ気をつけてくれないか」

 明子は近くの眼科医院に義母を連れて行き受診した。目の白いのは白内障と

いって手術をすれば見えるようになると言ってくれた。しかしその眼科医院で

は設備がないので手術できないと言われた。

  数日後に、良夫が帰ってきた。良夫はすぐ母親のところへ行って目を見た。

目が真っ白なのを確認すると、良夫はすぐに一緒に仕事をしている大学の眼科

の教授に電話をかけて相談をした。教授は明日すぐおばあさんを連れてきてく

ださい。受付には私の方から連絡しておくからといって電話を切った。

  翌日、良夫は母を車に乗せて大学病院の眼科へ連れて行った。教授はすぐ診

察してくれた。そして、

「おばあさんにはこのまま入院してもらいましょう。明日検査をして明後日手

術をします。ご高齢ですから片方だけになるかもしれません。手術をすればよ

く見えるようになりますよ。あなたはかえって着がえとか必要なものを明日お

持ちください」

「ありがとうございます。よろしく願いします」

 おばあさんは、十日間ほど入院することになった。おばあさんの白内障手術

は何事もなくすみ、分厚いレンズの眼鏡を作ってくれた。

 おばあさんの包帯がとれ、眼鏡をかけると、

「ああ、よく見えるわ。先生、本当にありがとうございます。またかぎ針を使

えますね」

「お元気でしたので両眼とも手術をしました。よく見えるようになってよかっ

たですね。もし不都合があったらすぐ連絡してくださいね」

「ありがとうございました」

 良夫は母を車に乗せて家へ向かった。おばあさんは、移っていく街の風景を

見ながら、東京はずいぶんかわってしまったねえ、とつぶやいた。

 お祖母さんは、またかぎ針でビーズのバッグを作り始めました。今度は明子

のを作り出したのです。バッグはピンクの糸に虹色に輝くビーズが通してあり

ました。縁側にはその日もあたたかい光がおばあさんに注がれていました。